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犠牲愛のはなし。

いたいだけですやん。

・ウィップスレイブの魔術師
※瀬戸氷河
俺は泣き出した茅野にかけられる言葉もなく、ただ抱き締めていた。
彼女が傷付いて失われるのは、俺は耐えがたい事だったから。
「……そうね、救われないのよね。どちらかが傷付いても意味がない。」
落ち着いた茅野が呟く。
「それならば、両方傷ついてしまえばいいんじゃないかな?」
魔術師が、容赦なく鞭を俺の背中に叩き付ける。
茅野を庇っている状態の俺なら、抵抗できないと判断したのだろう。
「は、っ……てめぇ……!」
魔術師は、嘲笑う。
そして、何度も打ち付ける。
前よりも非情に、非道に。
「さて、君はいつまで彼女を守っていられるのだろう?」
「ふざけたことを……ッ!」
茅野がまた怯え始める。
「やめてよ……こんなの、狂っているわ……」
茅野の知らない魔術師の狂気。
よく被害にあっている俺には慣れたものだが、茅野には恐怖でしかないんだ。
「大丈夫だって。どうせ、治せんだから……」
「そんな話じゃ、ないでしょ……?やめてよ、氷河さん」
茅野が治癒術をかけようと、魔力を集める。
それを阻止するためか、魔術師も渾身の力で鞭打つ。
「ぐ、あ……ッ!」
今までの傷に、打ち付けられる痛み。
耐えきれなくなった俺は、一人崩れ落ちる。
茅野が黙って立ち上がり、魔術師に質問する。
「処刑の魔術師というのなら、氷河さんになんの罪があって裁こうと言うの?」
「彼の罪は、神血であることだろうな」
「だったら、私だって同じです!」
「そう、だから貴様も殺す。順序があるだけだ。」
「どうせ殺すなら、こんなになるまで痛め付けなくてもいいはずだわ!」
「黙れ小娘」
「きゃっ!」
茅野に鞭を打つ魔術師。
よろけて倒れこんだ所にもう一発鞭打つ。
「私は、貴様らのそうやって泣き叫ぶ声が好きなんだよ!貴様らのせいで、我らは滅びた!貴様らの死が我ら同胞への喜びと言えよう!」
魔術師がようやく本音をいった気がする。
鞭を出鱈目に打ち続ける。
俺も、茅野も狙って。
「ははははははは、あははははははははははは!」
壊れかかった魔術師が笑う。
そのときに俺は、傷つく茅野を見てしまった。
ぷつり、と何かが切れた俺は、すぐに自分に治癒術をかける。
それは過剰に魔力を消費するほどに。
「てめぇッ!」
瞬時に魔術師の懐に入り、蹴り上げ、追い討ちに蹴り飛ばす。
「氷河、さん……」
茅野はこのときに、過剰な魔力の流れに気づいたのだろう。
止めようと手を伸ばす。
だが、それは俺には届かない。
起き上がろうとする魔術師の腹を踏みつける。
「よくも、やりやがって……!」
「ぐぅっ……君は、彼女を優先するのか……?」
「当たり前だ!」
更に力を込めて踏むと、魔術師は息をはく。
「今すぐに殺してやるよ」
氷の魔術で、氷槍を作る。
「俺は、人の悲鳴なんか興味ねぇから」
それを魔術師の心臓を狙って突き刺した。

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Q,氷河は茅野が好きなの?
A,氷河も気づいていない恋愛感情があります。
女の子だから、神血だからと言い訳の抜け道がある恋愛。
何十年後というエピローグがあったとするなら、彼は茅野と結婚してそうなぐらい。


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