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刻印氷河編。


・ラブポーションの魔術師
※瀬戸氷河
街で見つけた恭二は、確かに誰かと話していた。
それは普通に可愛い女で、確かに恭二に似合ってる女だとは思った。
俺達は二人に見つからないように隠れて、様子をうかがった。
「まだだよ。聞くなら恭二が一人になったときがいい。」
「あぁ……分かってる……」
俺は、呆然と二人を見ていた。
恭二が幸せなら、本気で好きなら、俺もいつまでも恭二にすがる訳にいかない。
諦めなければ、ならない。
そもそも俺たちが今まで付き合ってこれたことの方が奇跡のようなもので、こうなることは分かってたんだ。
「氷河?」
「……っ、なんでも、ねぇよ」
津川さんが心配そうにこちらを見ていた。
そして、くすりと笑う。
「あのね、何て言ったらいいのか分かんないんだけど……あの二人は続かないよ」
「どういうことだ?」
「直感。恭二にあの人は似合わないよ。ずれてる気がするから」
「……でも、恭二が本気であの人を求めるなら、俺は--」
応援してやるし、身を引くつもりだ。
そう言葉にしようとしたのに、出せなかった。
「氷河だって恭二が好きなんだから、遠慮なんていらないと思うけどなぁ」
「で、でも、男同士だぞ!?」
「気にしてたんだ」
「う、まぁ、ちょっとだけ、な」
「今更だよ。氷河は女性より男性に好かれてるんだから」
「それは俺を、本当に求めてる奴じゃねぇだろ」
レイゼーは俺の血だけを求めて、雨境はからかっているだけだろうし、芳示と丙は、過保護の延長だ。
それだけじゃない。
俺は俺の血のせいで、好かれてるだけなんだ。
「……あいつらが可愛そうだなぁ」
津川さんは、またくすくすと笑う。
そして、大丈夫だよ、と微笑んだ。
「氷河は、愛されてるよ。血じゃなくて氷河自身を見てる人、たくさんいるじゃん」
「……そんなわけ」
「あるの。氷河は血のこと気にしすぎだよ。きっと、その刻印もそう。」
「これ?」
俺は体に刻まれた刻印を見る。
「きっと神血だから、じゃなくて、氷河が好きだから、こんな魔術かけたんじゃないかな。」
「それはすっげぇ迷惑な話だけど」
「でも、刻印なんてさ、まるで氷河は俺のものです、って主張してるようなものじゃんか」
確かに、そのあとの魔術師の行動を思い返せば、納得するかもしれない。
思い出したら、寒気がしてきた。
「気持ち悪ぃだけだろ」
「そうだね」
津川さんが、向こうを見て合図を出す。
「あ、ほら、恭二が一人になった!チャンスだよ、氷河!」
話をするだけ。いつも通りじゃないか。
それでも俺は、恭二に拒絶されることを怖がっていた。

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推進ステップで書きたい話、氷河ブラッドの話もちょっとあります。

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