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※恋賀棺月
洗脳、マインドコントロール、はたまた何か……。
心理的に人を動かす魔術は時として封じ込めていたものを目覚めさせる事がある。
それは異常性と呼ばれるものだ。
異常性は人によって実にさまざまだが、だいたいは他者の為に他者を殺すようなものばかりだ。
異常性というのは、普通は目覚めないものだ。
何か過酷な環境に立たされたりだとか、辛い過去を背負うとか、そんなことがなければきっと異常性というのはなくて済んだんだろう。
異常性を隠し持つ人の集まりである本部は、そんな過去の持ち主ばかりだと聞いた。
異常性は時として、人間でない姿を映し出す事もあるかもしれない。
けれど、それはその人でありその人ではない。
いわばシャドウってやつだ。汝が我で、我が汝。
こんなことをいうと、ジュブナイル的になりそうだからやめておくけど。
過去にその異常性を引き出して具現化させる魔術師がいた。
死んでしまったけれどね。そんな優秀な魔術師。
今ではそれを目覚めさせるのでせいぜいだろうね。あの時とは魔術の研究の差が違う。
それに彼はまだ未熟だ。あの頃に比べればね。
しかし、目覚めてしまった人はどうなるのだろうか?
異常性と本能は近いところにある。
欲しいものを欲しいと望み、愛があればそれを叫んでしまう。
理性で抑えていたものを簡単に吐き出してしまうだろうね。
異常性だって、理性で抑えていたのだから当然だよね。
異常性の研究は、もうやりつくしてしまった。
サンプルが足りなかった事もあるが、何より異常性の研究は犠牲ばかりだった。
他者の為に他者を殺し、他者を愛する為に他者を殺す。
他者を救う為に他者を殺し、他者を嫌うために他者を殺す。
……こんな感じに、ね。殺されちゃうんだ。
歪んだ愛とも呼んだらしいね。まぁ、歪んでるよね。そりゃあ。
「――そういうことなんだね」
異常性を抱える或る本部の人間が笑う。
優越感からかな?
「気になってきたのかな?」
「そうだね。試したい事がいろいろ増えてしまったよ」
「それは異常性を目覚めさせるつもりかな?」
「そうだけど」
「やめたほうがいい。死んでしまうよ?」
「僕が?」
「いや、君の大事な人が。そうだね、例えば君が心酔している人形も、君を嫌う友人も、君が好きな友人も皆死んでしまうんだよ?」
「……っ」
戸惑う彼。それを見て剣を操る彼女があざ笑う。
「はん、最近の連中はそんなことで戸惑うんだね」
「研究者だって、ある意味異常じゃないか。」
「それもそうか」
彼は、にやりと笑う。
「――構わないさ。マリオネットが死んだところで、最後に俺を満足させるなら、な。」
今度は糸を絡める三姉妹が笑う。
「貴方には出来ないわよ。運命がそう作られているもの」
「そう紡いでいるもの」
「そして、その運命のまま切り落とされてしまうのだから。」
彼は悔しそうでもなく、ただ困ったように笑う。
「魔術師ってのは、厳しいもんだね。」
「研究者でもあるからね」
「ありがとう、いい情報をもらった」
そうして、彼――藤野司は僕らの前から去っていく。
「ねぇ、最近の魔術師の噂、どう思う?」
「どうもこうも……どいつもこいつもなっちゃいない。魔術師として失格だよ」
「そうだね。僕ら、いや君達は魔物すらも越えてしまったんだもの」
「あんたもそうだろうが、棺月」
「いやいや、僕はただの亡霊だ。死を超える事しか出来なかった」
「それでも、優秀でしょ?ま、恋賀なら当たり前だけど」
「それで?いつ魔術大国は甦るのさ?」
「近い日に――幻出するんじゃないかな。そう、王もお考えだろう」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
洗脳シリーズで目立つ異常性について。
それを引き出す魔術師がいても面白いなーと思ったけど、どう考えてもジュブナイル的なシャドウになるので、殺しておいた。
洗脳されても、誰かを愛する時点で異常なんだよ。とか、操ったらそんなもの簡単に出てきてしまうじゃないか、って話。
後半は次回予告です。
魔術大国時代がヴェールを脱ぐ!
と、いいなぁ。
洗脳、マインドコントロール、はたまた何か……。
心理的に人を動かす魔術は時として封じ込めていたものを目覚めさせる事がある。
それは異常性と呼ばれるものだ。
異常性は人によって実にさまざまだが、だいたいは他者の為に他者を殺すようなものばかりだ。
異常性というのは、普通は目覚めないものだ。
何か過酷な環境に立たされたりだとか、辛い過去を背負うとか、そんなことがなければきっと異常性というのはなくて済んだんだろう。
異常性を隠し持つ人の集まりである本部は、そんな過去の持ち主ばかりだと聞いた。
異常性は時として、人間でない姿を映し出す事もあるかもしれない。
けれど、それはその人でありその人ではない。
いわばシャドウってやつだ。汝が我で、我が汝。
こんなことをいうと、ジュブナイル的になりそうだからやめておくけど。
過去にその異常性を引き出して具現化させる魔術師がいた。
死んでしまったけれどね。そんな優秀な魔術師。
今ではそれを目覚めさせるのでせいぜいだろうね。あの時とは魔術の研究の差が違う。
それに彼はまだ未熟だ。あの頃に比べればね。
しかし、目覚めてしまった人はどうなるのだろうか?
異常性と本能は近いところにある。
欲しいものを欲しいと望み、愛があればそれを叫んでしまう。
理性で抑えていたものを簡単に吐き出してしまうだろうね。
異常性だって、理性で抑えていたのだから当然だよね。
異常性の研究は、もうやりつくしてしまった。
サンプルが足りなかった事もあるが、何より異常性の研究は犠牲ばかりだった。
他者の為に他者を殺し、他者を愛する為に他者を殺す。
他者を救う為に他者を殺し、他者を嫌うために他者を殺す。
……こんな感じに、ね。殺されちゃうんだ。
歪んだ愛とも呼んだらしいね。まぁ、歪んでるよね。そりゃあ。
「――そういうことなんだね」
異常性を抱える或る本部の人間が笑う。
優越感からかな?
「気になってきたのかな?」
「そうだね。試したい事がいろいろ増えてしまったよ」
「それは異常性を目覚めさせるつもりかな?」
「そうだけど」
「やめたほうがいい。死んでしまうよ?」
「僕が?」
「いや、君の大事な人が。そうだね、例えば君が心酔している人形も、君を嫌う友人も、君が好きな友人も皆死んでしまうんだよ?」
「……っ」
戸惑う彼。それを見て剣を操る彼女があざ笑う。
「はん、最近の連中はそんなことで戸惑うんだね」
「研究者だって、ある意味異常じゃないか。」
「それもそうか」
彼は、にやりと笑う。
「――構わないさ。マリオネットが死んだところで、最後に俺を満足させるなら、な。」
今度は糸を絡める三姉妹が笑う。
「貴方には出来ないわよ。運命がそう作られているもの」
「そう紡いでいるもの」
「そして、その運命のまま切り落とされてしまうのだから。」
彼は悔しそうでもなく、ただ困ったように笑う。
「魔術師ってのは、厳しいもんだね。」
「研究者でもあるからね」
「ありがとう、いい情報をもらった」
そうして、彼――藤野司は僕らの前から去っていく。
「ねぇ、最近の魔術師の噂、どう思う?」
「どうもこうも……どいつもこいつもなっちゃいない。魔術師として失格だよ」
「そうだね。僕ら、いや君達は魔物すらも越えてしまったんだもの」
「あんたもそうだろうが、棺月」
「いやいや、僕はただの亡霊だ。死を超える事しか出来なかった」
「それでも、優秀でしょ?ま、恋賀なら当たり前だけど」
「それで?いつ魔術大国は甦るのさ?」
「近い日に――幻出するんじゃないかな。そう、王もお考えだろう」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
洗脳シリーズで目立つ異常性について。
それを引き出す魔術師がいても面白いなーと思ったけど、どう考えてもジュブナイル的なシャドウになるので、殺しておいた。
洗脳されても、誰かを愛する時点で異常なんだよ。とか、操ったらそんなもの簡単に出てきてしまうじゃないか、って話。
後半は次回予告です。
魔術大国時代がヴェールを脱ぐ!
と、いいなぁ。
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