久々にこちらを。
目標は最低一組一話。

・如月＆久奈
※如月才臥
今日は流転が調べたい場所があると、俺を連れてきた。
流転は戦えないからな。
護衛として二つ返事で引き受けた。
「あ、ついた」
「流転…正気か」
流転が連れてきたのは、荒らされた墓場だった。
「この下に用があるんだ」
「…どんな用だよ」
「調べたい物があるの。」
「マジに返すな…」
ゾンビとかいたりしてなー…。
つか、誰の墓だよ、これは。
墓に刻まれた名前は、削れていて読み取れない。
流転が俺の隣にしゃがんで話す。
「あ、それはね、紅い海を封じた古い人の墓だよ」
「紅い海を？」
俺は関わっていないが、流転が巻き込まれたという紅い海事件。
結局あれはどうなったんだっけな。
「紅い海は、昔は特殊な岩で封じられていたんだって。だから、その岩の破片とか隠し持ってないかなって思って。」
「流転って結構行動力あるよな…」
俺ならそんな理由でも、こんな場所行きたくねぇよ。
「そうかな？才臥、ちょっとどいてくれる？」
「あ、ああ…」
俺が数歩後ろに下がると、流転が墓石を動かした。
…墓荒らしだよ、呪われんぞ、流転。
「やっぱり…紅い海が蘇ると予想していたのか…」
墓の下には深そうな穴と梯子があった。
「行こう、才臥」
「マジかよ…」
戸惑う俺を見て、流転が問い掛ける。
「怖いの？」
「違う。それはない。」
即答した。
井是さん達じゃあるまいし。
深い穴を降りていくと、広い空間に出た。
「凄いね…」
「つかなんで墓の下にこんなもんを…」
俺の問い掛けに流転が答える。
「きっと遺体と一緒に特殊な岩を埋めたんだ。紅い海が蘇ると分かってたんだよ。」
「分かってたって…予言かよ。」
「きっとそうだよ。でも、やっぱり甘くはないよね…」
流転が一歩後ずさる。
奥からエリュシオンにいた魔物が現われたからだ。
「あれは…まさか上が関わっているとはな…」
「成る程、どうりで特殊な筈だね。」
「流転、下がってろよ！」
「任せたよ！」
俺は剣を抜いて斬り掛かる。
道を作るように魔物を斬っていく。
「こっちだ！」
「さすが、早いね、才臥！」
「当たり前だろ！」
奥の部屋に向かって走り抜ける。
そこには流転の言うとおり遺体と削られた岩があった。
「…なんともない岩に見えるな」
「調べれば分かるよ。あの紅い海を封じたんだ。きっと凄いものだよ。」
流転は岩の近くに落ちていた破片を拾う。
その岩の背後から魔物が飛び出した。
「流転っ！」
「……えいっ！」
流転は、短剣を取り出すとすかさず魔物の頭に突き刺した。
飛び掛かられた勢いで尻餅を着いたが、怪我はなさそうだ。
「流転…お前実は強い？」
「え？」
立ち上がって魔物から短剣を抜いた。
「いや、お前戦えないんじゃなかったのか？」
「それじゃ才臥達に遅れちゃうから、高曇さんに少し教わったんだ。突き刺したのは初めてだけど」
高曇さん…、なんてことを…。
「でも、よく動けたな」
「いや、とっさにね」
「純也が出来ない事だぞ」
「あはは、追い付くどころか抜いちゃった」
後で純也に言っとくか。
流転以下とはどういう事だと。
「じゃ、帰るか」
「あの広間の魔物はよろしくね」
「おう、任せとけ！」
先行してまた広間の魔物を斬っていく。
梯子を急いで上がり、流転が墓石を戻した。
墓石を戻した所で俺たちは座り込んだ。
「…実は遅れたくなかったって理由だけじゃないんだ」
「ん？」
「僕だけ黙ってみていられなかっただけなんだ。だから自分の身を守ることから始めようかと思って。」
「…流転らしいな。けど、俺たちは流転に助けられてる事が多いんだから、そのままでいいんだよ。つか、流転が戦えるようになったら、純也の立場がなくなるだろ」
「あはははは！考えてなかったよ、それは」
「いやー、可哀相だなあいつ」
「そーだね」
二人でひとしきり話して笑った後、本部に戻る事にした。

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意外と実力のあった流転。