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第八話です。

暗い部屋。
いつになっても明かりがつかない部屋に時空を乱した犯人はいた。
「あーあ、まずいかなぁ。」
時空を歪め続けた犯人は呟く。
 
The last Song 第八章 一巡
 
誰に聞いてもらうでもなく、犯人は語る。
「さすがに怪しいよね。こんなにも行方不明者が各地に出てきたら、疑うわよね。他にも世界があるんだって、全世界にばれちゃうわよねぇ。」
「そのわりには楽しそうだね。ビレイアさん。」
リライアとは違う声が響く。
「ノーティス。珍しいわね。」
「ビレイアさんが呼んだんでしょ。」
ノーティスはマジジャンの格好をしていた。
いつも彼女はそのような格好をしているのだが。
ノーティスはシルクハットを被り直す。
「ええ。頼みがあったの。」
「なんですか?」
ビレイアは笑顔で答えた。
「ユーニス、って子の邪魔して欲しいの。」
「邪魔でいいの?」
「ええ。それで十分。彼女はきっと殺せないわ。」
ノーティスは関心がないように頷くだけだった。
「ふーん。わかった。今どこにいるかわかる?」
ビレイアはパソコンのような画面を操作して、調べる。
「えーと…ああ、この世界ね。」
「了解。じゃ、場所開けといて下さいね。」
ビレイアは、時空の穴を作り出す。
「じゃ、頑張ってきてね~。」
ビレイアは暢気に手を振る。
ノーティスが穴に入ってから、時空の穴は消えた。
「…今、全部理解されたら面白くないのよね。悪い入り口に入ってしまったみたいだし。」
 
ユーニス達は、都会的な町の噴水の前にいた。
ヴァイスが驚いた表情のまま辺りを見回す。
「…ここはフィラデル!?」
「本当に?」
リーオだけが、新しい町を見るように周りを見ている。
「お前らの世界なのか…。」
「そうね。ついに一巡してしまったのか…。まずは聖組織に行ってみよう。」
待って、とユーニスが足を止める。
「私、あそこに行ったら捕まる気がするんだけど。」
「特別に私が何とかしてやろう。」
ヴァイスは先に聖組織へと歩いていった。
ユーニスはリーオの手を引いて、ヴァイスの後を着いて行く。
 
「ちょっと待ってろ。」
聖組織の本部の前で二人は待たされた。
ヴァイスは先に状況を説明したいと言ったからだ。
「そういや、おまえはこの世界で何かしたのか?」
「まぁ、ちょっと後ろめたいことがね。」
「ふーん。おまえなぁ…。」
「何よ。」
ユーニスがリーオを睨む。
「いや、待ってる間は何か話をしないと退屈だろ。」
「確かにそうね。暇だわ。」
「だから、こうやって話題を振ってやってるわけだろ。」
「でも、あんた話の振り方下手ね。」
ユーニスがくすりと笑う。
「だったら、お前が振れっての。」
「嫌よ。ネタがないもの。」
リーオが機嫌悪そうに言うと、ユーニスは笑顔で断る。
それから、二人は何も話さずに待っていると、ヴァイスが来た。
「待たせたな。聖組織のトップがあんたらと話がしたいんだと。」
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