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美しい人ほど、傷は似合わない。

大真面目な秘書と美青年。

・癒しの時間
※来鈴舞皆
頼まれごとを集めて本部に戻ると、ラウンジのテーブルで気持ちよさそうに寝ている人がいた。
テーブルに突っ伏すように寝ている彼。
神血と呼ばれた唯一の治癒術師、瀬戸氷河。
ここまで人の気も知らないで気持ちよさそうに寝ていられると、少し腹立たしいわね。
起こしてやろうかしら、と思い近づく。
「あら……?」
彼の額に傷が見える。
少し血が流れていて、痛々しく見える。
治癒術師である彼が、傷を治していないのは珍しい。
「……どうして傷が」
「ん……」
ぴくりと彼の肩が動く。
少し近づいただけで起きてしまうのか。
なんて警戒心。
「来鈴さん……?」
「起きてしまわなくてもいいのに」
「……怪我、してないか?」
寝ぼけながらも開口聞くのが、それ。
呆れて笑ってしまった。
「あなた、治癒術使うの嫌いなのでは?」
「仕事は別だろ」
「ふふ、私の事より自分を治しなさいな。」
と、私は自分の額に指を向ける。
真似するように氷河さんが額に触れると、軽く血がつく。
「あ、忘れてた……」
軽く治癒術をかける。
あっという間に傷は治ってしまった。
「いつの怪我、かしら?」
「なんかの殴り合いの時についた傷……だったはずだ。魔力が切れてたから、後回しにしたんだった。」
と、近くに放り投げられていた血のついたグローブを見る。
「貴方、随分無理をするようになったわね。怪我を治癒出来るのは貴方だけなんだから、あまり無理をしないでほしいわね」
「悪いな、来鈴さん。でも、止める気はねぇよ」
申し訳になさそうに謝るが、すぐにすっきりとした表情で笑う。
「どうして、ここで寝ていたの?」
聞いてみると、彼は瞼をこすりながら答える。
「最近、恭二が深夜に来るからさー……。寝不足なんだよ、きっと」
「ふふ、それでここで誰かを待っていたわけ?」
「ん……そうなるな。」
腕を伸ばして伸びをする。
彼が安心できるような場所というのは、本当は少ないんじゃないかしら。
彼に休息地点を与えられるというのは、本部の人間として嬉しい限りだわ。
「ごめんなさい、起こしてしまって」
「いや、寝すぎるのもよくないし。気にするなよ来鈴さん」
「それじゃ、私は行くわね」
書類の束を抱え、私は奥へと戻る。
ラウンジのテーブルで、彼は待ち人を楽しみに待っていた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――
寝ている氷河と来鈴さん。
ラブもの。愛。

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