コラボ第三弾。
学園パロディで、生物と現実をまぜこぜにしてみせる！
生物部編。

キャスト
月下美人の不良
瀬戸 氷河
せと ひょうが

最強の現国教師
赤空 葉菊
あかぞら はぎく

平穏を望む主人公
伊勢 零一
いせ れいいち

普通で普通な女子学生
井伊原 友恵
いいはら ともえ

台風の女王様
囲炉裏 華
いろり はな

見えないふりした異端
池崎 藤夏
いけざき ふじか

名のない教師
雨顧問
あめこもん

※瀬戸氷河
「生物部？」
葉菊さんに連れてこられたのは、生物部部室。
いわば理科室。
「そういえば、伊勢と井伊原さんが生物部だったよな……」
「そうそう。あそこの茶はうまいぞ。」
「目的、それかよ」
葉菊さんが強引に扉を開ける。
「げ、葉菊先生なの、なの！」
井伊原さんが携帯ゲームをしながら心底嫌そうに言う。
「おい茶は用意したんだろうな！二人分！」
「いや、俺はいいって……！」
「もう準備は出来てますよ、先生」
俺は遠慮したが、伊勢は俺の分のお茶も用意してくれていた。
「おう、さすが下僕。」
「そうだ、零一。ついでに私にも寄越せ」
「分かりました。」
本を読んでいた女生徒が、零一に命令する。
零一は、腰を低くし執事のようにふるまう。
ほんとーに使われてんだな……。
「えっと瀬戸君。」
「はい？」
ここの顧問であるだろう人物が話しかけてくる。
「私は、雨顧問。えっと、見学ってことでいいんだよね？」
「そうですね、俺はミステリー研究会に入ることが決められてしまったようなので」
社交辞令で会話する。
大人相手の方が対応しやすい。
ミステリー研究会という単語を聞いた途端、零一が反応して俺に詰め寄る。
「お前、じゅうよんのとこに入るのか！」
「え、じゅうよん？」
「黒塚裕だよ！知ってんだろ！？」
「あ、ああ……裕な。あいつの友達？」
「友達というかなんというか……」
「それ以上はやめとけ、零一。」
今度は眼鏡の男子生徒に制される。
「ああ部員紹介しなくちゃね。部長、よろしく。」
雨顧問が、井伊原さんに指示する。
え、あの人が部長なのかよ。
「私が部長の井伊原友恵なんだよ、だよ！って同じクラスだもん！紹介したじゃん！」
本を読んでいた女生徒が立ち上がる。
「友恵に紹介されたくないから自分でする。オレは囲炉裏華。生物部の合宿マネージャーをしてる。」
次に眼鏡の男が、立ち上がる。
「俺は池崎藤夏だ。」
「ちょっと！私に紹介させてよ、てよー！」
周りが勝手に自己紹介をしてしまったせいで、出番のなくなった部長。
何を哀れに思ったのか雨顧問がフォローする。
「活動内容とかは説明できるんじゃない？」
「あ、そうだね！私達、生物部はお茶飲んだりとか解剖とかゲームしたりとかしてます、ます！」
「生物の授業の延長だと思ってくれてもいいよ。」
生物の授業は、あまり好きではなかった。
動物に例えはしているが、人体の話だ。
人の死体を散々見てきた俺にとっては憂欝、トラウマでしかない。
特に解剖なんて……。
「そんなに中が見たいもんかよ……」
嫌悪を込めて呟く。
殺せば嫌でも見えてしまう。
殺さなくたって見える。それほどの傷を俺は見続けてきた。
内臓やら見た所で、何もいいことはない。むしろ辛いだけだ。
……それを研究しようだなんて、魔術師にも似た思考。
俺には理解できない。
幸い、誰にも聞こえていなかったようで、反応は帰ってこないですんだ。
「どっちにしたって、俺はここに入部する気はなかったな」
「そっか、残念だね」
雨顧問が寂しそうに笑う。純粋に部員が欲しかったのかもしれない。
葉菊さんが上機嫌で俺の肩を叩く。
「まぁこいつは私のものだからな」
「あんたのものになった覚えもない！」
それを振り払う。
払われても葉菊さんは、けらけらと笑う。
「あ！私、ゲーム研究会の方に用事あるんだった！」
井伊原さんが唐突に何かを思いだす。
そして、すぐに部室を出て行ってしまった。
「……兼部もありなんですか」
「支障がなければ問題ない。」
自由、すぎないか？ここ。

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生物部ってよく考えたら氷河の一番嫌いなジャンル。
傷が見れない人が解剖できるとは思えなかった。