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FNWの20話です。

「あれ、おまえ存原だろ?」
「ん?」
声をかけられた。
俺を知る人の声。
だけど、俺はその声の主を知らない。
振り返ると、女だった。

思い出そうとまじまじ顔を見ると、先に女の方から話す。
「あれ、私を忘れたのか?おいおい、クラスメイトじゃないか。」
「いや、本当に忘れた。」
素っ気なく答えると、声をかけた女はけらけら笑った。
「あははは!まぁ、お前はいつも李卯や椎過や波乃と一緒だったからな。覚えられてないのも無理はない。私は亜出風遊浦だ。思い出したか?」
「ああ!波乃の友達か!」
名前を聞いて思い出した。
波乃が電波塔となった頃から、波乃と一緒にいた男勝りの女だ。
話しやすい性格で、よく話したのを覚えている。
だが、彼女が能力者だとは聞いてない。
彼女は一人納得したように頷いた。
「やっと思い出したか。存原。全くクラスメイト以前に私は波乃の友人なのに。」
「あ、いや、そんな事よりお前何で生きてるんだ?」
質問の仕方が悪かったのか、亜出風はむすっとした表情になる。
「まるで私が死んでほしかったような言い方だな?」
「違う!あー…ここは電波の世界だろ?だからだな…」
亜出風は怒らせると怖い。
慌てて弁解しようとすると、その彼女に止められる。
「分かっているよ。私が生き延びた理由だろ。能力者だからに決まってるじゃないか。」
「お前が能力者だなんて聞いてないぞ?」
「知ったのは最近だ。美都依さんとやらに教えられた。」
美都依さんか…。
あの人は何をしてるんだか…。

そんなことより、と亜出風は俺の刀を指す。
「私はお前が刀を持ってしまっている事が驚きだよ。」
「俺の能力が戦闘向きじゃないからな。」
「ふふ、そりゃどんな能力だ?」
「『寄』だ。ちなみに刀は『斬』だ。」
能力を言うと、亜出風は大笑いした。
腹を抱えながら、亜出風は言う。
「そんな能力もあるんだな…!」
「そう笑うお前はどうなんだ。」
俺は拗ねた風に聞く。
ある程度落ち着いたらしく亜出風は答える。
「ん、私か。私はな、『壊』だ。」
「マジかよ…。」
俺だけ運が悪かったんじゃないか?
俺が落胆するのも構わず、亜出風は説明をする。
「力を加えれば大体の物は壊せる。素手のみだけどな。」
「恐ろしいな、それ。」
亜出風は近くの壊れかけた建物を見て、にやりと笑う。
「試しにやろうか?」
「いいよ、別に。どんな被害が出るか分かったもんじゃない。」
「そりゃそうだな。」
また亜出風はくすりと笑った。
だがすぐに亜出風は、ふと何かを思い出したようで俺を見る。

「そういや存原は、波乃を助けに行くんだよな?」
「そのつもりだが。」
「私も行きたい。」
亜出風は真剣に俺に言う。
彼女も波乃の友達だしな。
「よし亜出風さん。一緒に行こう。」
「遊浦で構わないさ。存原だけじゃ頼りないからな。」
亜出風は俺に手を伸ばす。
俺はその手を握った。

電波の世界の生存者。
もしかしたら意外なクラスメイトがまだ生きているのかもしれない。
俺、あまりクラスメイトの名前とか覚えてねぇんだけどな…。
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