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息抜きに魔術師の話。


・スリープティアの魔術師
※瀬戸氷河
昼間。
特にすることもないので、恭二、芳示、丙といったいつもの三人と俺の部屋で寛いでいた。
異変というのは、突然に起こるものだ。
開けた窓から急に白い羽が部屋に舞う。
そして歌が響いた。
「これは、どういう……?」
「う……」
芳示と丙が眠ってしまう。
歌を聞き始めてから、眠気が襲ってくる。
「魔術師……っ!」
とにかく部屋を飛び出す。
すぐに恭二が背中から抱きつく。
「恭二……重い……」
恭二を引き摺りながら、眠気に耐えつつ、ラウンジへ向かう。
「ねーみーぃーよー……」
「だったら……寝ちまえば、いいだろ……」
「氷河が無理してんのに……寝れねぇじゃん……うー……」
「じゃ、離れろ……重いんだよ……!」
ラウンジに辿り着くと、東火さんと神谷さんも眠気に耐えながらもラウンジにいた。
「ああ……氷河も無事でしたか」
「秋夜は廊下で寝てもうたのに……。」
と、秋夜の部屋を廊下を見ると、確かに秋夜が廊下で倒れていた。
「東火、さん……っ」
眠気に耐えきれず、膝をつく。
このまま倒れて眠ってしまいそうだ。
東火さんが、上を指す。
「うえ……です……。上から声が……する……!」
「うえ、やなー……」
神谷さんがばたりと倒れて眠ってしまう。
「恭二!?」
「んー……離れないぜー……?」
もうそれは寝言だった。
俺に引っ付いたまま寝やがって……!
そういう俺も耐えきれずに意識を失う。





足音がした。
咄嗟に起き上がり銃を抜いて突きつける。
相手は対して気にした様子もない。
「いきなりそれを向けるとは、余程警戒心があるのだな」
「何者だ」
「魔族。」
あっさり答えた相手をみやると、赤い目が印象的な女性だった。
小脇に抱えているのは、人間--魔術師だろうか。
「君が噂の神血だろう?」
「だったらなんだよ」
「ふふふ、亜須磨が話していた通りの人だな。」
「亜須磨?」
魔族はくすくすと笑う。
「そう、私は亜須磨の友達なんだ。そうだな、エリュシオンが変わる前から、彼に興味を持っていた」
「随分古い話だな」
「そうだな、一年になりそうだ。しかし、私はいつまで君にそれを突きつけられていればいいのかな?」
「そんなの疑いが晴れるまでだろ。まだあんたの目的を知らない。それを利用して俺を狙ってきたという線がある」
魔族は、魔術師を降ろす。
「魔族は、鬼ではないが嘘はつかない。それに手負いの君をさらうほど卑怯でもない」
「……」
「はぁ。君は、警戒心が強いな。君が守れるものなんてほんの些細なものだけだろうに。」
「その、些細なものが俺には大事なんだよ」
「面白い。例え私が相手でもか」
魔族が挑発的に笑う。
「ああ。あんたが敵なら撃ち抜く」
「そうかそうか。これは、亜須磨も大変だろうな。」
魔族は、満足気に笑い、魔術師を抱えた。
「さて、今は深夜だ。君は、人間らしく寝てるといい」
と、俺を通りすぎる瞬間に魔族の手刀が俺の首に当てられる。



「氷河!」
「う……っ、なんだよ……うるせぇな」
目をさますと、神谷さんが俺の顔を覗き込んでいた。
「朝、やで」
「朝……昨日は一体……」
起き上がり、辺りを見る。
他の人間はみんな起きていて、恭二だけが未だに寝ていた。
東火さんが、昨日について答える。
「亜須磨に聞いたら、魔族が何とかしてくれた、らしいですよ」
「……魔族、か」
神谷さんをみる。
彼は、魔族だ。
「俺みたいなハーフやない、本物の魔族。氷河は知らないんやったな」
「いや、姿は見た」
「街で見かけたんか。確かにあの人有名やからな」
「違う……ここで、俺は彼女と話をした」
「本当に解決してくれていた、ということですね。」
「ああ、そうなるな……」
急に背後から重いものがのしかかる。
恭二が俺に抱きつき始めた。
「ひょーがー……眠い……」
「無理に起きるな、寝てろ」
「んー……」
そのまま恭二は再び寝てしまった。
「はぁ……」
「大変だねぇ」
東火さんが、微笑ましく笑う。

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後編というか魔族編は次回。





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