忍者ブログ
一次創作ファンタジー小説中心サイト。 このサイトにある全ての小説の無断転載は禁止しています。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

反動と酒乱のはなし。
ウィップスレイブ最終話です。

・deep night
※榎本恭二
俺は、吸血するに際して一個だけ決めたことがある。
それは、氷河が疲れてるときには吸わないってことだ。
例えば、任務終わりとか魔術師から逃げ出した後の夜は吸血しにいかない。
疲れてるだろうから休ませてあげたいんだ。
それから翌日にでも思いきり吸えばいい。
俺だってちゃんと氷河に気を使っているのだ。
というわけで、氷河が帰ってきた今日。
おとなしく寝ようとベッドに潜ると、ドアをノックする音が聞こえた。
「んー、だーれー?」
俺が声をかけるとドアが空いた。
誰か聞いただけなのに。
「恭二……」
ドアを開けたのは氷河だった。
眼鏡をどこかにおいてきて、ふらふらしている。
俺はベッドから飛び起きてふらついた様子の氷河を支える。
そしたらなんと!
氷河から抱きついてきたではないか!
上目遣いで氷河が聞く。
「恭二……血、いるだろ……?」
「いやいやいや!今の氷河からは吸えないよ!」
「じゃ、俺が吸われたいから、吸血してくれよ……」
と、氷河が上着を脱ぎ始める。
待って待って!と俺がすぐに自分のワイシャツを用意して氷河に投げる。
受けとるけど、羽織るだけだ。
こいつ、酔ってるのか!?
誰だよ、氷河に酒飲ませた奴は!
「氷河!待ってってば!」
これ以上氷河にふらふらされると俺がおかしくなりそうなので、腕をつかんで引き寄せる。
そして、抱き上げてベッドに寝かせてから、俺が組伏せる。
「きょーじ……?」
「わかった、吸われたいんなら吸うから!俺だって、欲しいし……」
「へへへ……」
嬉しそうににやける氷河。
俺は牙をたてて氷河の首筋に噛みつく。
氷河がびくりと反応する。
「恭二、もっと深く刺せ……」
言われるがまま、牙を更に深くいれる。
もー、氷河ってばいつからこんなマゾヒストになったんだか。
氷河の異変を気にして早めに切り上げる。
「もーいいよ。ほら氷河」
「恭二、もいっこ頼みがあるんだけど」
「え?」
「俺を、抱いて、くれないか……?」
「は?」
ごめん、氷河がなに言ったのか受け入れられない。
氷河は、恥ずかしそうに言う。
「犯してほしい、って言ってんだよ……」
「えええええええええええええー!」
氷河が、そんなこと言うなんて!
いっつも俺の攻めでやってんのに!
「え、いいの?ヤっちゃうよ?そんなこと言っちゃって、ほんとにいいの?」
苛立ったのか唐突に氷河からキスをされた。
舌までいれてくるディープキス。
「いいって、言ってんだろ……!」
「氷河……後悔しちゃ、嫌だからな」
今の氷河を見て、欲情しないわけがなかった。

行為の最中、氷河が言った。
「おれ、さ……揺らいじまったんだよ」
「揺らいだ?」
「お前と茅野、で」
「三奈美ちゃん?」
「俺のせいで、あの子に怪我させちまったんだ。俺が巻き込んだから、茅野は傷ついてしまった」
そんなの氷河が悪い訳じゃないのに。
全部、魔術師が悪いのに。
「でさ……茅野の傷を見た途端に、許せなくなった。我を忘れて奴を殴りにいった。」
「氷河は三奈美ちゃんのこと、心配なんだもんね」
「心配なんだよ……そう、それだけなんだ。なのに、俺は彼女を抱きたいとか思ってたんだよ」
「……氷河も男だもんねぇ」
嫉妬心からわざと嫌味をいうと、氷河が急に涙を流した。
「おれ、は……恭二のものだろ?」
「そうだよ」
「だから……俺は、恭二のそばにいたいんだよ……。茅野は、心配なだけなのに、それ以上の感情がわきあがっちまうんだよ……!」
茅野に恋してるかもしれない。
氷河は俺ので、氷河だって俺のことしか見ないのに。
いや氷河だって戸惑っているんだろう。
当時の彼女の事でも考えながら。
「なぁ、恭二。俺は恭二のものだって、跡でも着けてくれよ……。痛みでもいい、から……。」
「氷河の肌、綺麗だから跡なんてつけたくないんだけど……」
氷河の目をじっと見つめて言った。
「氷河が俺のことしか見れないようには、してあげられる。俺しか氷河を満足させられないようにはできる。」
氷河の涙をそっと拭う。
氷河は俺のなの。
三奈美ちゃんには、あげたくないから。
「氷河、茅野のことなんか忘れさせてやる」

※瀬戸氷河
目を覚ますと、俺は恭二と一緒にベッドの上で裸で寝ていた。
事後というのは理解できた。
あちこちに吸血された後がある。
首筋から腕に胸に太股に。
胸元にはキスの跡。
こんなに跡をつけられたのは、初めてだ。
というか、なんで俺はここにいる。
落ち込んでいるところを藤野さんに見つかって、酒をもらってからの記憶が曖昧だ。
落ち込んでいた理由は、茅野のことだ。
俺のせいで彼女を傷つけたことを気にしていた。
「ひょーが……やだよ……おれの、なんだから……」
恭二が寝ぼけて俺に抱き付く。
「誰にも渡さないんだから……氷河を守るのは、俺なんだから……」
独占欲の強いやつだ。
何したって俺は恭二のものなのに。
「俺は恭二のものだ。どこにもいかねぇよ」
声に出して言ってやると、恭二はまた眠ってしまった。

------------------
嫉妬心にまみれた恭二。
さぞかし激しいプレイだったろう。


PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
プロフィール
HN:
天草八津芽
性別:
女性
自己紹介:
BLでファンタジー小説が多いです。
ひっそりひそひそ書いてます。
ツイッター
メインアカウント(妄想ばかり)


オリキャラ紹介bot
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
ブログ内検索
P R

Copyright © [ 妄想の隠れ家 ] All rights reserved.
Special Template : 忍者ブログ de テンプレート
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]