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友人に捧げた短編集。
今回は、ハーレムをテーマに書いてみました。
夜羽小春編。
今回は、ハーレムをテーマに書いてみました。
夜羽小春編。
※瀬戸氷河
街に住むのは、人間だけではない。
妖怪や魔物だって紛れ込んでいるのだ。
例えば、服屋のウィンドウで服を見ている少女がいる。
夏でも長袖に長いスカートを着て、帽子をかぶっている少女が、ゾンビである夜羽小春だ。
「いいなぁ、欲しいなぁ……」
羨ましそうに服を見つめている夜羽。
まるで人間みたいだが、彼女の服の下は腐りきっている。
腐っていないのは、魔力で腐らないようにしていたらしい顔だけだ。
「夜羽、何見てるんだ?」
「あ、氷河さん!」
声をかけると振り返って上機嫌に微笑む夜羽。
よく見れば、彼女が見ていた服は夏用のコーディネートだ。
半袖ミニスカート。
夜羽には絶対に着られない服だ。
「お前、そんな服着れないだろ……」
「自宅で着ればいいのよー。腐ってても気にしないしー」
手が見えないほど長い袖をぶんぶんを振る。
ゾンビってのは頭まで腐っているのか、彼女は知性が足りない気がする。
「崩れ落ちそうだな」
「それは主が魔力で抑えているから問題なし!」
「その主って誰だよ」
「思い出せないのよねぇ」
夜羽を使役している主を思い出せないってのは重大な事だと思うのだが、彼女は何の気もなしにへらへらと笑う。
「相変わらず能天気な奴だな……」
「気にしてても分からないんだもの。しょうがないじゃん」
「よく気にしないでいられるよな。お前は思い出せもしない主に使えてるなんて俺には信じられねぇってのに」
使役される立場になった事はないけれど、想像することはできる。
契約した主に使え、どんな命令でも遂行しなければならない。
そこに自由は当然ないし、意志さえもない。
人形のような、そんな物になるなんて。
「確かに気になるけどー。私がまだ朽ちてないってことは主は生きてるってこと。それだけ分かればへーきだよー」
人形である彼女は気にもせずに微笑む。
それを受け入れているかのように。
「それにもし何かあれば、主の方から私を拾いに来てくれるよー」
「そうしたら、ゾンビとして動くんだろ?」
「そうだねー。主の命令通りに動くかもねー。」
主というのは恐らく魔術師だろう。
古い時代のゾンビを今でも使役できるのだから、かなり高位の魔術師だ。
その魔術師の思惑は何も分からないが、魔術師であるならば俺を嫌うだろう。
「氷河さん、私は使役されるだけの人形だけど、街に住めるだけの意思はあるよ。私は、私を助けてくれた皆を襲うつもりはないよ」
「助けたってわけじゃないんだけどな」
正確に言うならば、恭二と才臥が勝手に封じられた箱を開けただけだ。
悪魔を封じた古い時代の失われるべきだったもの。
その時を思い返せば、あの二人が青ざめた表情をしたのはあれが初めてだったかもしれない。
「いやいや、封印されっぱなしはつらたんだよ」
「どこでそんな言葉覚えた」
「ふふん、ゾンビだって流行には乗っかりたいのだー」
やはり知性は低いようだ。さすがゾンビ。
彼女は、また袖をぱたぱたと振りながら、ふらりとどこかへ行ってしまった。
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街に住むのは、人間だけではない。
妖怪や魔物だって紛れ込んでいるのだ。
例えば、服屋のウィンドウで服を見ている少女がいる。
夏でも長袖に長いスカートを着て、帽子をかぶっている少女が、ゾンビである夜羽小春だ。
「いいなぁ、欲しいなぁ……」
羨ましそうに服を見つめている夜羽。
まるで人間みたいだが、彼女の服の下は腐りきっている。
腐っていないのは、魔力で腐らないようにしていたらしい顔だけだ。
「夜羽、何見てるんだ?」
「あ、氷河さん!」
声をかけると振り返って上機嫌に微笑む夜羽。
よく見れば、彼女が見ていた服は夏用のコーディネートだ。
半袖ミニスカート。
夜羽には絶対に着られない服だ。
「お前、そんな服着れないだろ……」
「自宅で着ればいいのよー。腐ってても気にしないしー」
手が見えないほど長い袖をぶんぶんを振る。
ゾンビってのは頭まで腐っているのか、彼女は知性が足りない気がする。
「崩れ落ちそうだな」
「それは主が魔力で抑えているから問題なし!」
「その主って誰だよ」
「思い出せないのよねぇ」
夜羽を使役している主を思い出せないってのは重大な事だと思うのだが、彼女は何の気もなしにへらへらと笑う。
「相変わらず能天気な奴だな……」
「気にしてても分からないんだもの。しょうがないじゃん」
「よく気にしないでいられるよな。お前は思い出せもしない主に使えてるなんて俺には信じられねぇってのに」
使役される立場になった事はないけれど、想像することはできる。
契約した主に使え、どんな命令でも遂行しなければならない。
そこに自由は当然ないし、意志さえもない。
人形のような、そんな物になるなんて。
「確かに気になるけどー。私がまだ朽ちてないってことは主は生きてるってこと。それだけ分かればへーきだよー」
人形である彼女は気にもせずに微笑む。
それを受け入れているかのように。
「それにもし何かあれば、主の方から私を拾いに来てくれるよー」
「そうしたら、ゾンビとして動くんだろ?」
「そうだねー。主の命令通りに動くかもねー。」
主というのは恐らく魔術師だろう。
古い時代のゾンビを今でも使役できるのだから、かなり高位の魔術師だ。
その魔術師の思惑は何も分からないが、魔術師であるならば俺を嫌うだろう。
「氷河さん、私は使役されるだけの人形だけど、街に住めるだけの意思はあるよ。私は、私を助けてくれた皆を襲うつもりはないよ」
「助けたってわけじゃないんだけどな」
正確に言うならば、恭二と才臥が勝手に封じられた箱を開けただけだ。
悪魔を封じた古い時代の失われるべきだったもの。
その時を思い返せば、あの二人が青ざめた表情をしたのはあれが初めてだったかもしれない。
「いやいや、封印されっぱなしはつらたんだよ」
「どこでそんな言葉覚えた」
「ふふん、ゾンビだって流行には乗っかりたいのだー」
やはり知性は低いようだ。さすがゾンビ。
彼女は、また袖をぱたぱたと振りながら、ふらりとどこかへ行ってしまった。
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