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普通の話。

・ウィップスレイブの魔術師
※瀬戸氷河
茅野は、俺の姿を見るとまず泣きそうな表情をした。
痛々しいものが俺以上に見られない奴だから。
「氷河さん……また、一人で苦しんでいたのね」
「こんなの、慣れてんだけどな……」
「ダメ、その痛みに慣れてはダメなのに……」
茅野はうわ言のように呟きながら、こちらに向かう。
それを魔術師の妹らしき女が髪を掴んで引き戻す。
「自分の立場が分かっていないのかしら!?」
「離してください!私は、あの人を……!」
「これだから教会の人間ってのは、ムカつくんですわ!兄様、早く処刑を!」
「分かったよ、じゃあ君は帰ってくれないか?」
「また兄様の独り占めね。分かったわ。」
魔術師はくつくつと笑うと、魔術師の妹を帰らせる。
次に魔術師が指を鳴らすと、俺を縛っていた鎖が外された。
釣られた姿勢から、がくりと崩れ落ちる。
「どういう、つもりだ……?」
「順番を変えるだけだ。その娘からいたぶるとしよう。」
その言葉を聞いて、ゾッとした。
先程俺にしたことを茅野にしようと言うのだから。
「それだけは、やめろ……ッ!」
無理に体を動かそうとするが、動かない。
「氷河さん!それ以上無理しないで!」
茅野が魔術師の思い通り、俺のもとに来てしまう。
座り込んで治癒術をかけようと手を伸ばす。
それをみた魔術師が笑った。
「ふふ……予想通りじゃないか」
「どうして、簡単に人をここまで追い詰められるの……?」
茅野は、魔術師に向かって叫ぶ。
「本部と同じよ!簡単に人を殺して、そこになんの感情も持たないのだから!魔術師だって、同じなのよ……!」
「元々私は処刑をする魔術師なのだよ」
魔術師は茅野の言葉を一蹴する。
その一連の隙に俺は治癒術で自分をある程度治してから、魔術師を殴り飛ばす。
飛ばした魔術師は驚いていた。
「貴様、動けたのか……?」
「……神血の能力を見謝ったな。こんぐらいなら、治せんだよ」
茅野の前に庇うように立つ。
何があっても彼女だけは、守れるように。
「茅野には、触れさせねぇ」
悔しがる所か魔術師は、上機嫌に笑った。
壊れかけたように笑う。
「最高じゃないか!また鳴いてくれるんだろう!?取引といこうじゃないか!」
「取引だと……?」
「その娘を俺に差し出すか、貴様が再び痛みを覚えるか!どちらかを選べ!」
茅野は、魔術師に怯えている。
何をいってるんだかさっぱりわかってなさそうだ。
「私はその娘を処刑したいがな」
更に茅野に向けて話を続ける。
「君、彼が気になるんだろう?彼は君の代わりに殺されようとしている。君が庇えば彼は救われる。もう、先程のような傷を受けなくてすむんだよ」
「こっちを惑わそうとするのは、卑怯じゃねぇか?」
「氷河さんが……救われるなら……」
茅野が立ち上がる。
ふらりと魔術師のもとへ歩き出す。
それを抱き締めて止める。
ふと思えば、本能的な行為だった。
「茅野!ふざけたこと考えるな!」
「でも、もう氷河さんの傷つく姿、見たくないの……!」
とうとう泣き出した茅野。
俺のせいとはいえここまで抱えさせてしまったと思うと、歯痒い。
「行かせて……私でも、氷河さんを救えるなら……!」
「それは、救いにならねぇだろ……」

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自己犠牲コンビのドラマティック恋愛。

普通の恋愛書きたかったんだよ。
普通じゃねぇか。
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