忍者ブログ
一次創作ファンタジー小説中心サイト。 このサイトにある全ての小説の無断転載は禁止しています。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

氷河苛め祭。

フラクタルミラージュ編。

・フラクタルミラージュの魔術師
※瀬戸氷河
誰かを傷付かせずに済むには、どうしたらいいか。
なんて、考える人がいたとしよう。
そしてそれはいつしか、自分以外の人に触れさせたくなんて独占に変異して、歪んでいく。
その歪みの結果が今なのかもしれない。

「蜘蛛の巣ってのは、結構賢いものでね、捕まった蝶を逃がさないようにしていらみたいだよ。俺には……そこまで出来ないよ」
「どの口がそれを言うんだよ」
薄暗い地下監禁場。
いつ頃それが出来て、使われなくなったのか分からないけれど。
俺は、丙に囚われていた。
蜘蛛の巣に捕らわれた蝶のように。
「だって氷河は何をしてもすり抜けるんだもん。ここまでしないと固定できない。ふらふらと飛び回る蝶みたい。」
丙の糸にくくりつけられ、糸が巣を作り上げた。
糸は緩やかに痛む。
あの細い糸に縛られているのだから。
「俺は、蜘蛛だったのかな。氷河を捕まえるための毒蜘蛛。……恭二達に怒られちゃうかな」
「そう思うんなら、離せよ」
「……やだ。俺だって氷河がほしいもん」
丙が顔を伏せて答える。
「なんで、俺なんだよ」
「だいたいさ」
丙が俺の言葉を遮る。
「氷河の最初の友達は、俺なんだよ。最初に氷河の拠り所を作ったのは俺なんだよ?なのに、どうして俺より後に仲良くなった恭二に全て捧げようとしちゃうの?信じられないよ、俺だって氷河が好きで好きで仕方無かったのに、どうして恭二なの?」
丙が早口で呟く。
そして、注射器を取り出す。
「なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで?ねぇ氷河、答えてよ」
「ひ、のえ……っ」
壊れてしまったかのような丙に怯える。
答えなんて、出せるはずが。
「なに?もしかして理由がないの?そんなわけないよね。だって、そうじゃなきゃあんなに必死にならないもんね。ねぇ、氷河?」
丙がいつの間にか俺の傍にいた。
耳元で囁く丙。
「ねぇ、聞いてる?」
「……っ、聞こえてる!なぁ丙、そんなのに理由が出せるわけないだろ!?」
「無いんだ……。そっか。」
丙が歪んだ笑みを見せる。
「なら、今日から俺のものにしようかな!」
「つ、っ……!」
注射器の針を刺され、何か毒を入れられる。
「熱毒。そういえば呪いの調子はどうなんだっけ?もう蔓延しきったんだっけ。」
体が熱い。風邪を引いたかのようにぼんやりする。
「ひのえ……っ、なんで……!?」
「苦しくなってきた?古い魔術師の毒だったと思うんだけど、効果覿面だね」
息がしにくく呼吸が乱れる。
それを聞いて丙は愉悦に笑う。
「氷河のそういう顔、好きだなぁ……熱にうかされてて可愛い。」
「悪趣味、だな……」
「ごめんね。でも、全部俺の本音だよ。氷河を閉じ込めたかったのも、毒におかしたかったのも、全て。」
丙はまた別の毒を用意する。
「だって、氷河はすぐにいなくなっちゃうんだもん。だったら、捕まえたときに動けなくすればさ、もう俺のものでしょ?」
それを俺の腕に差す。
「う……また、か……っ」
「逃げないで。ずっと傍にいて。」
丙が囁く。
「逃げられるわけ、ねぇだろ……こんなんじゃ……!」

※???
事実だと思い込ませればいい。
そうすればいくら幻影の中とはいえ、痛覚は呼び出せるだろう。
神血と呼ばれた青年の心を砕く。
それはとてもたやすい魔術。

------------------
毒蜘蛛と蝶。

これ、短いかもな。

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
プロフィール
HN:
天草八津芽
性別:
女性
自己紹介:
BLでファンタジー小説が多いです。
ひっそりひそひそ書いてます。
ツイッター
メインアカウント(妄想ばかり)


オリキャラ紹介bot
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
ブログ内検索
P R

Copyright © [ 妄想の隠れ家 ] All rights reserved.
Special Template : 忍者ブログ de テンプレート
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]