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眠り姫と女の子。

・エンドスリープの魔術師
※茅野三奈美
氷河さんが眠ったまま目覚めないと吾野さんから聞いた。
いてもたってもいられなくなった私は、吾野さんと一緒に本部に向かうことにした。
抗議をするときから通いなれた場所だけど、人を救いにいくとなると全然違う。
吾野さんに部屋を案内してもらい、氷河さんの部屋の前まで来る。
そういえば、氷河さんの部屋って入ったことないかも……。
「そういや、三奈美ちゃんは氷河の部屋入るの初めてだっけ?」
吾野さんが、丁度思っていたことを言った。
「ええ……そう、よ」
「男の部屋なんて、殺風景なもんだよ。あ、好きな男の部屋だったら何でもきれいに見えちゃう?」
「な、何を言ってるのですか!吾野さん!」
吾野さんがにやにやと笑っている。
私の気持ちを知ってからかっているんだわ。
本当に迷惑なとこだけは変わらない人。
吾野さんが扉を開ける。
ベッドには、氷河さんと丙さんがいた。
「連れてきたぜ」
「ありがとうございます。」
丙さんが指先を動かしてから、入って、と言われた。
なんで指を動かしたのかしら?
中に入り、眠った氷河さんを見る。
とても、綺麗な人。
彼の寝ているところは、一度見たことある。
そのときは疲れていたのか寝息をたててすやすやと寝ていたから、毛布をかけてあげたの。
同じはずなんだけど、今の彼には生気がない。
死んだように眠っている。
「茅野、治癒術を試してみてもらっていい?」
丙さんが私に聞く。
私は、聖書を開いてから答える。
「もちろんよ。」
魔術的に眠らされたのだろうから、解呪の魔術を使えばいい。
意識を集中して、聖書から魔力を引き出す。
氷河さんの肩にそっと触れて、治癒術をかける。
だけど、成功した感触がなかった。
協力な呪術でも使われているのかしら。
「……どうかな、三奈美ちゃん」
呆然とした私を気遣って、吾野さんが聞いてくれた。
私はただ首を横に振る。
「治癒術では治せない強力な呪術がかかっているの。術者をどうにかしないとダメね」
「そうか……」
丙さんが落ち込む。
「ごめんなさい……氷河さん……」
氷河さんの顔を見つめる。
「あの方法を試してないでしょうが、ほらっ!」
吾野さんの楽しげな声の後に、私は背中を誰かに押された。
その勢いのまま倒れこんだ私は、氷河さんと唇を合わせてしまった。
「あ……」
丙さんが呆然とする。
「やっぱダメか」
そんな軽い声がして、我に返った私はすぐに離れて、吾野さんに怒る。
「ちょっと!何するのよ!」
「あ、もしかして氷河とキスしたの初めてだったの?」
「は、初めてよ……」
思い出したら、恥ずかしくなってきた。
恥ずかしがる私をさらに吾野さんはからかう。
「なんだよ、三奈美ちゃん、照れちゃって!」
「う、うるさいわね!ファーストキスはこんな形じゃなくて、氷河さんから……」
「されたかったって?」
想像してしまい、火が着いたように真っ赤になる。
氷河さんからエスコートされるなんて、ますます好きになってしまいそうで……。
「……されたかったな……」
「もー、三奈美ちゃんは初々しいよなぁ!」
「吾野さん、いじめすぎじゃない?」
丙さんが、吾野さんを止める。
「ああ、悪いな!」
「丙さん、力になれなくてごめんなさい」
聖書を閉じ、丙さんに謝る。
「いいよ、気にしないで」
「ええ……それじゃ、失礼しますわ」
私は、すぐに部屋を出た。

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乙女な茅野ちゃん。


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