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SSは確かに優秀だが、変換しにくいでござる。


瀬戸氷河苛め、後編。

かつてのハードスクラップショー7です。

・唯一の苦労人
※大浦丙
「あ、君たち、ちょうどよかった!」
藤野さんが、俺達三人に手を振る。
「なんですかー?司ちゃん」
「まてまて恭二。お前が関わるとややこしくなる」
恭二が話を聞こうとするのを、芳示が制する。
「今、いい情報を掴んでね。このあたりの古い遺跡に魔術師が住み着いてしまったんだ。」
「そんなのほっとけばいいじゃんか」
そう恭二が言うと、藤野さんはくすりと笑う。
「でもね、あの遺跡は古い拷問所なんだ。蘇ったらめんどくさいだろ?」
「随分はしょりましたね……。」
「まぁいいじゃないか。行ってくれるかい?」
特に断る理由がないので、引き受ける。
すると、恭二がきょろきょろと辺りを見回す。
「あれ?氷河は?」
「ああ、君達より先に氷河君には行ってもらったよ。帰りが遅いから、君たちに頼んだんだ。――もしかしたら、捕まってしまったのかもしれないからね。」
藤野さんが、妖しく笑う。
それに気付かない二人の表情が変わる。
「ほら、急ぐぞ!」
「もたもたすんな、丙!」
「え、ええー……待ってよ……」
焦りと怒りに満ちた二人が、走って本部を出る。
俺は藤野さんに一礼して、出ていく。
藤野さんは、笑顔で手を振るだけだった。

この世界は、天と地に関わっていた後を残すような遺跡が多い。
後は、昔の魔術大国の名残だ。
今回は後者の遺跡だ。
この辺の話は、またいつか誰かがするよ。

遺跡につくと、二人は武器をそれぞれ構えてすぐに中に入ってしまった。
怒りで冷静さを無くしているのか、警戒心がまるでない。
「ちょっと恭二!前!」
恭二の目の前には電流のバリケードがある。
「――分かってるよ!」
恭二は電流の流れるポールを太刀で叩き壊してしまった。
片方の電流が止まったから、反対に流れていた電流が止まる。
「ナイスだ、恭二。ほら、行くぞ」
芳示がどんどん先に行ってしまう。
「腕、大丈夫?電流流れなかった?」
恭二の腕には少し焼けた跡があった。
「ちょっとヤバかった。――けど、こんなん気にしてられねぇよ。」
恭二も芳示に続いて行ってしまう。
「……ごめん、氷河。」
今、お前の気持ちがわかった。

※瀬戸氷河
「ぐぁあっ!」
いきなり電流が逆流した痛みが襲う。
「どうした?」
この遺跡を制御していた魔術師が俺に聞く。
「っ……いきなり、電流がこっちに来たんだけど……」
「電流が逆流した……?」
魔術師が制御機材を動かしながら、呟く。
「何故だ……確かに本来とは逆流させて動かしてはいるが、実際に拷問者に電気を流すような真似はしていない。無茶だったか、この使い方は……」
あまりにも真剣に悩み過ぎていて、おかしかったので予測しやすい答えを教えてやった。
「……壊された、じゃないか?」
「馬鹿な!最初のトラップはバリケードだ。電流の壁だぞ。それを止めるならともかく、壊すなんてことが――」
「出来る奴が、いるんだよ。俺の知り合いには」
「いや……違う」
魔術師が言葉を遮る。
監視カメラの映像が、映し出される。
「電流が弱い……。どういう事だ。資料通りのパワーのはずが……。」
魔術師がまた頭を抱える。
そして、何かに気付いたのか悔しそうな表情になる。
「――藤野だ!あいつ、神血に身体どころか魔力まで弱める薬を入れやがったのか!くそっ!初めから俺に勝ち目はなかったということか!」
「藤野、さんが……」
あの人に対する怒りが薄れていく。
何だかんだ本部の味方なんだな、あの人。
「くそっ!あの野郎!馬鹿にしやがって!――出力上げるぞ!壊れるなよ!?」
「なんだよ、意味わかんねぇ……っあああぁ!」
出力とやらを滅茶苦茶に上げる魔術師。
先程とは比較にならない痛みが襲う。
そして、制御機材からも電流が漏れだす。
電流に混じる神血の魔力に撃たれた魔術師が腕を焼かれた。
「はぁ……はぁ……許さぬぞ、藤野……」

※大浦丙
突然、辺りの電流が強くなった。
「ちょっとまずいよ!二人とも!」
二人に警告しようとするも、随分離れてしまって届いていない。
「……うぁっ!」
恭二が声を上げる。
「どうした、恭二!」
芳示が恭二に駆け寄る。
恭二の傍には何かを止めるはずの機械があった。
しかし、漏電している。
恭二は焼かれた右腕を押さえて言う。
「これ……氷河の魔力も混ざってんぞ……」
神血は魔力に変わると、吸血鬼の弱点になる。
「っつーことは、氷河は捕まったんだな!あの馬鹿が!」
芳示が辺りの仕掛けを破壊し始める。
「大丈夫、恭二?」
「大丈夫……っ!」
恭二が左手で太刀を握る。
銃声が止むと、芳示が走りだす。
だが、まだトラップが残っていた。
「ぐぁあっ!?」
「芳示!」
床に流れる電流トラップだ。
芳示がその場に倒れこむ。
「芳示……」
「うっせぇな……大丈夫だっつってんだろうが……。」
芳示がゆらりと立ち上がる。
心配しながらも走る。

傷を負いながらも、拷問室にたどり着いた。
そこには、磔にされている氷河と魔術師がいた。
「なにぃ――っ!」
「そこまでだ!」
魔術師が制御機材を操作しようとするが、その機材は恭二に叩き壊される。
「馬鹿な……!」
目の前で機材を壊されたのに驚いたのか、魔術師に隙が生じた。
それと、磔にされていた氷河の枷が解け、崩れ落ちそうな所を受け止める。
「氷河……!」
「来る、って思ってたぜ……」
魔術師には、芳示が頭に銃口を突き付けていた。
「おいおい、何逃げ出そうとしてんだ?氷河をこれだけ苛めておいて、生きてられるとでも思ったのか?」
芳示が口端を吊り上げて笑う。
「――甘ぇんだよ」
魔術師を容赦無く撃ち抜いた。
どさりと落ちる魔術師を見て、氷河がびくりと震える。
「芳示さ、怖いって……」
「あん?こうなんのは当たり前だろ。」
芳示がその死体に銃口を向ける。
「――全くその通りだぜ。」
別の声がした。
「草薙……?」
草薙さんと風上さんが、拷問所に現れる。
「藤野に頼まれたんだよ。こいつを殺してほしいってな。」
刀で魔術師を差す。
「藤野が?」
俺と芳示が疑問符を浮かべる中、氷河がいきなり叫ぶ。
「あー!そうだ、藤野さんだよ!俺を攫ったの藤野さんだよ!」
草薙さんが更に不機嫌になる。
「――やっぱりな。気に食わねぇ!あいつはそうやって俺たちを利用して弄びやがる!」
どす、と魔術師に刀を突き立てる。
「ごめん、氷河。大丈夫だった?」
風上さんが、氷河に手を合わせて謝っていた。
「風上さんですか、俺に毒盛ったのは」
「うん……。だから、大事になったらどうしようって――いたっ!」
草薙さんが風上さんの頭を思い切り殴る。
「てめぇか、元凶は!」
「だって、俺は藤野のマリオネットだもん」
「んなの、早く止めちまえよ」
「嫌だ」
草薙さんが刀を抜く。
「――帰るぞ。」


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長くなりすぎだよ!
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