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目覚めない後悔の話。

・リミットオーバー
※榎本恭二
莱桃さんによって、傷が開かれて倒れてしまった氷河をベッドに運んだ。
目覚める気配もなくただ眠っている氷河が愛しくて髪を撫でようと触れる。
「わっ!」
バチ、と指先に何かが弾けた。
静電気だろう。
前の電気の魔術師の傷だって全く治ってないんだ。
それに氷河の素肌には、無数の鞭で打たれたような痕が残っている。
見ているとイライラしてくる。
氷河にこんなことをした魔術師に、俺の氷河を奪った魔術師に、守れなかった自分に。
鞭で打たれた時の事は全然知らないから、想像するだけでも駄目だ。
きっと氷河の啼き声がいいからって、鞭を打ち続けてたんだろうな。
後はー、氷河ってなかなか屈服しないから、苛立ったのかも。
でも、なんで氷河ばかりがこんな目に合うんだろう。
神血ってだけで、ここまでやる必要あるのかよ。
「ひょうが……」
名前を呼んでみても、返事は帰ってこない。
傍にいるのに。
「無理ばっかさせて……ごめん。魔術師から守れなくてごめん。血を奪ってごめん。」
返事がないのをいいことに、謝る。
懺悔みたいなもんだ。
俺は氷河に許されたい。
「絶対守るから……だから、氷河も俺を頼ってよ。俺の傍で笑って、俺の後ろにいてくれよ……」
まだ返事はない。
今日のところは目覚めないのかもしれない。
やだ、笑ってよ。
大丈夫だから、って言ってよ。
辛いって言ってよ。
もう、しんどいとか言ってくれよ。
「氷河の……ばか……」
俺はみっともなく泣き出した。
だって、だって、こんなの。
渦巻く感情が辛くて、氷河の傍で泣いた。
「やだよ……氷河ばっかり、こんなことになって……!」
「恭二」
芳示に呼ばれた。
芳示は俺の泣き腫らした顔を見るなり、笑った。
「なっさけねぇな、そんなうじうじするやつだったかよ」
「だって、だってぇ……!」
「写真にとって氷河に見せてやろうか?」
「やめて!それは駄目!」
「だったらよ、顔洗ってこい。見ててやるから」
芳示に言われた通り、涙をぬぐって自分の頬を叩いた。
俺が泣いてどうすんだよ。
氷河だって笑って堪えたんだから、俺だって笑い返してやんないと。

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氷河が起きないから短め。
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