アクションって感じのお話。

・模倣犯
※瀬戸氷河
ここに多くの武器が並べられている。
どれも本部の人から借りたものばかりだ。
「さて……テスト、してみるか」
まずは、銃器全般。
これは基本的に問題ない。
ハンドガンは使い慣れているし、緋月に習ってダブルアクションで戦えるようになった。
ショットガンやアサルトライフル、スナイパーライフルといった類は、それほどではないが、使いこなせるな。
「やっぱ、重いとダメかもな。」
基本的に俺の戦い方は動いているからな。
大人しく狙いを定めるとかそういう事は出来ない。
俺も短気だということだな。
次に、ナイフを抜く。
杜矢さんみたく投げられればいいと思い、３本くらい重ねる。
「はっ！」
杜矢さんの真似して、投げてみる。
狙い通りとはいかないが、いい速さで刺さった。
「近接もありだし、咄嗟に投げてもいい感じかもな……」
試しに小刀も手に取る。
ナイフよりも少しは重い。
首を切るように振ってみる。
「……こっちかな」
小刀を投げ捨てる。
次に、杖と投剣。
杖は、棒術のつもりで島原さんのやり方を見よう見まねで振り回しているだけだ。
投剣は重いので却下。
杖を振る。
「なんつーか……もはや殴り倒すものだよな」
杖やロッドって魔術の集中力を高めるものとかそんなものだったよな？
俺には向かないようだ。
そんなんだったら、殴り殺すわ。
次に、魔導書。
魔術というのはあまり扱ったことがない。
莱桃さんが言うには、魔導書は魔術を扱う為の補助としては優秀らしい。
あの人の持つ魔導書はとんでもない代物らしいので、俺が借りたのは一般的な魔導書だ。
「さて……」
魔導書を手に、イメージする。
氷魔術の最高峰。
氷なんてのは、どれほどの範囲を急速に凍らせるかだ。
俺は、そう思う。
「凍れっ！」
一気に魔力を解放する。
魔導書の補助の力があってか、かなりの範囲を凍らせた。
「実戦向きじゃねぇな、と……」
パタリと魔道書を閉じる。
ふと思う。
これで、殴り殺せるんじゃないか？
というかこっちの角のが痛いだろ、これ。
まぁいいか。
次に、手榴弾。
杉森さんから、どっさり借りたのだがどうすればいいのかいまいちわからない。
試しに投げてみる。
遠くで爆発する。いい火力だ。
「使いこなしてみるかな……。」
杉森さんは、これだけ戦ってるんだから。
今度、彼と一緒に任務に行ってみるか。
次に、素手。
俺の格闘術は芳示の喧嘩の見よう見まねである。
風上がいうには、俺はちゃんと流派を学べば強くなるんじゃないかと言っていた。
別に興味はあまりないんだが、実は少しだけ本を買っている。
役に立つ日は来ないと思うんだが……。
読むだけは面白い。
「瀬戸君」
「木津樹さん」
木津樹さんが声をかけてきた。
「またこんなに武器を出して……」
「テストですよ」
俺の声色が自然と低くなる。
「ふふ……瀬戸君は本当に怖いね。気づいているのかい？」
「何が？」
「君のその才能が現れていることに。」
「俺の、才能？」
「……僕は君のそういう所が嫌いなんだ。天才というのは本当に恐ろしい。」
木津樹さんが、語り始めた。
「君の才能は模倣にある。君は誰かの見よう見まねでやっているつもりなのだろうけど、それが普通は出来ないことなんだよ。」
「そう、なのか……？」
「君は君の異常さに気付いていない。神血である力を利用しているだけ。だから嫌いなんだ。」
そう憎しみを込めて言われた。
「……例えばだけどね、君が赤塚君の盗みの技術を学べば、それも出来るようになるだろう。それに茅野君、彼女の治癒術だって学べば大治癒術師にもなれるだろう。」
「……」
「そう、そうやって他人を模倣していく度に人間離れしていくんだよね、君は」
「だから何が言いたいんだよ」
「嫌いだって話だよ。そうやって君が模倣している技術は、人殺しの技術だしね。」
そういって、彼は去って行った。

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模倣のお話。
これが氷河の才能。
亜須磨とはまた違う天才の姿。