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零雨様より、氷河と雨鏡の話を頂きました!

氷河と芳示2の続きであり、本部恐悦宴祭のデモシーンでもあります。

※瀬戸氷河
ガッ!と鈍い音が響く。俺の蹴りを雨境の腕が防いでいた。俺はすぐに足を引っ込め、後退する。
「軽いね。氷河の蹴りは軽い。全然駄目だ」
フッと雨境は俺のことを鼻で笑う。よく見る動作なのにかなりイラついて、俺は舌打ちをして睨み付けた。
「こんなんじゃすぐ死ぬぜ?」
構えを崩さない俺と違って、相手はラフな感じで立っている。それなのに、防がれる。実力の差を重い知らされて益々苛立ちが増す。
「ああ、そうかい」
そんな苛立ちを腹の中に押し込め、なるべく冷静に返す。雨境が真面目にやればあっさり背後を取られて沈むのは分かりきっている。大事なのは、本気にさせないうちに倒すこと。俺は睨みながらも、魔力を練った。
「『情熱の魔氷(マイナスフィーバー)』ッ!」
右手を握り、宙に思いっきり振りかぶる。その軌跡はあっという間に凍り、雨境の方へと向かって行く。
「こんな遅いのじゃ避けるのも簡単、だッ!」
彼は余裕の顔のまま斜め後ろへと避け、氷柱をあっさりと避ける、が。
「ッ!?」
水蒸気が、雨境の周りに漂う。氷柱も無い。俺は相手が動揺している隙を狙って飛び出し、魔力を付与した拳で殴りかかる。
「ッぶねー!」
拳は相手の頬を掠め、避けられてしまった。俺は空いている左手で空気を撫でる。すると、あっという間に触れた空気が凍り、宙に浮いた氷壁が出来上がる。それが出来るのと雨境が爪で攻撃してくるのは同時だった。
「『情熱の魔氷』なんて上手いこと言うじゃん」
さっきの技は氷魔術と光魔術を組み合わせた魔拳だ。外を氷魔術で包み、凍った後に時間差で中の光魔術の熱で氷を溶かし、水蒸気の目眩ましをさせる。氷が当たればそのまま凍らせてもいいし、中の光魔術で焼いてもいい。かなり応用の効く技だ。
俺と雨境の間は数メートルは距離がある。俺は相手に翻弄されて疲弊はしていたが、拳が掠めた相手の頬は凍りつき、氷壁に触れた爪も凍り始めている。先程よりも雨境は少し余裕がなさそうであり、現状俺の方が有利とも言える。
「……黙って殴られてくれりゃあいいのに」
「ああ?」
俺が小声で呟くと、雨境が眉を動かして表情を無くす。胸の前で凍った爪のついた拳をギュッと握り、そして開く。パキパキと音がして凍った爪が伸びていき、二十センチ程度のにまで伸びた。彼はその伸びた爪を、反対の爪で素早く切り落とす。
「片爪位ハンデあげようかと思ったが、そんなに煽られるなら期待に答えないとな」
また彼はギュッと拳を握って開く。すると凍る前と同じ爪に戻っていた。
「氷河、本気で来いよ。俺をボコボコにしたいならな」
ニヤ、と雨境は歯を見せて笑う。
「言われなくてもッ!」
俺は腕を思いっきり振り、目の前に氷壁を作る。それを右足で蹴って壊す。氷壁は粉々に砕け前方、つまり相手のいる方へ飛んでいく。俺は瞬時に構え直し、それに突っ込むように相手に殴りかかる。
「オラッ!」
「当たれば凍ると分かってて触る馬鹿はいないよッ!」
雨境は先程と同じく、だが幾分か余裕を持って俺のラッシュをかわして行く。だが、それこそが俺の策だ。雨境が避けた俺の一撃が、相手に向かって『伸びた』。パキ、と俺の拳から伸びた氷が彼の腹部を凍らせ、そして侵略していく。
「ぐ……ッ!」
相手の顔が苦痛に歪む。すぐさま俺は氷の連結を切って彼から離れた。周りには俺が空振りで成長させた氷の礫が氷塊となって大量に浮いている。
「凍れッ!『流氷群(ヘイルフォール)』!」
パチン!と格好よく指を鳴らす。すると、指の周りから氷の波が周囲に広がり、氷塊同士を繋ぎ合わせ、凍らせた。それは、腹部の凍った雨境も例外ではない。
「な……ッ!」
氷塊に囲まれた雨境は成す術なく全身を凍らせていき、ついには氷に包まれ見えなくなってしまった。
「……ハッ」
跡には、見事な氷のオブジェがあるのみ。俺は思わず笑ってしまった。
「俺をナメてるから痛い目見るんだよ」
返事は無い。当然だ。凍ってしまったんだから。
「……ハハ」
「――何がおかしいんだ?」
笑いが、止まる。氷の中で、紫色の何かが蠢いている。
「ッ、らあッ!」
ガシャン、と雨境の声と共にいともたやすく俺の氷のオブジェは壊れた。中で立っていたのは、紫色の炎を纏った猫耳の雨境。
「フー……」
ため息をつく彼の口からは煙のようにユラユラと紫炎が出てくる。二本の尻尾の先には炎が灯り、両手も紫の炎が包んでいた。
「普通の魔拳とは格が違うから使いたく無かったんだけど……」
気だるそうに雨境は構えを取る。俺も対抗して構え直すが、明らかに圧倒されていた。
魔術師として、見れば分かる。普通の人間には炎を纏う事なんて不可能だ。魔拳士と呼ばれる人間でさえ、魔術を付与して触れたものを凍らせるだけで、手は凍らせられない。
「弓ヶ浜、か……」
「ああ、そうだよ」
フフッ、と雨境が笑うと口から炎が漏れる。
「弓ヶ浜の力、とくと味わうが良いね!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――
というわけで、バトルアクション好きな私にはストライクな一品でございます。
後、前回の魔拳師氷河がちょっと気に入ったので、戦い方を考えてもらった。
いやー、似合わないと思っていたのに。
時代って氷河が苦労するように流れるわー。
格ゲーにするなら溜め撃ちキャラですね。
溜めると波動弾になるとかそんなん。
というのは、凍らせるのに強化段階があるわけですよ。
それを生かすのは、ためキャラかなーみたいな。
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