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ワンダーアビスワールドの7話です。
「あー、夢呟!久しぶりー!」
廊下を歩いていたら、一人の少女がこちらの気付いて手を振る。
夢呟の知り合いらしく、夢呟も嬉しそうに彼女の元に駆け寄る。
「紫苑じゃない!本当に久しぶりね」
「うん!夢呟ってば、クラス引きこもりなんだもん。なかなか会えないし。で、そっちは?」
紫苑と呼ばれた彼女は、僕を指差す。
「春刈。ただの友達よ。」
「へぇー、夢呟にもあたし以外の友達がいたんだねー。あたしは美明野紫苑。宜しくね!」
「ええ…僕は唖奏春刈です。宜しく」
紫苑さんは僕の手を取り、ぶんぶんと振る。
オーバーリアクションが多そうな人だ。
「ふふ、嬉しいなぁ。夢呟に友達が出来るなんて。」
「そう?退屈しのぎには必要でしょう?」
「あ、その発想。前にもやめなって言ったでしょ?」
「ああ、そうね。紫苑の前では止めておくわ。」
「ちゃんと春刈君の前でも止めるの!」
「分かったわよ。やめるわ」
紫苑さんと夢呟の会話は実に下らないもので、普通の女子の会話と何ら変わりがなかった。
そこに僕の望んだ夢呟がいなかった。
「アブノーマルが好きなんだもの。止められるわけないじゃない」
「それはいいけど。人に言うもんじゃないと思うよ。ちゃんと明るい話をしてあげなくちゃ。」
この女。
美明野紫苑が僕の夢呟を奪う。
「乗ってくれる人もいるわよ…」
「それでも乗り切れるわけないじゃん。暗い危険な話禁止!」
「はいはい…分かったわよ。」
「はいは一回!」
「はーい」
許せない。
僕の夢呟があの女に壊されてゆく。
夢呟の魅力が壊されてしまう。
「でさー、最近出来たあの店のパンが美味しいわけ!」
「あんま興味ないわね」
「そこは乗ってよー!」
許せない。
僕の夢呟を奪うなんて。
許せない、許せない、許せない!
「美明野さん」
「何?春刈君。あ、あたしのことは紫苑でいいよ」
僕は怒りに任せて紫苑さんの首を締める。
学生の僕らが出来る殺し方なんてこれしかない。
「はる……か……?何をしているの…」
「普通の夢呟は黙ってろ」
徐々に強くなる力。
紫苑さんが死ぬのはそう長くはなかった。
「しおん……?嘘…」
「僕は不思議なことを話す貴方が好きだった。ずっと前から好きだった!今もそれは変わらない。それを奪うあの女は必要ない。僕の夢呟はこんな普通な奴じゃない!僕の望んだ夢呟は、不思議な負の力を感じさせる女性なんだ。アブノーマルの夢呟なんだ。だから…紫苑さんには死んでもらいました。」
長い沈黙。
夢呟はくすくすと奇妙に笑う。
「…春刈。」
「何ですか?」
「私が紫苑の毒に侵されていたのが気に入らないんでしょ?」
「ええ…目が覚めましたか?」
「そうね。すっきりしたかも」
良かった。
僕の夢呟に戻ってくれた。
「ねぇ、春刈」
「何ですか」
「私、行きたい所があるの。付き合ってくれるかしら?」
「ええ…変な事言っちゃいましたからね。付き合いますよ」
「ありがとう。春刈。」
僕らは屋上から、夢呟の望んだ景色を見に行く事にした。
僕らは歪んでいても、愛し合っていた。
最期はそれでいいのではないかなと思った。
(僕は夢呟しか見えてなかった。道も障害物も見えなかった。)(私は目を伏せていた。道も障害物も見えない振りをしていたの)
廊下を歩いていたら、一人の少女がこちらの気付いて手を振る。
夢呟の知り合いらしく、夢呟も嬉しそうに彼女の元に駆け寄る。
「紫苑じゃない!本当に久しぶりね」
「うん!夢呟ってば、クラス引きこもりなんだもん。なかなか会えないし。で、そっちは?」
紫苑と呼ばれた彼女は、僕を指差す。
「春刈。ただの友達よ。」
「へぇー、夢呟にもあたし以外の友達がいたんだねー。あたしは美明野紫苑。宜しくね!」
「ええ…僕は唖奏春刈です。宜しく」
紫苑さんは僕の手を取り、ぶんぶんと振る。
オーバーリアクションが多そうな人だ。
「ふふ、嬉しいなぁ。夢呟に友達が出来るなんて。」
「そう?退屈しのぎには必要でしょう?」
「あ、その発想。前にもやめなって言ったでしょ?」
「ああ、そうね。紫苑の前では止めておくわ。」
「ちゃんと春刈君の前でも止めるの!」
「分かったわよ。やめるわ」
紫苑さんと夢呟の会話は実に下らないもので、普通の女子の会話と何ら変わりがなかった。
そこに僕の望んだ夢呟がいなかった。
「アブノーマルが好きなんだもの。止められるわけないじゃない」
「それはいいけど。人に言うもんじゃないと思うよ。ちゃんと明るい話をしてあげなくちゃ。」
この女。
美明野紫苑が僕の夢呟を奪う。
「乗ってくれる人もいるわよ…」
「それでも乗り切れるわけないじゃん。暗い危険な話禁止!」
「はいはい…分かったわよ。」
「はいは一回!」
「はーい」
許せない。
僕の夢呟があの女に壊されてゆく。
夢呟の魅力が壊されてしまう。
「でさー、最近出来たあの店のパンが美味しいわけ!」
「あんま興味ないわね」
「そこは乗ってよー!」
許せない。
僕の夢呟を奪うなんて。
許せない、許せない、許せない!
「美明野さん」
「何?春刈君。あ、あたしのことは紫苑でいいよ」
僕は怒りに任せて紫苑さんの首を締める。
学生の僕らが出来る殺し方なんてこれしかない。
「はる……か……?何をしているの…」
「普通の夢呟は黙ってろ」
徐々に強くなる力。
紫苑さんが死ぬのはそう長くはなかった。
「しおん……?嘘…」
「僕は不思議なことを話す貴方が好きだった。ずっと前から好きだった!今もそれは変わらない。それを奪うあの女は必要ない。僕の夢呟はこんな普通な奴じゃない!僕の望んだ夢呟は、不思議な負の力を感じさせる女性なんだ。アブノーマルの夢呟なんだ。だから…紫苑さんには死んでもらいました。」
長い沈黙。
夢呟はくすくすと奇妙に笑う。
「…春刈。」
「何ですか?」
「私が紫苑の毒に侵されていたのが気に入らないんでしょ?」
「ええ…目が覚めましたか?」
「そうね。すっきりしたかも」
良かった。
僕の夢呟に戻ってくれた。
「ねぇ、春刈」
「何ですか」
「私、行きたい所があるの。付き合ってくれるかしら?」
「ええ…変な事言っちゃいましたからね。付き合いますよ」
「ありがとう。春刈。」
僕らは屋上から、夢呟の望んだ景色を見に行く事にした。
僕らは歪んでいても、愛し合っていた。
最期はそれでいいのではないかなと思った。
(僕は夢呟しか見えてなかった。道も障害物も見えなかった。)(私は目を伏せていた。道も障害物も見えない振りをしていたの)
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