正直者は馬鹿を見る。

「正直者なのは良いことかしら？」
比嘉梭美の問いに答える。
「悪い事だろ。馬鹿を見る。」
「その通りよ、飾海。本音ばかりを話していたら、馬鹿を見る。自分中心の人間であれば、尚更。他人を見てないことが本音でばれてしまい、人間関係なんて築けなくなるわ。けれど、実際に他人を見ている人間なんているのかしら？人はみんな自分の幸せの為に生きているのではないの？」
「ああ、全くその通りだよ、比嘉梭美。」
「けれど、嘘を吐いたらほぼバレるわ。本音を引き出される。私なんかつい本音を話してしまうから、困っているのよ。誤解させてばかりでね。」
だから、比嘉梭美は孤立してんのか。分かりやすい馬鹿な女だ。
「本音はねじれ伝わって、関係さえもねじれる。一人きりがいいのに、無理して人に触れようとしているのかもしれないわ。一人は淋しいものねぇ。」
「ははっ、そうだな。一人は淋しいな。とても淋しいよ。」
「でしょう。だから私は誤魔化して誤魔化して生きているの。…死んでいてもいいような気分だわ。」
「比嘉梭美は死にたいのか。」
「…死にたくないけど。死んでしまうのでしょうね。私は今こうしている事が辛いもの。辛いのはいやよ。」
比嘉梭美が哀しげに笑う。

死ぬなら勝手にしろ。

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短いですよね。