氷河ヒロイン化企画。
氷河を皆で口説く企画。恋愛はどうあれ絡まれるのはヒロインの特権。

今回は、島原＆小浜。

・上品と粗暴
※瀬戸氷河
「あ、氷河。暇かい？」
「え、小浜さん？」
食堂の前で小浜さんが手招きする。
「何してるんですか？」
「これから、ご馳走になろうかと思って。君もどうかな？」
「ご馳走？」
食堂の中をのぞくと、宮代がお菓子を作っていた。
「お、お前も食うか？」
「甘さ控えめで、な。」
「りょーかい」
小浜さんに誘導されるがまま、席につく。
「あ、飲み物なにがいい？」
「あ、ええっと、コーヒーで」
「分かった。」
小浜さんが棚からカップを二つ取り出す。
そして、楽しそうに用意を始める。
「はい、どうぞ」
「ありがとう、ございます」
出来たコーヒーを受け取る。
で、さっきから小浜さんの表情が笑顔で怖いんだが。
「で、俺何かしましたかね……。」
「いや、ただお話したいと思っただけだよ。」
俺が警戒しているのが、伝わってしまったのか小浜さんが優しい声音で話す。
それがもう捻り伝わって怖い。
「いや、な、何の話ですか……。」
「ちょっと興味があるだけだって」
「藤野、さんみたいな？」
「違う違う。そんな警戒しなくてもいいのに。」
冷静になりたくて、コーヒーを一口飲む。
「おまたせいたしましたー」
宮代がホットケーキを二つ持ってくる。
「これでいいんだろ、小浜さん？」
「そうそう。ありがとね、宮代」
小浜さんが嬉しそうに受け取る。
「お前、パティシエになった方がいいんじゃねぇの？」
「はは、それは無理だ。」
皮肉で返しながらも、受け取る。
「じゃ、食べようか」
「そうですね。」
と、ホットケーキに手をつけて、一口食べる。
何故かその一連の動作を小浜さんは興味深そうに見ていた。
「やっぱり君は育ちがいいみたいだね。見てて分かるよ」
「え？」
「そのナイフとフォークの使い方で分かる。」
小浜さんは、俺の手つきを見ていたようだ。
「そうですか、ね。」
「勿体無いよ。それが君の本質なんだから。」
「……家は嫌いなんですよ」
声が低くなる。
「どうして？」
「……距離があくから」
「距離？」
「俺の家はちょっと有名なだけだ。街に出てしまえば、とても小さな家。それでも、田舎に出てしまえば、珍しがられる。そしたら距離があいてしまう、だろ……」
目を伏せる俺に、小浜さんがくすりと笑う。
「……やはり、君らしいよ。」
「おい、何してんだ黒葉」
別の方向から声がかかる。
「あ、洋斗。どうしたの？」
「どうしたの、じゃねぇだろ。あ、おい、まさかこいつをたぶらかしてんじゃねぇだろうな」
と言いながら、島原さんは俺の隣に座る。
そして、俺の前にあるホットケーキを見て、物欲しそうに見る。
「お、なんだよそれうまそうじゃん！つか、なにその小綺麗な食い方」
「これが彼の本質だよ。」
「あぁ？本質だ？」
小浜さんが何故か優越感に浸るように話す。
対して、島原さんが機嫌悪く俺を見る。
「こいつの本質は、こうだろっ！」
そして、俺に向けて軽く拳を放つ。
それを片手で受け止める。
パシッ、といい音がした。
「どういうつもりだ、島原さん」
「……やっぱ、お前そっちの方が似合ってるよ。いい顔してる」
島原さんが、意地の悪い笑みを浮かべる。
「やっぱ、暴れてるほうが楽しいんだろ？」
「もちろん」
「ええー、勿体無い」
小浜さんが、不満そうに呟く。
「おし、ならやるか！？」
島原さんが、勢いよく立ち上がる。
「ああ、相手になってやりますよ！」
俺も挑発に乗る形で立ち上がる。
「決まりだな、よし、黒葉行くぞ！任務だ！」
「えー、ちょっと……」
小浜さんが、動揺する。
「おら、行くぞ！」
島原さんが、楽しそうに笑う。
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この後、島原と氷河が喧嘩しますが、氷河が島原に勝てるわけがありません。
でも、完敗するわけでもないので、ちょっとは善戦します。
しかし、そのせいで島原が調子に乗るので、ボコボコにされます。
それをみて、やりすぎだよどう言い訳すんのと責める小浜とやっべやりすぎたと軽く反省する島原。
氷河は、もっと喧嘩強くなんなきゃだめかな、と落ち込む。

上品と粗暴の中を持つもの。