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自分に救いを!の第二話です。

「藤浦ぁ!」
休み時間、谷村先生が俺を呼び出す。
しかも、周りが振り返る程の大声で。
「はいっ!?」
俺はびくりと肩を震わせ、ゆっくりと振り返る。
谷村先生は先程の授業で出したプリントを握り締めている。
「なんだこの解答は!後で指導室に来い!」
「ええー…」
こんなのもう何度目だか。
廊下にいた女子の噂話が聞こえる。
「また藤浦君谷村に呼ばれてんねー」
「谷村煩いからねー。藤浦君への僻みかな?」
「あ、あんな格好よくないからって?それウケるー!」
「藤浦君、スポーツ何でも出来るし爽やかな笑顔もたまんないし、成績悪くても充分なくらいだよね!」
「あんま何でも出来てもねー」
俺は何だかこの学校のアイドル的扱いらしい。
存斗は鬱陶しそうにしてたけど、俺はまんざらでもないって感じだ。

あ、プリントいつの間に投げ付けられてるわ。
それを拾うと、天音が声をかけてきた。
「キリト、また怒られてんの?」
「さすがに名前だけは失敗したなー。くっそー、谷村めー!」
「名前だけはさすがにどうかと思うなー…」
天音は苦笑いを浮かべる。
少しムカついたからその頬を引っ張る。
「天音だって、俺と似たようなもんだろー!」
「私はなるたんに教えてもらったもーん!」
「どうせ今忘れてんだろー!?」
さらにぐりぐりと引っ張る。
「痛い、いたいよ、キリトー!」
ぱっと離すと、天音は頬を膨らませる。
「あたしはちゃんとしてるもーん!」
たたたっ、と天音は教室にかけこもった。
天音がちゃんとしてると思うと、俺は頭を抱えるしかなかった。
悔しいぜー。なんだよ、この敗北感。

放課後、いつもの教卓の周りに向かおうとした時に谷村に呼び止められた。
鳴海はああ、またかこいつと呆れた表情をされ、存斗はただ深くため息を吐かれ、独尊番長と天音は笑顔で手を振るだけだった。
「薄情者がー!」
俺が叫ぶと、存斗が叫び返す。
「自業自得だ、馬鹿!」
「くっそー!」

それから、谷村にこっぴどく叱られ、プリントの問題を解きおわるまで帰らせてもらえなかった。
ようやく解放されて、昇降口に向かうと四人がいた。
「待っててくれたのか…!」
「薄情者と言われちゃね。」
独尊番長が皮肉っぽく笑う。
「お前ら、大好きっ!」
「何故俺に抱きつく!?」
存斗に抱きつくと、存斗がちょっと動揺していた。
鳴海がにやにやしてるけど、いっか。
「いや、存斗先に帰っちゃったと思ってたからさ!」
「俺が薄情者だと思ってたわけだな?」
「まーな!」
存斗に離され頭を叩かれた。
「……~っ!存斗!」
「独尊番長が残ってやろうと言ったからな。それに俺はそこまで冷たくない。」
存斗が照れ臭そうにしてたから、よしとした。
存斗、他人には容赦ないからなー。
それが俺に向けられたらとか思うと怖いわけだよ。
「あーっ!体動かしてぇかも!」
「明日動かしたらいいじゃない。桐斗、何やっても強いんだから」
いつの間ににやにやモードをやめていた鳴海が言う。
「そうだな!そうすっか!」
思い切り身体をのばす。
そして、靴を履いて昇降口を皆で出た。

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