友人に捧ぐ、ジャンクならぬガソリン。


可愛いＢＬ。

いつか台本式で世界観設定を書きたいのですが、それはいつの日か。

かつてのハードスクラップショー8です。

・Call name
※鹿屋牙狼
羨ましい、と思っていた。
名前で呼び合うことが。呼びあえることが。
島原さんと小浜さん然り、神谷さん然り……。
幼い彼らも当たり前のように呼び合っている。
俺もそんな関係になれたら、と思う。
誰と？決まってるだろう。
「末沢」
「んんー？」
部屋でのんびりとプリッツを食べている奴の名を呼ぶ。
名前と言っても名字だ。
「どうしたの？鹿屋さん」
「――いや、呼んでみただけです」
末沢は気にした様子もなく、プリッツを食べ続ける。
俺らしくない。
名前を呼ばれたい、だけなんて。
名前を呼びたい、だけなんて。
末沢からプリッツの袋を取り上げた。
「あ、あー！」
末沢の目を見て、微笑みながら彼の名字を呼ぶ。
「末沢」
「な、なに……？」
たじろぐ末沢。
「名前を呼んでみてくれません？」
「え、な、名前……？」
戸惑う末沢。
「早くしないと、このプリッツを白河さんに渡しちゃいますよ」
「あ、それはやだ……」
白河さんを使って脅すなんて俺らしくもない。
普段なら相沢か杜矢に渡すはずなのに。
末沢は、ゆっくりと恥ずかしそうに名前を呼ぶ。
「が、牙狼……さん？」
「――っ！」
思った以上の破壊力だった。
きっと顔が真っ赤だ。
俺らしくもない！
「どうしたんですか？ずっとこう呼んでほしいなら呼びますよ？牙狼さん」
気付いていない鈍過ぎる末沢が更に俺に近づく。
プリッツを取り上げた時から近かったのに、これ以上は――！
「いや、やっぱ似合わないです。鹿屋でいいです。」
「なーんだ、気紛れですか。」
末沢にプリッツを返す。
末沢はなんの気なしに受け取る。

名前を呼ばれたい、だなんて俺にはまだまだ早かったのかもしれない。
だが、いつかは名前を呼び合う仲になりたいものだ――。

「君たちが羨ましいよ」
「「ん？」」
任務の前に食事をしている最中にそう彼らに呟いてみた。
才臥と純也は、なんの事だか分からなそうに首を傾げる。
「ど、どうしたんですか、鹿屋さん……。ついに俺たちは、恨むべき敵になったんですか……」
純也がびくびくしながら、聞いてきたので、笑顔で返した。
「ああ。実に憎い。」
「そりゃそーっすよね。純也が憎まれるのは仕方ないわ。」
「ちょ、変わり身早いな！？」
才臥と純也が仲良さそうに話している。
「――俺もお前等みたいになりたいよ」
「純也をそう羨ましがるのは、お勧めしないっすよ」
「どういう意味だよ、才臥！？」
ああ、やっぱり俺らしくもない。
彼らに茶化されるなんて、どうかしている。
「さて、行きましょう。今日の敵は魔術師でしたね？――ちょうどいい、首を刈れる。」
「ちょ、鹿屋さんマジですか！？」
「いいじゃねぇかよ、首刈り！」

－－－－－－－－－－－
実は真面目な鹿屋さん。
真面目というか照れてる。

というか、普通にＢＬだよ！
本部は異常性ＢＬを押しているのに！(ねぇよ)

というわけで、零雨に捧げます。