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SSだから冷めてもいい。
30まではいかないな、これ。
かつてのハードスクラップショー20です。
30まではいかないな、これ。
かつてのハードスクラップショー20です。
・騙し屋集会
※小浜黒葉
珍しく任務もないから、洋斗でもからかおうとした矢先に彼が声をかけてきた。
「ねぇ、小浜さん。暇でしょ?」
藤野司。
僕の代わりに騙し屋を務める男。
代わりなんて本意じゃないかもしれないけど。
「暇だけど」
「お話しません?」
藤野は笑顔で聞いてくる。
その笑みは後輩みたいな幼い笑みじゃなくて、腹の底が見えない、嫌な笑顔。
「いいよ、お茶でも飲もうか」
藤野を連れて食堂へと向かう事にした。
食堂には幸いか誰もいなかった。
「何にします?」
藤野がカップを選びながら聞く。
「緑茶」
僕は何故かそう答えていた。
決してちょうどお茶ブームだったとかじゃない。
「分かりました。じゃ、僕もそうするかな」
藤野は楽しそうに緑茶を注ぐ。
それをテーブルに置き、二人で啜る。
しばらく飲んでいた僕らはようやく会話を始める。
「小浜さんはなんで騙し屋になったんですか?」
「からかっていたのが、面白かったから、かな。人が僕の嘘で踊らされる姿が面白かったんだ。だから、騙した」
それはいつか洋斗にこっぴどく怒られるんだけどね。
「それも面白そうでしたね。」
藤野は、口惜しそうに呟く。
「じゃ、藤野はなんで騙し屋になったの?」
「……知りたかったから、ですよ。例えば、僕が嘘を吐いたら彼はどう動くのか。僕に心酔したマリオネットはいつ糸を切るのか、いつも一緒にいる彼がいなかったら、残された人はどうするのか、とかね」
僕は、からかうために。
所詮は軽い悪戯なので、死に至る嘘は吐かない。
だけど、藤野は違う。
藤野は探求心から人を騙している。
それは行きすぎた探求心。
いつか、人を殺しかねない探求心。
「風上君、死んじゃうかもよ」
「そしたら、僕のどの嘘で死ぬんですかね。」
「風上君、好きじゃないの?」
藤野は嘲笑う。
「風上は僕の人形。心酔しきった操り人形。どうなろうと僕の自由。それだけ。そこに感情はないよ。」
きっとそれは恋愛感情に近いはずなのに。
気付いてない。
「成る程ね……面白いな、君は」
「いえいえ、そんな事ないですよ。」
わざとらしく謙遜する藤野。
「お茶また用意しますね。」
藤野がまたキッチンに向かう。
その彼の姿を見て、わざとらしく呟く。
「面白いよ……その行きすぎた探求心は。」
-----------
思ったより薄くなった二人。
※小浜黒葉
珍しく任務もないから、洋斗でもからかおうとした矢先に彼が声をかけてきた。
「ねぇ、小浜さん。暇でしょ?」
藤野司。
僕の代わりに騙し屋を務める男。
代わりなんて本意じゃないかもしれないけど。
「暇だけど」
「お話しません?」
藤野は笑顔で聞いてくる。
その笑みは後輩みたいな幼い笑みじゃなくて、腹の底が見えない、嫌な笑顔。
「いいよ、お茶でも飲もうか」
藤野を連れて食堂へと向かう事にした。
食堂には幸いか誰もいなかった。
「何にします?」
藤野がカップを選びながら聞く。
「緑茶」
僕は何故かそう答えていた。
決してちょうどお茶ブームだったとかじゃない。
「分かりました。じゃ、僕もそうするかな」
藤野は楽しそうに緑茶を注ぐ。
それをテーブルに置き、二人で啜る。
しばらく飲んでいた僕らはようやく会話を始める。
「小浜さんはなんで騙し屋になったんですか?」
「からかっていたのが、面白かったから、かな。人が僕の嘘で踊らされる姿が面白かったんだ。だから、騙した」
それはいつか洋斗にこっぴどく怒られるんだけどね。
「それも面白そうでしたね。」
藤野は、口惜しそうに呟く。
「じゃ、藤野はなんで騙し屋になったの?」
「……知りたかったから、ですよ。例えば、僕が嘘を吐いたら彼はどう動くのか。僕に心酔したマリオネットはいつ糸を切るのか、いつも一緒にいる彼がいなかったら、残された人はどうするのか、とかね」
僕は、からかうために。
所詮は軽い悪戯なので、死に至る嘘は吐かない。
だけど、藤野は違う。
藤野は探求心から人を騙している。
それは行きすぎた探求心。
いつか、人を殺しかねない探求心。
「風上君、死んじゃうかもよ」
「そしたら、僕のどの嘘で死ぬんですかね。」
「風上君、好きじゃないの?」
藤野は嘲笑う。
「風上は僕の人形。心酔しきった操り人形。どうなろうと僕の自由。それだけ。そこに感情はないよ。」
きっとそれは恋愛感情に近いはずなのに。
気付いてない。
「成る程ね……面白いな、君は」
「いえいえ、そんな事ないですよ。」
わざとらしく謙遜する藤野。
「お茶また用意しますね。」
藤野がまたキッチンに向かう。
その彼の姿を見て、わざとらしく呟く。
「面白いよ……その行きすぎた探求心は。」
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思ったより薄くなった二人。
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