忍者ブログ
一次創作ファンタジー小説中心サイト。 このサイトにある全ての小説の無断転載は禁止しています。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

お洒落で上品な広い街。


都会は大好き。


・彼らの休日
※瀬戸氷河
本部から休暇を与えられた俺達は、恭二の強い要望で、街で新しく開発されたショッピングモールに来ていた。
「皆で来たかったんだよ、ここ!」
恭二が楽しそうにはしゃぐ。
「皆で来て何すんだよ?」
芳示が聞くと、恭二はガイドブックのあるページを開く。
「ここ、行きたいなってさ!」
「へぇー、お洒落なカフェだね」
丙は、それを見てくすりと笑う。
対照的に芳示の反応は良くなかった。
「えぇー、息苦しくなんねぇ?」
「芳示は、都会ってイメージじゃないもんな」
「なんか言ったか、氷河?」
芳示をからかうと、睨まれた。
「別にー。行くなら行こうぜ」
芳示から逃げるように、前にいた恭二の隣を歩く。
「早く行こうぜ!氷河の為に店選んだんだからな!」
「ちょいと待て恭二。今の発言はアウトだ」
「何がアウト?」
芳示が、小さく「これだから無自覚な奴は……」と呟いていた。

恭二が行きたがっていたカフェに着き、席に案内される。
俺と丙が隣に座り、向かいには恭二と芳示が座る。
メニューを大雑把に見ても分からない(特に芳示)ので、恭二の勧めるクレープを全員で頼んだ。
「あー、やっぱこの雰囲気だけで無理だわ」
芳示が居心地悪そうに言う。
「そういえば、氷河は芳示と似た性格の癖に、似合ってるね、ここに。」
「癖にってなんだよ、丙。」
そりゃ俺もこういう所はあまり好きじゃない。
「けど、家はこんな感じだったからな。そのせいかもな」
「やっぱりさ、氷河の神血は――」
「言うな、丙!」
なんてやりとりをしている間に、店員が料理をまとめて持ってきた。
「じゃ、いただきまーす。食べてみたかったんだよねー、これ」
「まぁ興味はあったな、確かに」
恭二と芳示が、すぐにクレープを食べる。
こいつらは甘いもの好きだった。
「そういえば、氷河って甘いの嫌いじゃなかったっけ。」
クレープにナイフを入れつつ、丙が聞く。
「あ、そうだったな。なんなら貰ってやろうか?」
芳示がフォークをこちらに向ける。
「甘いものは嫌いじゃない、苦手なだけだ」
奪われる前に、クレープを口に入れる。
……やっぱ甘い。
「ちっ」
「舌打ちすんな」
「ごちそうさまー」
芳示と取り合いしてるうちに、恭二のクレープはなくなっていた。
「は、早いね」
「幸せだった!」
まだ俺たちは、半分しか食べていないのに。
「ほら、さっさとしろよー。」
恭二が楽しそうに俺を見つめる。
「なんで俺見てんの……?」
クレープにナイフを入れる手が覚束ない。
「いやー?似合うなーって。やっぱ氷河はこういう店が似合うよ。」
「ほ、褒めてんの?」
「ベタ褒めじゃない?」
動揺する俺を見て、丙が笑う。
「ほらほら、早く」
「う……見んなよ、恥ずかしい」
俺のクレープに芳示のフォークがささる。
「――顔赤らめんな。食うぞ、こら」
「あ!俺のに手ぇ出すなって!」
「ちょっとやめてよー」

全員クレープを食べ終えると、飲み物を飲みながら、話をしはじめた。
「しっかし、こんなとこよく行く気になったよな。」
「俺はこういう店、好きだからねー。」
恭二が、紅茶を一口飲む。
「恭二と氷河の勧める店って、こういう所多いよね。」
「そうかぁ?氷河はもっと変な店選んでたろ」
「あれ、変な店か?」
芳示が、コーヒーを飲み切る。
「氷河は、自分の事には気付かないからね。分かんないのかも。」
「俺、なんか馬鹿にされてる?」
「氷河の好きなものは、おかしいって話だろ?してるしてる」
「おい、てめぇ芳示」
俺はコーヒーを飲む。
「確かに氷河の勧める店ってやたら辛いんだよな。」
「そりゃそうだろ。」
「なんで辛いの好きなわけ?」
「恭二、その質問はちょっと困るなー……し、刺激が欲しいから?」
「変な氷河」
丙が二杯目の紅茶を入れる。
「そういうお前等こそ、好みバラバラじゃねぇかよ」
「ああ、丙も変だな」
「え、おかしくないでしょ、芳示。あんみつうまいじゃん。抹茶なら尚更。」
「いやいや、それより今のクレープとかケーキでしょ!」
「いーや、シュークリームとかもっと身近なスイーツだろ。」
「ああ、バラバラだ」
「うるせぇぞ、根本的に違う奴が!」
芳示は最初に貰った水を飲む。
「根本的にハブられてる癖に!」
「甘味の良さが分からないなんてなー」
「なんだよ、お前等結託しやがって!」
全員で笑う。
恭二が呟く。
「俺達、普通じゃんか。」
「そーだな。」
「当たり前だろ」
「そろそろ行こうか」
俺たちはそれぞれ会計を済ませ、カフェを出た。

-----------
普通な話。
人殺しとは思えない。
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
プロフィール
HN:
天草八津芽
性別:
女性
自己紹介:
BLでファンタジー小説が多いです。
ひっそりひそひそ書いてます。
ツイッター
メインアカウント(妄想ばかり)


オリキャラ紹介bot
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
ブログ内検索
P R

Copyright © [ 妄想の隠れ家 ] All rights reserved.
Special Template : 忍者ブログ de テンプレート
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]