ボツリヌスミステリー。

これは、こちらで、連載されていますコラボ小説のシリーズであります。
先に本編を読まれる事をお勧めします。

キャスト
榎本恭二(えのもときょうじ)
子供心の吸血鬼。
瀬戸氷河(せとひょうが)
凍てつく光の魔弾。
天城芳示(あまぎほうじ)
特攻鬼軍曹ガンナー。
大浦丙(おおうらひのえ)
微睡みのトラップ。
赤空核(あかぞらさね)
反面常識人。
多々角円(ほぼまるまどか)
ノンストップ重力。
一一哉(にのまえかずや)
計算の策師。
多々角環(ほぼまるたまき)
筒抜けの仲間想い。

※瀬戸氷河
「じゃ、行きますよー！」
黒海がデジカメを構え、煤軒の後ろに下がる。
煤軒は、悪い笑みを浮かべ、廊下のガラスに向けて手をかざす。
瞬間、連鎖的にガラスが爆発し割れていく。
俺たちは映画の演出通りというか、真剣に逃げ出す。
「こりゃスリルあるな！」
「どうかしてんだろ！」
核が楽しそうに笑っていた、と思ったら消えていた。
芳賀の魔術だろう。
「っ……！」
俺は丙に打たれた毒の痛みが回り、身体が動かしにくくなる。
爆風がこちらを襲う。
振り返り、咄嗟にガードする。
爆風の先から煤軒が飛び出す。
そして、俺に向けて手をかざす。
「死ね！」
爆発が俺の目の前で起こる。

※多々角円
「ここは……？」
僕達が飛ばされた先は、教室だった。
「教室みたいだね」
タマキが、近くにあった椅子に座る。
サネは机に座ってるし。
がらりと教室のドアが開く。
「やっほー、集まってるー？」
先程の黒海先輩だ。
それとＯＢだろうか女性もいる。
「紹介するね、この人が噂の演出家、巫斗ちゃん！」
「芳賀巫斗です、よろしくっ！」
どちらも騒がしいタイプの人間のようだ。
「で、演出家が何のようだ？役でも用意してくれたのか？」
サネが芳賀さんに聞く。
「そうそう！その話をしようと思ってね！」
芳賀さんは、ロッドをくるり回す。
「まず、今回の映画は、ミステリーなの！殺人事件は起こらないけど、殺人未遂事件を扱ってもらうわ。」
「未遂？」
僕が口を挟むと、芳賀さんは、僕にロッドを向ける。
「今、ここで彼ら四人のうち、誰かが殺されようとしている。それを少ない証拠で犯人を暴くストーリー！みたいな？」
「彼ら、というのは、氷河さん達だね？」
カズヤ先輩が、芳賀さんに確認するように訪ねる。
「そう。四人の中の誰かかもしれないし、四人とも殺されるかもしれない。この事件を突き止める名探偵役がキミね！」
芳賀さんが、ロッドをカズヤ先輩に向ける。
「成る程」
今ので全てを理解したのか、カズヤ先輩が頷く。
「んでー、キミが助手！」
ロッドを軽く上に投げ、次にサネを指す。
「俺が助手？……まぁいい、最近は助手のが活躍する映画もあるからな」
サネがカズヤ先輩を睨む。
「なんで僕が助手じゃないのさ！」
芳賀さんに、抗議すると芳賀さんはくすりと笑う。
「だって、キミは聞き手だもん。えっと、似てるキミも聞き手ね。」
と、タマキもロッドで指す。
「分かりました。ほら、兄ちゃんも文句言わないの」
「うぅー……」
何故か弟に諭されたよ。
恥ずかしくない？
「巫斗ちゃんのシナリオは、凄いね！爆破アクション以外の映画なんて久々よ！」
黒海先輩が、デジカメを持って興奮する。
そんな黒海先輩に芳賀さんは、問い掛ける。
「タイトルは？」
「『ダウト』ね！」
黒海先輩のタイトルを聞いて、芳賀さんは一瞬驚いたが、すぐに笑い始めた。
「面白いわ、決まりね！――さて、演出家としてひとつ指摘しないとね。」
芳賀さんが、探偵役の二人を見る。
「『私が指示するまで先のネタバレを禁ずる』二人とも、もう犯人もトリックも分かってんでしょ？でも言っちゃだめよ」
「……もし破ったら？」
サネが挑発的に笑う。
「映画に出られなくなるかもね」
「気を付けるよ」
カズヤ先輩が微笑む。
「なら、まず一個ヒントね。『嘘を吐いている人がいる』わ」

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学園サイドは難しいね。
ラスボス？芳賀巫斗が引っ掻き回し始めましたよ。

しかし、まさか映画の内容がミステリーになるとは……。