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完成され完璧な魔術師。

そんぐらいは明かそうよ。


※瀬戸氷河
「っ……ここ、は?」
意識が戻ると、また檻の中だった。
もう慣れてしまった。
辺りを見回すと、黒い鉱石の混ざった壁が見える。
恐らく魔封の鉱石だろう。
「とりあえず、ここから出ないと……」
ゆっくりと立ち上がり、鉄格子に手を掛ける。
「お、目覚めたか!」
明るい声が響く。
巨木の背後にいた魔術師だろうか?
笑顔でこちらに近付いてくる。
「いやー、流石は神血!あいつのパンチやたら重いらしいからなー。こんなに早く目覚めたのはお前が初めてだよ。」
「ふん、殴られ慣れてるだけだ」
鉄格子を掴む俺の腕を掴む魔術師。
裾が長くて、魔術師の腕は隠れている。
「殴られ慣れるってあんのかそれ……。で、それだけ悲惨な人生を過ごしましたって事かい?」
「悲惨、は余計だ。」
「へぇー……それは悪かったなぁ!」
「……ッ!」
掴まれた腕に刺が刺さったような痛みを感じた。
その腕を振り払って、引くと掴まれた部分が血に染まっていた。
「ひゃはははは!いいリアクションだよ!まるで『こいつ……何者だ?』と言いたそうな驚愕の表情してやがるぜ!」
魔術師は腕の裾をまくる。
すると、人の腕ではない物が見えた。
「俺は、魔物を飲み込んだ魔術師でね!魔物化したってわけさ!どんな魔物かは教えないぜ!植物を操る毒爪のある魔物だったとか言うつもりはないぜ。」
「言ってんじゃねぇか。」
血だらけの腕を庇うように押さえる。
血が止まらなくて気持ち悪い。
「まぁ、言ったっていいんだけどさ!お前、苦しそうだけど蔦には毒ないぜ?あ、違う?血が流れるだけでもしんどいの?」
いちいち煩い魔術師だ。
「うるせぇよ。黙れ」
魔術師は、気を削がれたようで、ぴたりと黙る。
そして、豹変した低い声で呟く。
「立場が分かってねぇんじゃねぇの?」
「自分の立場くらい、分かるよ。搾取される側だろ、俺は」
「あぁ、そうかい!」
魔術師が蔦を伸ばす。
鉄格子から俺の周囲の壁一面に棘の蔦が覆う。
「壁には気を付けろよな、ぐさりと刺さるかもしれねぇぜ?」
そう一言残して、魔術師は笑いながら去っていった。
代わりに黒いスーツの男が俺の前に立つ。
「あの魔術師は、魔物化を成功させた唯一の魔術師だ。」
「魔物化……」
「聞いたことはあるだろう。魔術師にとって魔物化は夢だ。多くの魔術師が果敢に挑み、魔物と化し、お前等に殺された。その夢を叶えたのがあの魔術師だ。いわば完成された魔術師だな。」
「完成、ってあれが?」
「そうだ。長命であり人を超えた存在になったではないか。そして私はあの魔術師のガードを自ら名乗り出た。」
「あいつの?」
「私は彼に惚れたのだよ。一目惚れって奴だ。」
「あ、ありえねぇ……。」
「あれほど完成された魔術師はいないのだぞ?それを観察出来るのだ。私は研究者として幸せだ」
黒スーツの男の話には、ついていけない。
今回ではっきりした。
「気を付けろよ、神血。貴様があの魔術師を出し抜けば、次は私が貴様の相手となろう。」
「……上等だよ」
「なれば覚悟しろよ」
黒スーツの男はくつくつと笑いながら、去っていった。
芳示の喧嘩癖移ったかな……。あー嫌だ。

-----------
夢を実現させるのは、一握りの天才だけだ。

今回はそんな話。

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