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友人に捧げた短編集。
今回は、ハーレムをテーマに書いてみました。
八雲灰雪編。
今回は、ハーレムをテーマに書いてみました。
八雲灰雪編。
※瀬戸氷河
山には妖怪が住むという。
山に住む妖怪は人を嫌うものが多い。
その中の一人が八雲灰雪。雪女だ。
彼女は絶対に人のいる街に降りようとしないので、会いに行くなら山を登るしかない。
山の中腹で変に冷えている場所。
雪女ってのは、地位が低いのか雪が積もっている場所は非常に少なかった。
その雪の降る場所の奥にある小さな洞穴に八雲は住んでいた。
「何しに来た!」
「……お前まだそんな狭い洞窟にいたのかよ?」
「うるさいわね!」
彼女の人嫌いは相当なもので、人間に対しての態度は冷たい。
それでも俺が彼女を嫌いになれないのは、それがどこか空回りしているからかもしれない。
妖怪雪女としての力も表せないから、八雲は山の妖怪の中では弱い方に入る。
「はぁ、貴方は寒さは感じないの?」
「そりゃ感じるよ。お前は俺をなんだと思ってやがる」
「だったら、さっさと温かい麓に帰りなさいよ!」
「でも、真冬程寒くはないな」
彼女は外に雪を降らせることばかりに夢中で、ここが人間にとって休息地点になっているのに気付いていないからだろう。
「にゃー!そうやってまた私をバカにするのね!魔術がなんだってのよ!妖術に勝てるわけがないじゃない!」
自分の能力を過信するのが頭の固い妖怪って感じがするな。
そういう意味では八雲は典型的な妖怪なのだろう。
街に紛れる化け狸よりは扱いやすい。
「もう、本当に人間って苛つくやつばっかりね!何が魔術よ、何が科学よ!全部妖術のパクリだってのに!」
「逆に、そこまで八雲が妖術を過信する理由ってなんだよ?」
「決まってるわ!私たち、妖怪こそが頂点だからよ!」
弱いやつからどうしてこんな言葉が聞けるのだろうか。
八雲は、この洞窟に冷気を入れようと妖術を使う。
言ってしまえば、吹雪を起こせる能力を持っているのが彼女だ。
吹雪を起こすことと氷魔術は全然違う。
吹雪って言ってしまえば、風だろう?
雪女を名乗りながら彼女は氷を全然扱えないのだ。
「んー、洞穴だといくらやっても氷柱が出来ないのよねぇ、なんでかしら?」
「冷気が足りないんじゃないのか?室内で氷柱を作るなら、もっと力がないと」
「それは私をバカにしているのかしら!?」
「俺だって室内を凍らせるのは魔導書でもないとできねぇよ。それほど大きな力がいるってことだ。」
魔導書ってのは、大きな魔力を秘めた本のことだ。
才能のある人間が使えば、その人の実力以上の力を引き出してくれる。
そのかわりのリスクも大きいものだが。
「そうやって人間は道具に頼るのね!情けないわ!」
弱点をみつけたとばかりに、声を張る八雲。
偉そうに彼女は話を続ける。
「妖怪の世界は弱肉強食。力のないものがどんどん下に降りていく世界なのよ。自分の実力を認めてもらいたいから道具に甘えるなんて愚かな真似するわけがないのよ!」
「お前、その言葉は自分が弱いからこのあたりにいるんだってのを強調しているのに気付かないのか?」
「え?」
急にとぼけた表情をする。
本当に気付いていないのか。
「う、うるさいわね!私はそんなものに頼ってまで強さを証明したくはないと言っているのよ!」
「それは、俺も同意するけどな。でも、視点を変えてみろよ。道具を扱いこなすことだって才能を示す手段になると思わないか?」
「なにいってんのよ、あんた」
「妖怪ってのは人間の道具も使いこなせないような馬鹿ばかりでもないだろってことだよ」
「意味わかんないし、バカにされてるとしか思えないわ!」
八雲は、吹雪の風圧を強める。
さすがにこれは俺もまずい。
「さっさと麓に帰りなさいよ!人間なんかと話してる暇はないんだから!」
逃げ出すように洞穴から抜け出した。
日差しに焼かれて雪が解け始めている。
八雲を残念に思いながらも、呟く。
「暇ばっかだろ、妖怪なんて」
なにもしてないんだから。
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山には妖怪が住むという。
山に住む妖怪は人を嫌うものが多い。
その中の一人が八雲灰雪。雪女だ。
彼女は絶対に人のいる街に降りようとしないので、会いに行くなら山を登るしかない。
山の中腹で変に冷えている場所。
雪女ってのは、地位が低いのか雪が積もっている場所は非常に少なかった。
その雪の降る場所の奥にある小さな洞穴に八雲は住んでいた。
「何しに来た!」
「……お前まだそんな狭い洞窟にいたのかよ?」
「うるさいわね!」
彼女の人嫌いは相当なもので、人間に対しての態度は冷たい。
それでも俺が彼女を嫌いになれないのは、それがどこか空回りしているからかもしれない。
妖怪雪女としての力も表せないから、八雲は山の妖怪の中では弱い方に入る。
「はぁ、貴方は寒さは感じないの?」
「そりゃ感じるよ。お前は俺をなんだと思ってやがる」
「だったら、さっさと温かい麓に帰りなさいよ!」
「でも、真冬程寒くはないな」
彼女は外に雪を降らせることばかりに夢中で、ここが人間にとって休息地点になっているのに気付いていないからだろう。
「にゃー!そうやってまた私をバカにするのね!魔術がなんだってのよ!妖術に勝てるわけがないじゃない!」
自分の能力を過信するのが頭の固い妖怪って感じがするな。
そういう意味では八雲は典型的な妖怪なのだろう。
街に紛れる化け狸よりは扱いやすい。
「もう、本当に人間って苛つくやつばっかりね!何が魔術よ、何が科学よ!全部妖術のパクリだってのに!」
「逆に、そこまで八雲が妖術を過信する理由ってなんだよ?」
「決まってるわ!私たち、妖怪こそが頂点だからよ!」
弱いやつからどうしてこんな言葉が聞けるのだろうか。
八雲は、この洞窟に冷気を入れようと妖術を使う。
言ってしまえば、吹雪を起こせる能力を持っているのが彼女だ。
吹雪を起こすことと氷魔術は全然違う。
吹雪って言ってしまえば、風だろう?
雪女を名乗りながら彼女は氷を全然扱えないのだ。
「んー、洞穴だといくらやっても氷柱が出来ないのよねぇ、なんでかしら?」
「冷気が足りないんじゃないのか?室内で氷柱を作るなら、もっと力がないと」
「それは私をバカにしているのかしら!?」
「俺だって室内を凍らせるのは魔導書でもないとできねぇよ。それほど大きな力がいるってことだ。」
魔導書ってのは、大きな魔力を秘めた本のことだ。
才能のある人間が使えば、その人の実力以上の力を引き出してくれる。
そのかわりのリスクも大きいものだが。
「そうやって人間は道具に頼るのね!情けないわ!」
弱点をみつけたとばかりに、声を張る八雲。
偉そうに彼女は話を続ける。
「妖怪の世界は弱肉強食。力のないものがどんどん下に降りていく世界なのよ。自分の実力を認めてもらいたいから道具に甘えるなんて愚かな真似するわけがないのよ!」
「お前、その言葉は自分が弱いからこのあたりにいるんだってのを強調しているのに気付かないのか?」
「え?」
急にとぼけた表情をする。
本当に気付いていないのか。
「う、うるさいわね!私はそんなものに頼ってまで強さを証明したくはないと言っているのよ!」
「それは、俺も同意するけどな。でも、視点を変えてみろよ。道具を扱いこなすことだって才能を示す手段になると思わないか?」
「なにいってんのよ、あんた」
「妖怪ってのは人間の道具も使いこなせないような馬鹿ばかりでもないだろってことだよ」
「意味わかんないし、バカにされてるとしか思えないわ!」
八雲は、吹雪の風圧を強める。
さすがにこれは俺もまずい。
「さっさと麓に帰りなさいよ!人間なんかと話してる暇はないんだから!」
逃げ出すように洞穴から抜け出した。
日差しに焼かれて雪が解け始めている。
八雲を残念に思いながらも、呟く。
「暇ばっかだろ、妖怪なんて」
なにもしてないんだから。
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