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氷河苛め企画プロローグ&リクエスト。


・喜劇の前夜祭
※末沢針弥
鹿屋さんがもうすぐ帰ってくる。
僕はそわそわしながら、ラウンジで待っていた。
すると、木津樹さんが通りかかり、僕を見て笑う。
「末沢君。君はとても熱心だね。そんな君が僕は好きだねぇ」
「どういうことですか?」
「君の大事な人は、もうすぐ帰ってくるよ。誰かを呼ぶ準備をしたら?」
なんで人を?
僕が疑問に思っていると、木津樹さんはくつくつ笑いながら去って行った。
すると、扉が開けられる。
入ってきた鹿屋さんは、血塗れだった。
「鹿屋さん!?」
ふらりと倒れそうになる鹿屋さんを、急いで支える。
「大丈夫ですか!?」
「ああ……まつ、ざわじゃ、ないですか……」
鹿屋さんがゆっくりとこちらを見る。
どうしてこんな傷を!?
僕の頭が冷静でいられなくなる。
「あ、そうだ!氷河!早く、氷河を呼んできて!」
ラウンジにいた誰かが、呼びに行ってくれたようだ。
誰だったのかなんて、気にしてる余裕もない。
息も絶え絶えな鹿屋さんを、助けることに僕は必死だった。
「鹿屋さん!……うわっ、末沢まで!?」
何故か本を持って走ってきてくれた氷河は、僕をみて驚く。
僕も今見て気が付いた。
鹿屋さんの血が、僕の服についていたのだ。
「違う、違う!これはついちゃっただけ!怪我したのは鹿屋さん!」
「あ、よかった……。よし、ちょっと待ってろ」
氷河が、鹿屋さんに治癒術をかける。
鹿屋さんの血が止まり、傷が癒える。
いつみても不思議な力だと思う。
でも、氷河は嫌いなんだよね……。
「う……ありがとうございます。落ち着いてきましたよ。」
鹿屋さんが、一人で起き上がる。
僕はそれに嬉しくなって思わず抱き着いた。
「鹿屋さんっ!」
「ちょっと、末沢……!」
氷河が息を切らしていたのに、気づいた鹿屋さんが申し訳なさそうに謝る。
「すみません、やりすぎましたかね?」
「いや……なんか、最近調子悪くて……」
何やら辛そうだ。
胸を押さえて苦しそうに息を吐く。
鹿屋さんも難しい顔して、考える。
「ふむ……まぁ、体には気を使ってくださいよ。貴方は特に無理をしすぎる傾向にありますから」
「すみません……っ」
氷河がふらりと立ち上がり、僕に無理して意地悪く笑う。
「それじゃ、ごゆっくり」
それからも足取り悪く立ち去って行った。
「末沢」
「はい?」
「いつまでこうしてるんですか?」
「え?」
僕はまだ鹿屋さんに抱き着いたままだった。
でも、鹿屋さんもまんざらではなさそうじゃないか。
「最初に鹿屋さんを見たとき、血の気が引いたんだから……もう少しこのままでいさせてくださいよ……」
「そうですか。でしたら、ちゃんと抱きしめててくださいね」
鹿屋さんが、僕を抱えて立ち上がる。
いわゆるお姫様抱っこの体勢なのですが!?
「妙に器用ですね……鹿屋さん」
「末沢は軽くて小さいので、扱いやすいんですよ」
「む……それは嫌だなぁ」
「嫌でもどうにもなりませんよ、それは」
鹿屋さんが、歩き出す。
多分、鹿屋さんの部屋に向かってる。
「意地悪ですよね、鹿屋さんって」
「そんなの末沢だから悪いんですよ」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――
バカップル!
なんてこったいバカップル!

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