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フルーツタルトラブストーリーの5話です。

・鹿屋×末沢
※鹿屋牙狼
「末沢さんがいなくなった!」
そう騒ぎながら神谷が、ラウンジにやってくる。
「末沢がねぇ…」
「末沢さんならなぁ…」
末沢がいなくなるなんて事はよくあることだ。
俺たちの冷めた反応を見て呆然とする神谷に杜矢が答えた。
「末沢さんがいなくなるのは、よくある事なんですって」
「そうなの?」
「気の抜けた反応しますねぇ…」
杜矢が呆れたように苦笑いをする。
白河さんがくつろいだまま追い出すように手を振る。
「ほら、さっさと連れ戻してこい」
「はぁ、分かりましたよ。」
仕方なく立ち上がる。
「心当たりとかあるんですか?」
杜矢が俺に聞く。
しかし、それは愚問だ。
「ええ、分かってますよ」
それを聞いた杜矢は、愚問だと気付いたのか、くすりと笑う。
「そうですよね。」
神谷がなんの事か気付かずに俺と杜矢の顔を交互に見ていた。

末沢は、少し前から洞窟に興味津々だった。
不思議と隠されたようなものを見つけるのが得意な末沢は、見つけたらすぐに調べたがる癖がある。
俺や神谷がいる時は、なんとか止めさせるが、こうやってこっそり出掛ける事がある。
それを連れ戻すのはだいたい俺だ。

深く潜り明かりがなくなってきた所で、簡単に火を点ける。
「この為に魔術覚えたわけじゃないんだけどな…」
一人呟きあたりを見る。
末沢は洞窟に似合わない程明るい色の服を着ているので見つけやすい。
そして、楽しそうに洞窟をうろつく男の肩を掴む。
「末沢!」
「うわっ、鹿屋さん。どうしたの?」
いつもの事だがとぼけてやがる。
「探しに来たんでしょうが。神谷がうるさいから」
「あ、そうなんだ。でも僕、まだあっち行ってないんだけどなー」
探検したさそうに、一本の暗い道を指差す。
末沢は、自分が満足までは帰らない。迷惑な人だ。
「分かりましたよ、さっさと見てきてください。」
「うん、じゃいってくるねー」
足取り軽く楽しそうに歩きだす末沢。
俺は彼を掠めるように火を放つ。
「うわっ!?」
驚いて振り返る末沢。
彼は素直に驚いてくれるから面白い。
「誰があんたを素直に一人で行かせるか。」
「いや、もっとマシな止め方あったよね?」
慣れないツッコミをする末沢の手を握る。
「ほら、あっちでしょ?さっさと行きますよ。」
「う、うん…」
さっき火を飛ばしてしまったので、また火を点ける。
指先で保ったままにしなければならないのが、これの難点なんだよな。

しばらく進むと行き止まりの空間に出た。
「何もないのかー…」
末沢さんが残念そうに言った。
「だろうと思った。ほら、帰りますよ」
「そーだねー。……あれっ?」
ぼんやりと歩きだす末沢の腕を引き、足を止めさせる。
そして、こちらに引き寄せる。
足音がする。
こちらに向かってくる足音だ。
俺は先に足音に向かって火を放つ。
「あぶなっ!?」
大袈裟な声がした。
聞き覚えのある男の声だ。
「あれ、小泉…さんだっけ?」
末沢が男に声をかけた。
男はカメラを持って、こちらに来た。
「そっちこそ、いつぞやのプレイヤーじゃねぇか。」
「本当にあれは猫かぶりだったんだねー」
「それ言わないでもらえます?一種の営業妨害だからな。」
小泉が、カメラを切る。
「…何してたんですか?こんな何もない所で」
俺が聞くと、小泉は嬉しそうに答えだした。
「何もないところから何かを作るのが、エンターテイナーなんだよ。今はそのお楽しみのための地形を撮影していた所だ。」
「それ、依頼人は芳賀じゃないんだろうな?」
「芳賀さんじゃねぇよ。あれから芳賀さんは消息不明だしな。お前等も知ってるだろ?ま、芳賀さんは何処かで魔物を見つけたんだろ、きっと」
「へー、消息不明なんだ知らなか……もごもご」
末沢を黙らせる。
俺たちが不利になるだけだろ、それは!
「もう俺たちに関わらなきゃいいんだよ、そういう事だ」
小泉は、ひっでぇな、とけたけた笑った。
「ま、貸しの話は忘れてねぇからさ。いつでも司会者小泉様を頼ってくれよ!じゃあな!」
上機嫌で再びカメラを動かし戻っていった。
小泉の姿が見えなくなってから、末沢の口を押さえていた手を離した。
「ちょっと、苦しいから!」
「あんたが余計な事言うからだろうが!」
「何処が余計なのさ!」
「…あー、もういい!」
再び末沢の手を取る。
「さっさと帰りますよ!」
「ごめんって、そんな不機嫌にならないでー」
後で才臥とか遥に八つ当たりされるんだからー、あれ鹿屋さんのせいでしょー?
と、ぶつぶつ言っていたのは聞いていないことにした。
如月達と緋月と手仕舞あたりは格好の弄り相手なんだからな。
「末沢は黙って俺だけに苛められてりゃいいんですけどね。」
「ん?」
「なんでもありませんよ。あ、ほら、出口」
暗い洞窟から抜け出す。
久しぶりに日の光を浴びた気がするね。

-----------
これはただのツンデレなのでは?と思うが。
きっと次に末沢視点の小話を挟めば、鹿屋×末沢らしくなるかもしれない。
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