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山の上の世界の話。

かなり本編っぽい話。

・妖怪の悪巧み
※弓ヶ浜東火
「久しぶりですなぁ……弓ヶ浜」
山の山頂の洞窟。
そこに妖怪の長である綾柏妖狐がいる。
妖怪、妖狐でありその中の最高クラスである九尾を持つ。
普段は女性の姿をして、着物に扇子と古いものを好む。
「最近は、本部っちゅー人間の所で遊んどるみたいやないか。」
「殺されそうになりましたからね。逃げ場があそこしかなかっただけですよ」
私が答えると、妖狐は妖しく笑う。
「そうね……まさか村に裏切られるとは思わないものねぇ……。」
俺達、弓ヶ浜は村と妖怪の取引で生まれた一族だ。
村を山に住まわす代わりに妖怪の監視をつける。
その監視が俺達だ。
だから、俺たちは正確には妖怪の一族ということになり、妖怪の長に逆らうことはできない。
「ふふふ……今、神血というものが流行っているそうじゃない?」
「神血……」
雨境が顔をしかめる。
「そう、わらわはその神血がほしい……」
「どうして弓ヶ浜に言うんですかね?鬼でも使えばいいでしょう」
私は、瀬戸君を庇うように妖狐に聞く。
妖狐はただ扇子を仰ぐだけ。
「鬼京は殺してしまうかもしれないやろ?わらわは見てみたいだけというておる」
「だから……俺たちがつれてこいと?」
雨境が低い声で呟く。
「そうというておる。弓ヶ浜は我ら妖怪のものやぞ?」
妖狐が扇子を閉じ、雨境に向ける。
雨境は悔しそうにたじろぐ。
「分かりました。けど、一つ条件がありますよ」
雄飛兄さんが、持ち掛ける。
「神血は見るだけです。手を出すのはやめてもらいますよ。本部……いや、吸血鬼のものですから」
「ほう!吸血鬼か!懐かしい名じゃのう!本部には吸血鬼までもおるのか!」
妖狐が機嫌よく笑う。
「そうじゃな。まずは約束しよう。つれてまいれよ」
「はい。」

山頂から降りた所で、雨境が雄飛兄さんにつっかかる。
「雄飛兄さん!あの狐が、氷河に何かしないわけないだろ!」
「でも、俺たちは妖怪のものなんだよ。妖狐には逆らえない」
「くそっ……!」
雨境が悔しそうに舌打ちする。
すると、向こうから四人が洞窟に向かってきた。
「あ、鬼京さん」
文弥が声をかける。
気さくに声を返したのは、鬼京金祇だった。
「おう、弓ヶ浜の連中か!」
「妖狐に会うの?」
「まぁ、たまには姐さんに顔ださねぇとな……。自由にしてるとはいえ怒られちまう」
文弥と金祇が仲良さげに会話をする。
文弥はもともと誰にでもよく話しかけるし、金祇は人間には気さくな男だ。
「貴様らは、いつまで人間の世界にいるつもりだ」
水祇が私に聞く。
「結構居心地いいのでね。しばらくはいるかもしれませんね」
「……堕ちたな、弓ヶ浜」
「水祇。こう考えたらどうよ?」
風祇が水祇の肩をたたく。
「弓ヶ浜は、妖怪のスパイなんだよ!潜入して、本部の情報を妖怪に横流ししてる!みたいなさ!」
「我ら妖怪にそんな姑息な手段必要ないだろ」
「確かにないけどさー。妖狐姐さんって結構人間に興味持ってるじゃん。そういうことだよ」
「ふふ、そういうことにしておきましょう」
風祇の言うとおりのことを実際にしているのだからね。
「おまえら、そろそろ行くぞ」
「おう、じゃあな!文弥!」
「じゃあねー」
金祇と文弥が手を振り合う。
仲、よすぎないか?

「帰れー!」
麓に降りると、倉月広野が誰かを吹き飛ばしていた。
木端天狗である彼は、妖怪の下っ端だ。
「うわーん!」
吹き飛ばされてるのは、手仕舞君だ。
何やってんだ、あの人。
「おい弓ヶ浜!人間をここに入れないようにするのもお前らの役目だろ!」
「そーですけど、その人は聞かない人なんですよ」
文弥が手仕舞君を助けに先に降りる。
「はぁ、山に登ろうとするなんていかれたやつだよ……」
広野がため息をつきながら、帰って行った。
「手仕舞、何してんの?」
雨境が聞くと、手仕舞君が頭を抱えながら答えた。
「東火さんを迎えに来たんだよ」
「俺らは?」
「君らも!」
雨境が珍しくため息をつく。
手仕舞君にはついていけないんだろ。わかる。
「アホですねぇ……君も」
「いいんですよっ、最初に東火さんに会いたかったんですから!」
手仕舞君がぴょんと軽く飛んで抱き着こうとする。
それを避けきれずに、一緒に倒れこんでしまう。
雄飛兄さんが受け止めてくれたが。
「危ないなぁ……もう」
雄飛兄さんはくすりと笑った。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――
妖怪を書いてみた。
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