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SSだからこそ、出来る事があるだろう!


……ねーよ。

かつてのハードスクラップショー14です。

・看病デモクラシー
※瀬戸氷河
昨日、毒の魔術師に大量の毒を打ち込まれた。
神崎さん達科学班に解毒剤を用意してもらい、なんとか高熱レベルまでに押さえた。
でも、一日絶対安静だということになり、自室のベッドで寝ている。
定期的にいろんな人が、見舞いに来てくれていた。

「なぁなぁ、氷河。わりと上質ってどゆこと?」
「は?」
突然、才臥が俺に聞いてきた。
「いやさ、昨日お前が毒に侵されたって話を聞いてさ、血を吸うなって丙が恭二に言ったんだよ。そしたらすぐに俺に噛み付いてきてさー。何故か俺の血を取られたわけさ。」
「ごめん、才臥」
ただ謝る事しか出来なかった。
あれだけ人間の血は吸うな、って言ったんだけどな。
「いや、謝んなって。でさ、そん時の恭二の感想が、わりと上質なんだわ。どういう意味?」
「俺は血液博士じゃねぇんだけど」
「いや、なんかわかんじゃねぇの?」
「分かんねぇよ!」
「おおっと!」
才臥が俺の喉元の上に剣を向ける。
起き上がれないように、だろうか。
「……っ!」
「今日は絶対安静だろ?それは俺たちのボケにも一切つっこまないって意味だぜ?」
かっこつけてドヤ顔でいわれても困る。
「……厳しいな、それ」
「だろ?」
楽しそうに笑うと、才臥は剣をしまう。
「だいたい氷河はツッコミに命張りすぎなんだよ」
「ボケを正すために、こんな大怪我しに行ったんじゃねぇけどな」
皮肉のようなツッコミが求められていた。
本来なら、んなわけあるか!で済むのに。
「お前が毒に侵されたって聞いた時の恭二の表情、見たか?」
「見れない」
「明らかに動揺してたぜ。辛そうだった」
「――そっか」
才臥が部屋のドアに手を掛ける。
「あ、そうだ。食いたいもんあるか?」
「買ってきてくれんのか?」
「ああ、俺のデザートにする」
「よし、ハバネロだな」
「デザートじゃねぇじゃん!アイスとかアイスは?」
「食いたいもん決まってんじゃねぇか!」
「味が決まんねぇんだよ!」
「なら、辛いもんだ、それがいい」
「くそっ!甘いの知らずが!」
最後には捨てゼリフを吐いていきやがった。
つか、つっこませんな、馬鹿。

「ごめん、氷河ー」
雨境が謝りながら、タオルを冷やしに来た。
「いいって、助けてくれたじゃん」
「いや、ツッコミ期待してごめん。あんな辛い目にあってるとは思わなくて……」
目を伏せる雨境。
だが、それは一瞬だけだった。
「あ、そうだ。氷河が泣いてた時、何の幻覚見せられてたの?」
「え、あ、あんときか?」
あまり言いたくはなかったが、簡単に話す事にした。
「恭二が俺の首締める幻覚。」
といっても、一言で済むわけだが。
「へぇー……だからかー。氷河が泣くなんて珍しいからさー。やっぱり恭二絡みかー。」
雨境が勝手に納得していく。
「なんだよ、雨境」
「あの時の氷河、何だか諦めたようってか――悪くないって表情だったから」
「……分かんないわ。それ。」
「だよねー。俺も説明出来ないもん。」
さて、と雨境が立ち上がる。
ドアに手をかけた所で、何か思い出したのか、くるりと振り返る。
「あ、そうだ。あの時の毒はやっぱり土蜘蛛の毒だったよ。蛇烏の毒は蛇毒。」
「もうどうでもいいよ、それ」
「そう?」
「丙に言ってやれ」
「言った言った。」
「なんだって?」
「改良してもらうって」
「丙らしい、かな」
楽しそうに雨境が出ていった。

「氷河、大丈夫かー……?」
ゆっくりとドアを開けたのは、恭二だった。
「落ち着いてきた、って感じかな」
「良かったー……。」
一息ついて、恭二がベッドに座る。
「氷河が毒に侵されたって聞いた時は、死ぬかと思ったからさ」
「恭二って、自分の不幸には弱いんだよな」
恭二は、調子に乗りやすいが凹みやすい。
一番に心配してくれる。
「……どうしよ、ってずっと考えてた。昨日の深夜の氷河、ずっと苦しそうだったしさ」
俺が本部に戻ってからも、一番に心配していたのは恭二だ。
芳示の傷を見てはびくつき、気絶していた丙を慎重に揺すっていたり、ただ呻くだけの俺を辛そうに見ていたり。
解毒してからも、あの痛みが治まるのには時間がかかったが、それまで傍にいたのは恭二だった。
「血を吸おうともしたけど、丙に止められたからさ。仕方ないから見てた。治まれーって祈りながら見てた。」
「……知ってるよ。」
俺が疲れて寝るまで、恭二は起きていた。
だから、俺が目を覚ましたときには恭二はすっかり寝ていた。
「ほんと、よかった。芳示も後は傷を治すだけだし、丙も大丈夫そうだしさ」
恭二が安心したように笑う。
「――恭二はこうなるなよ?」
「大丈夫、絶対なんねぇから」
「大した自信だな」
「吸血鬼様だからな」
「様がつくほど力ないけどな」
「まあな」
しばらくの沈黙。
俺が先に口を開く。
「……なぁ」
「ん?」
「お前が俺の首を締める、ってあるかな」
「ありえない。俺が氷河を殺すはずないじゃん。」
「でもさ、神血はお前の弱点でもあるわけだし」
「ない。俺は何があっても氷河を殺せないよ」
「そっか」
「言わせんなよ、ったく」
「そうだな、悪かった」

-----------
ボケまくりだったり、まあまあボケたり、しおらしかったり。

恭二が一番喜怒哀楽激しいかも。
それはテンションの波がでかい事も言えるわけで。

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