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氷河苛め祭。

サプライズフレア編。

・サプライズフレアの魔術師
※瀬戸氷河
「フローズンアビス?」
俺が聞き返すと、魔術師が頷く。
「そう。氷魔術の最高峰。氷魔王。そんなあだ名、二つ名がついていた。地上の大寒波も奴の仕業だ。」
「ああ……あいつか。」
この災害を引き起こし、俺を氷付けにしていた魔術師。
氷で闇。
「あの余裕ぶった笑い方とか、嫌いなんだよ。見透かしてるみたいで腹立つだろ」
魔術師がエネルギーを急速に集める。
「氷は炎に勝てないはずだ。それを覆したのがあいつだった。その日から俺はあいつが本気で嫌いになった。」
「おい……っ!」
エネルギーが強くなるたびに、施設の温度が上昇している。
気づいているのか、魔術師は。
「嫌いってのは、だんだん殺意に変わるんだ。何もかもが許せなくなって、何もかもが殺したくなる。」
「…………。」
魔術師は、一息ついてから言う。
「俺さー、あいつ嫌いなんだわ。フローズンアビスの野郎が。あいつが上で大災害をもたらすから、俺は下でこんな ことしなきゃなんねぇ。しかもその災害が大寒波。俺はあの性格も魔術も何もかも嫌いだ。まだあいつの雪が消えて ねぇ。ああ、ムカつく!」
魔術師が、高く手をかざす。
急速に力が集まる。
禁じられた魔術。フレア。
「全部ぶっ壊してやる!」
上に向けてそれを放つ。

ばかでかい大穴が空いた。
久しぶりに青空を見た。
雪は溶けきってしまったのだろうか。
魔術師は、飛び出してしまった。
フローズンアビスを殺しにいったのだろうか。
とっくに死んだ相手を殺しに。
とにかく俺は解放されたんだ。
外に出なきゃ。
それなのに、身体が全く動かない。
「限界、越えちまったかな……」
あのとき無理に治癒術を使ったから。
呪いを越えて身体に負荷をかけてしまった。
誰かがいたら、止められたかもしれない。
しかし、それでも。
大事なものは失った。
「……まだ、弱いよな……」
恭二はまたつけてやるのにーと笑うだろう。
あの跡は、そういう跡じゃない。
消されてしまうと言うことが問題なんだ。
恭二のものだという跡を消されてしまうことが許せない。
「これ以上……どうすればいいってんだよ……っ」
どう強くなればいい。
そうなるほど、俺は人間から離れてしまいそうで。
ただの殺人者になってしまいそうで。
ただの暴力者になってしまいそうで。
そんなのは……当然嫌だ。
傷跡を強く押さえる。
恭二にすがるように。

「--が、どうなってもいいのか?」
向こうから声がした。
「あれは、俺に負けた。そう俺のものだ。まだ治癒してないだろうからあそこにいるんじゃないか?」
魔術師の声だ。
こちらに戻ってきていた。
けど、俺は気づかなかった。
小さなフレアが俺のそばで爆発するまで。
威力はなかったので、派手に吹っ飛ばされはしなかったが、それでも壁には叩きつけられる。
「お、いたいた。ははは、さっきみたいにかわせもしないか。」
魔術師が笑い、誰かが悲痛そうに俺の名を叫ぶ。
誰の声かよくわからない。
意識が切れそうだ。
痛い、そのうえ熱い。
「ぐ、っ……」
死にそう、つか死ぬから普通。
俺が、神血だから多少魔術的耐性があるだけじゃねぇか。
骨だってほぼいかれてる。
「だれ、か……」
助けてくれたらいいのに、な。
恭二とか……。
いや、傷がないんだ。
恭二には会いたくねぇ。
自分の無力さで壊れちまいそうだ。
「もう、壊れてんじゃねーか馬鹿」
「……?」

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おい、なんだこれは。
予測不能だぞ。

完全敗北の話。

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