忍者ブログ
一次創作ファンタジー小説中心サイト。 このサイトにある全ての小説の無断転載は禁止しています。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

第九話です。

聖組織の最上階に案内されたリーオたち。
広い部屋に聖組織の主が座っていた。
こちらに気付くと、椅子から立ち上がった。
「よく来てくれたわ。異世界の人間さん。」
ヴァイスは彼女に頭を下げる。
「私が聖組織の一番上。スィア・セイクリッドですわ。」
 
The last Song 第九章 聖組織の主
 
ユーニスはリーオの後ろに隠れていた。
スィアはそんなユーニスを見て、くすりと笑う。
「隠れなくても、処罰とかしないわよ?」
「ほ、本当?」
リーオの後ろで問い返すユーニス。
スィアは笑顔で頷いた。
それを見て、安心したのかリーオの後ろから出てきた。
「面白い子ねぇ。さすが、歪みの穴に飛び込もうとしただけあるわね。」
ユーニスは恥ずかしくなり、またリーオの後ろに隠れる。
「何で俺の後ろに行くんだ、おまえは。」
最初は気にしないつもりでいたリーオは、呆れて声をかける。
すぐに、「気にしないでよ!」と小声で返してきた。
「まぁいいわ。異世界の人はリーオ君でしたかしら?」
「あ…はい、そうですが。」
スィアに呼ばれ、びくりと肩を震わせる。
「そんなに怯えなくていいわよ。少し質問するだけよ。」
「答えられる範囲ならいいですけど。」
「分からなかったら、分からないと言ってくれていいわ。じゃ、ちょっとこちらに来てくれる?」
スィアはリーオを手招きして、壁に手を触れる。
隠された部屋のようなものが、現れて二人は中に入る。
 
スィアとリーオが向かい合って座る。
スィアの手にはメモ帳とペンが握られており、面接のような思い雰囲気であった。
「まず、君の世界の名前は?」
「ルオウェス。」
「聞いた事あるわ。近い位置にあるのかもしれないわね。」
リーオは怪訝な顔をする。
「聞いたことがある…?他にも世界があるというのは知られてないんだろ。」
「私達聖組織は、時空の壁の存在までは突き止めたの。でも、それを破ることが出来なかったというだけよ。」
すらすらとペンを動かしながら、淡々と答える。
「壁の存在を突き止めるだなんて…。」
「そもそもあれの切れ目を探すのが大変だわ。あれは無限ループを起こす隠れた壁なのよ。」
「俺にはそんなの分からないんだがな。」
そうね、とスィアが返す。
「じゃ、次ね。その刀は何?」
「これは、ユーニスが俺に押し付けた刀。本人いわく、これが彼女の過去の手掛かりなんだそうだ。」
「あの子、記憶がないの?」
ずっと動いていたペンの動きが止まる。
「らしいな。不思議なことに魔法の才能がない俺でも魔法が使える刀だ。」
すぐにペンが動き出す。
「ルオウェスは魔法研究が進んでいるの?」
「科学寄りの国だ。魔法の才能があるやつしか魔法は使えない。」
「不思議なものね…。触れていいかしら?」
リーオはスィアに刀を渡す。
スィアは刀を調べるように、手をかざす。
「いいけど。それの魔法は俺にしか使えないみたいだぜ。」
「異世界の君しか使えない刀…?彼女は何者なの?」
「それを調べるために俺は着いてきてる。」
「あら、連れてかれたのではなくて?」
スィアは嫌な笑みを浮かべて、リーオに問いかける。
リーオはまっすぐにスィアを見つめて、答えた。
「俺も興味を持ったんですよ。」
「なるほどね。」
 
「終わったの?」
スィアとリーオが隠された部屋から出てきた。
ユーニスはヴァイスと紅茶をすすっていた。
「終わったわ。」
ヴァイスはスィアの元に、ユーニスはリーオの元に寄る。
「スィア様。何を調べたのですか?」
「彼は異世界人なのだから、それらしい質問をね。」
スィアはいたずらっぽく笑う。
ヴァイスは誤魔化されて不満そうに、スィアを睨む。
ユーニスは不安げにリーオに聞いてくる。
「ねぇ、何聞かれたのよ?」
「大した質問じゃねぇよ。」
そっけなく答えるリーオ。
「えー…やだ、私、何聞かれるか…」
びくびくとし始めるユーニス。
それを盗み聞きしていたのか、スィアがあっさりと言う。
「あら、ユーニスさんに聞くことはないわよ。」
「「え?」」
ユーニスとヴァイスが揃って声に出す。
「ユーニスさん、記憶がないのでしょう?だったら、全部曖昧に返されちゃうじゃない。」
「あ、そ、そうね。答えられる自信はないわ。」
びくびくしていたユーニスは、冷静を取り戻しさっきまでの様子を隠そうとしていた。
それを面白がって見ているスィアはくすくす笑う。
「なら、いいじゃない。」
スィアの笑顔を見て、ヴァイスは溜め息をついていた。
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
プロフィール
HN:
天草八津芽
性別:
女性
自己紹介:
BLでファンタジー小説が多いです。
ひっそりひそひそ書いてます。
ツイッター
メインアカウント(妄想ばかり)


オリキャラ紹介bot
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
ブログ内検索
P R

Copyright © [ 妄想の隠れ家 ] All rights reserved.
Special Template : 忍者ブログ de テンプレート
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]