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またもやこのシリーズ。

シリアスかきやすい。

※???
その親子の関係は冷え切っていた。
一緒に食事をしても会話もなく、したと思えば、一言、二言のみ。
しかし、嫌っているというわけでもない。
彼の疑念と彼の罪悪感が摩擦を生み出していたのかもしれない。
私は、それを見ることしかできなかった。
唯一の世話係だったというのに。
「おい君」
「なんでしょう?旦那様」
私は、掃除をしている最中に、旦那様に呼ばれます。
当然のように手を止め、振り返る。
「明日から、来なくていい。」
「え?」
「我々は地方へ引っ越す。もう皇帝には仕えない」
「そんな!待ってください!」
「我々には、もう君を雇えるだけの金はなくなった、というわけだ」
矢継ぎ早に話す旦那様。
「お金なんていいですから!せめて、あの子と……!」
「やつの事はいい。もうかかわってくれるな」
「そんな……っ!」
崩れ落ちる私。
そこに奥様が私を見かねて声をかける。
「言いすぎじゃないかしら。この子はあんなこと考えないわよ」
「しかし……」
奥様が私に一枚のメモを渡してくれた。
そこに書かれているのは住所。
「私は、あなたの作るお菓子が好きだわ。遠いけれどたまに来てくださいな」
「奥様……!」
私は、それだけでも嬉しかった。
どうしてもこの親子の事が気になってしまうから。
まだかかわってもいいと言ってくれる奥様がありがたかった。

※???
私は、大きな過ちを犯していた。
まさか自分の息子が神血とは思いもしなかった。
彼女が言うには、本来なら教会に引き渡すべき存在だという。
しかし、彼女は教会を信用しきれていない。
私は無論教会なんてものを信じない。
それならば、私はやつに人を見極める術を教える必要がある。
それは、この大都市ではなしえないことだ。
ここは、悪意に満ちた人間の集まりだ。

食事を終え、彼女が食器を片づけている中、氷河が私に声をかけた。
「なぁ」
「なんだ」
「……本当は、貴族でいたかったんじゃないのか」
「その話か」
「あんたが捨てたっていう人から聞いた。この家は――いい家だったんだろ。だったら」
「私は疲れたんだ。あの世界は苦しくてしょうがない」
「そう、なのか」
「だから、お前が気にすることでもない」
「……わかった。それならもう何もいわねぇ」
氷河は立ち上がると、そのまま部屋へと戻った。
私と氷河の関係は、冷め切っている。
誰かにそういわれた気がする。
しかし、今更この関係を温かいものへと変えようというつもりはない。
罪滅ぼしの為に。

※瀬戸氷河
「あ、あの!すみません!」
誰かに声をかけられ、足を止める。
いわゆるメイド服で、籠を持っていた女は俺の顔をみてやっぱり、とつぶやいた。
「氷河様、ですね?」
「……そんな呼び方する奴は、あの家の人しかいない。」
「はい。私はかつてあなたの屋敷で働いていたものです」
と、丁寧に一礼する。
「覚えてる。俺が地方に引っ越してもたまに来たよな」
「あ、はい!覚えていただいて光栄です!」
昔のペースはやりにくいな。
だいたい俺が上ってのがまず無理だ。
「あの家はもうないんだから、そう畏まらなくていいだろ。俺が、やりにくい」
「やりにくい、ですか。氷河様もお変わりになりましたね!」
「だから、その敬語と氷河『様』をやめろ!」
立ち話もなんなので、近くのベンチに座ることにした。
彼女は買い物の最中だったが、暇はあるらしい。
「私、ずっと気になっていたんですよ」
「なにを?」
「貴方と旦那様の関係。私から見れば異様に冷め切っていたので。家族というものは、暖かなものでしょう?」
「あー……その話か……」
俺の家は、他と比べて言葉が少なかったと思う。
それを彼女はずっと気にしていたのか。
「俺の中では、親父は厳しい上に何考えてんのかわかんねぇ人だった。プライドの高い人だったから、それが邪魔してたんだと思うけどな。」
「そうですね。よく反発されてらしたもの」
「そりゃ、あんな風に厳しくされたら反抗したくなるだろ?結局、威圧的に黙らされて俺が謝らされたけどな」
彼女が突然くすくすと笑う。
「よかった。貴方が旦那様を嫌っていなくて。私はそれが心配だったのです。それに、貴方は旦那様の望まれたとおりに育っているようで。」
「どういうことだ?」
俺があいつの望んだとおりだと?
聞き返すと、彼女は答えた。
「旦那様はとても貴方のことを考えていらしたのです。何やら罪滅ぼしだと仰っていましたが、おそらく心配だったのですよ。私には何を気にしているのか分からなかったけど、貴方を貴族や教会から離したがっていたみたい。」
罪滅ぼし。
俺の血と関係があるのだろうか。
「それに、今の氷河様は私のようなものが見ない限り、誰も貴族の生まれだとは思えませんよ」
「だから、様やめろつったろ」
彼女はますます笑い出した。
親父が貴族や教会から離したがっていたというのは、きっと俺が神血だからだ。
だから、あいつは貴族を辞めて……。
「……ムカつく」
「え?」
「結局俺はあいつの望んだとおりって事で何にも反抗出来てないんだろ。」
本当にイライラする。なんかあったら蹴り飛ばしてやりたい。
「氷河、さん。これ、どうぞ」
彼女が籠を俺に渡す。
受け取ってから、彼女に聞く。
「これは?」
「フルーツパイですよ。作ってきたので。」
「いい、のか?」
「ええ。どうせまた作ればいいのですよ!」
彼女が勢いよく椅子から立ち上がる。
「無理はなさらないでください!それでは!」
籠を渡して身の軽くなった彼女は、上機嫌でスキップをしていった。
籠の中をみる。
昔、みたことあるようなパイだ。
「甘そ……」
今の俺じゃ食えないな、これ。
恭二あたりにでもやろう。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――
メイドと親父編。


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