お酒の話。
どんどん人が増えていく話でもあります。

・大団円の大宴会
※篝祇亜須磨
食堂に酒を大量を用意しての大宴会をすることになった。
どうしてだろう、俺はすごく嫌な予感がするんだが。
「宮代！ビール！」
俺と一緒に来た氷河さんがすぐにビールを頼む。
恭二さんも、芳示さんも、丙さんまでもが続いて同じものを頼んだ。
「意外ですね……氷河さんはワインが好きだと思ってました」
「あぁ？亜須磨、いつまでも俺の過去引きずってんじゃねぇよ」
思わず口に出してしまうと、氷河さんに怒られた。
かわりに恭二さんが、笑いながらも話してくれた。
「氷河が貴族だったのって、小っちゃい頃だったからねー。成人した頃はとっくに不良になってた時だよ？」
「あ……ごめんなさい」
「そんな憐れんだ眼でこっち見るな」
「でも、お前、赤ワイン飲んでたよな？すっげー赤い奴」
と、芳示さんが話を切りだす。
氷河さんは宮代さんからビールの入ったジョッキを受け取りつつ、答える。
「ワインも嫌いじゃねぇってだけ。でも、俺はやっぱビールかな。サワーじゃ物足りなくなってきちゃったし」
「違うんだよ、芳示。それは嘘だ」
雨境さんが入口でドヤ顔をして、立つ。
弓ヶ浜兄弟は、それを抜けて宮代さんにお酒を頼む。
「俺ね、赤ワイン飲んでる氷河に絡まれたことあるんだよね。『恭二がいなくて寂しいよー』って泣かれちゃってさぁ」
「なんだよそれ、ずりぃぞ！」
芳示さんが食って掛かる。
雨境さんは更にけらけら笑いながら話す。
「そんでね、赤ワインって血の色がするよな、って言ったら、恭二の好きな血の色……とかななんか意味深な言葉呟いちゃったりしてさ！酔ってたとはいえ、あれはもう黒歴史だよね！」
「うるせぇんだよ！雨境！」
氷河さんが顔を真っ赤にして雨境さんを指さす。
雨境さんはもう有頂天だ。氷河さんをからかってすごく楽しそうだ。
そんな彼の背後に人影が見えた。
「あのー。邪魔なんですけど、雨境さん」
「え？あ、ごめんね、津川」
雨境さんが入口からどいて宮代さんにお酒を頼む。
津川さんは、大きなため息を吐いた後に、席に座る。
「よっしゃ、飲むぞー！」
「飲むぞー！」
小桧山さんと赤羽さんがハイテンションで入ってきた。
あの人たち、もう酔ってるように見えるんだけど。
「もう、誰がこれを止めるんだか……」
「津川も飲んでいいんだよ？たまには羽目を外したらどうだい？」
「いや、いいですよ。俺はゆっくりサワーを飲むのが好きなんで」
「そんなんだから、津川はもったいないんだって」
関根さんが、くすりと笑って小桧山さんを呼ぶ。
「天地、津川お願い！」
「あいよー、まっかせなー！」
小桧山さんは、津川さんの目の前にビールジョッキを置いた。
「えええええ！？こんなの、飲めないよ！？」
「だーいじょぶだって！津川もはっちゃけようぜ！」
「無理だってばー！」
「こーら、そんなに苛めてやるなって。」
宮代さんが、津川さんにサワーを渡す。
「お酒はほどほどに、って言うだろ？」
「あ、ありがとうございます……宮代さん」
「いいって。サワーで酔えばいいんだから」
「え？」
津川さんが、珍しく弄られている。
こういう席だと誰彼関係ないもんなー。
と、俺がきょろきょろしていると、いきなり誰かに肩を組まれた。
「うわっ！？」
「あーすまー、お前もうちょい飲んだらどうだ？」
氷河さんだった。
眼鏡もおいて、綺麗な顔が俺を覗き込む。
かえって緊張してしまうのは、何故だろう。
「え、ええと、ごめんなさい。宮代さん、俺にもビール下さい！」
「そーこなくっちゃな！」
氷河さんが大声で笑ってる。
こんな氷河さん滅多に見られないぞ、レアシーンだ。
勢いよくビールを飲み干して、ドン、とジョッキを置く。
「宮代ー！もう一杯！」
「はいはい」
宮代さんがビールをまた氷河さんの所に置く。
これ以上壊れる氷河さんなんて……見てみたいかも。

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この先何も思いつかなかった。