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長いと思って切り上げたのは、間違いだった?


さっきの後編。
明日、見なおして短かったら一つにしよう。

かつてのハードスクラップショー12です。

・ポイズンミラージュの魔術師
※瀬戸氷河
「ぅ……っ」
目を覚ますと、拷問部屋の一室に捕らえられていた。
鎖で腕を一まとめに縛られている。
目の前には、同じように捕らえられている丙と芳示がいた。
「ヒヒヒ……!目が覚めたか、神血を持つ罪人。」
魔術師が丙の針を持って、俺の部屋に入る。
「最初に蛇烏の犠牲になった彼は、もう死にそうでね。血が止まらないのだよ。後、そろそろ呼吸も苦しいんじゃないかな。」
「が……っ!なーにが、死にそう、だよ……!偉ぶんな、くそが……!」
芳示の口元には、血が流れている。
刀で切られた所からも、血は出てるのに……。
「そして、大人しい彼の荷物を漁ったら、こんなものがあってね。君に試したいんだよ……」
丙の毒針か……。
かなり強力だとは聞いているが。
「止めろ……っ!それだけは止めてくれ!」
丙が感情的に暴れる。
それを気にした様子もなく、魔術師は針を俺に打ち込む。
「つっ……!」
また一本、また一本、俺に針を刺していく。
刺しながら、魔術師は声高々に語る。
「ああ、毒は素晴らしい!そうは思わないか?直接手を下さずとも勝手にくたばる!さらには凶暴そうな魔物も図体のでかい魔物も毒でいちころと来たもんだ。毒さえ効けば簡単に死ぬんだよ。RPGで散々毒殺し、また困らされただろう?ああ、素晴らしい!毒は素晴らしいものだよ!」
「うる、せぇ、んだよ……!」
芳示が弱りながらも悪態をつく。
魔術師は芳示に何か魔術を向ける。
「ぐっ……がぁっ!」
それを食らった芳示は、また血を吐き出す。
丙の毒の強力性はすぐにでも分かった。
息が苦しい、呼吸がしづらい。
さらに魔術師が、毒の注射を打ち込む。
「はぁ……っ!ぐっ……ぁ……ぅぅ……っ!」
後、頭も熱くなってきた。
病まで引き起こすのかよ……!
「ああ、素晴らしい!くるしいかい?ああ、苦しいだろう!俺の魔術は病すらも操るんだからな!風邪を引いたことはあるかい?インフルエンザにかかったことはあるかい?喘息は?おたふく風邪は?それよりも、遥かに強力なものを打ち込んだんだよ!ヒヒヒ……!」
頭が熱い。
朦朧とする中で、丙が目を伏せていたのが分かった。
「彼の毒は強力な神経毒だ。動きを止めるのに適しているが、それまでだ。優しいもんだな、彼は」
「氷河……ごめん……。ごめん……。」
動けなくなるだけなのに、丙は罪悪感を感じているのか、謝っていた。
「今の気分はどうだ?最悪だろう?」
「ごほっ……ぅっ……さ、い、あくだ、よ……っ!」
咳と過呼吸でまともに喋れない。
言葉を発しようとすると、全て喘ぎ声に変わっている気がする。
さらに魔術師が二つの毒薬を見せびらかす。
「さぁ、君にまだ刺したい毒があるんだよ。一つは夢へと旅立てる麻薬、一つは快楽へと旅立てる媚薬。」
麻薬と媚薬、と聞いて血の気が引く。
「……っ!」
もう後戻り出来なくなるじゃんかよ、それらは……!
「ふざけん、なよ!やらせるかよ……!がはっ……っう……!」
芳示が血を吐きながらも、怒鳴る。
「それは、やめて、くれ……!」
丙も弱りながらも叫ぶ。
「麻薬はいいよ……夢が見えるのだから。俺はあまりすきじゃないがな。それよりもこっちかな。そんなに辛いのに感じる身になったら、どうなるんだろうなぁ……!楽しみだねぇ……!」
恍惚の表情で笑う魔術師。
「俺は蛇ならたくさん飼ってるんだ……。これ刺してからお前に巻かせるようにしてもいいんだぜ?」
「は、ぁ……っ!ぐぅっ……!っぁ……!」
もう肯定も否定も出来ない。
ただ、ただ、藻掻くだけ。
「あ、いーこと思いついた」
魔術師がふと呟く。
「お前、好きな奴いる?」
「ごほっ!?な、んだよ、それ……!」
「お、その反応はいるな。よーし……」
魔術師がまた別の注射を刺す。
それから俺の額に手をかざす。
強い力が、脳に響く。
意識が飛んだ。

「氷河」
聞き慣れた声。
白い空間の目の前には、いるはずのない吸血鬼がいた。
「氷河」
「きょ、う、じ……?」
まだ毒により意識が朦朧し、咳が止まらない。
立ち上がる事も出来ない。
立て膝の状態から動けない。
「氷河」
声が近い。表情は見えないが目の前にいる気がする。
恭二の手が伸びる。
俺の喉元を狙って。
「ぐ……っぁ!?」
そして、押し倒され強い力で絞められる。
地面は水のようでひんやりする。
ようやく見えた表情は、笑っていた。嘲笑。
「氷河は俺の餌。それ以上でも以下でもない。餌だから、対等じゃない。お前は食べ物で俺は吸血鬼様。食物連鎖の関係。」
首を締まる力が強まる。
恭二の表情が憎悪に塗れていく。
「神血は吸血鬼の食材であり、弱点。魔力にされるまえに、裏切られる前に、殺される前に、殺してやる……」
「きょう、じ……」
水の色がだんだん赤くなっていく。
恭二の長い爪が、俺の首を裂いていた。
「殺してやる……死ね……!」
恭二に、殺される。
何ともいえない、感覚。
死にたくない、
「……ぅ……っ」
嗚咽が洩れる。水が跳ねる。
泣いてんの、俺……?
目元を擦りたいけど、させてもらえない。
ただ、ただ、涙が溢れる。
本当に、これが恭二の本心だったら……。
俺が、今までしてたこと、無駄じゃねぇかよ……。
また意識が遠退く。
恭二に、榎本恭二に殺される。
……悪くない、な。

-----------
バットエンド切り。
つ、続きますよ!
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