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幸せと治癒術のはなし。

・救える日を
※如月才臥
「おい、才臥!」
任務帰りにラウンジに寄ると氷河に呼び止められた。
俺が足を止めると、氷河がこっちに歩いてくる。
「ほら、腕見せろ」
「え」
大人しく腕を伸ばす。
任務で魔物に斬られた傷が晒される。
血は止めたし、ばれないと思ったんだけどな。
氷河は傷口に手を乗せた後、意識を集中させたのか目をつむる。
淡い光が傷を癒す。
「なんで……」
「なんでと言われても。俺にはわかっちまうんだよ。」
「気にしすぎじゃね?」
「そうかもな」
困ったように笑う氷河。
負担をかけさせるつもりはなかったのに、向こうから気付いちまうんじゃ難しいな。
「あ、そうだ。試したいことがあるんだけどいいか?」
「いいぜー、どうすりゃいいの?」
珍しく氷河から何かしたいと言い出した。
「立っててくれたらいいから。じっとしててくれよ。」
なんとなくビシッと気をつけをしてみる。
氷河は苦笑いをした後、目をつむり手のひらをこちらに向ける。
何やら呟いた後、俺の全身が淡い光に包まれる。
「すっげぇ……」
感嘆する。
かすり傷も癒えていく。
なんだか気分が楽になった気がする。
大きく息を吐いて、氷河は目を開ける。
「どうだ、気分は?」
「楽になったぜ!かすり傷も消えたし!」
「よし、いけそうだな……」
「何したんだよ、氷河」
氷河は、言葉を選ぶように話始めた。
バカだと思ってやがるな。
「俺が今まで出来たのは、一点集中の治癒術なんだよ。ええと、さっきの大きな傷なら治るけど、細かい傷とか毒とかは治せない。だから、そういうのを癒す治癒術を学んで、やってみたんだ。」
「それ、お前の体は平気なのか?」
「ああ、大丈夫そうだ。そこまで神血の力を使うものじゃねぇから」
氷河は、魔力の制御が下手らしい。
莱桃さんから聞いた話だからわかんねーけど。
それに氷河は抱え込みすぎなとこあるから、なんだか心配してしまう。
「ありがとな、才臥。確信が持てた」
「あれ?氷河って治癒術嫌いじゃなかった?」
あんなに嫌々いいながら治癒術かけてくれてたのに。
あのツンデレはどうしたんだろ。
と、聞くと氷河は照れ臭そうに笑った。
「……考えを変えてみたんだよ。」
「どういう意味で?」
氷河は更に顔を赤らめてツンとそっぽを向く。
「べ、別にいいだろ!?」
「よくねーよ!教えろって!」
逃げ出そうとする氷河に、つかみかかって問い詰めると小声で呟いた。
「……俺だって、誰かを救いたいって思っただけだよ」
「え、なに?聞こえない!」
聞こえてたけど。
すると氷河はやけくそ気味に叫ぶ。
「俺だって!助けになりたいんだよ!助けられて、守られてばかりはもうたくさんだ……」
最後の方は小声になっていたが、よしとしよう。
氷河のために命を懸けちゃうあの三人への気持ちが強いんだろうと思ったから。
「ついに氷河もヒロイン化かー」
「誰がヒロインだ!」
「でも、治癒術勉強しちゃうってそういうことじゃね?」
「俺にしか出来ないから……やってるだけだよ。」
「そういうレアリティが、狙われちゃう原因なんだよなー」
「そうみたいだな」

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考えを変えてみる話。
赤面させたかった。
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