メイド様アクション。

・メイド様事件
※瀬戸氷河
「はぁ……」
俺は、芳示と才臥のよくわからない講座を聞いて、疲れていた。
才臥がにやにやと笑いながら、俺の肩を叩く。
「今度、その格好で戦うことになったら、やってみろって」
「お前な……あんなのやれって言われても……」
メイド服も少しは慣れて、ヒールで歩くのもふらつかなくなってきた。
「いいんだって、やってみな。」
「お前で試していいのか？」
芳示も同じことを言うので、悪戯っぽくにやりと笑う。
芳示の反応は予想と違っていた。
「……いいけど」
「え、マジかよ？」
驚いて芳示を見やる。
と、すぐにいつもの芳示に戻る。
「いや、やっぱやだ。すげぇ腹立つ」
「……だよな。」
少しだけ芳示を負かせられるって期待したのに。
「氷河ー、せっかくだからお茶用意してー」
雨境がだるそうに、俺に抱きつく。
「なんで俺が……」
「メイドさんじゃーん。やってよー。」
「あ、俺も飲みたいー！」
「恭二まで……。ったく、仕方ねぇな……」
恭二もリクエストするので、仕方なくいくことにいた。
「あいつ恭二の言葉聞いた瞬間、ちょっと嬉しそうにしてたぞ」
「あの仕方ねぇなはデレだぞ。まんざらでもねぇぞ。」
「何だかんだで恭二の世話すんの好きなんだよ、あいつ。」

キッチンで、ハーブティーの準備をする。
選んだ理由はなんとなくだ。
コーヒーよりは今の服に似合っているだろうと思ったからだ。
お湯を沸かしている途中で、窓ガラスが割られる音がした。
こちらに来る足音がしたので、ハンドガンを構える。
「姫君！？」
驚いたのはレイゼーの方だった。
「どどど、どうしたんだい？そんな欲情させるような格好で！」
「大会のコスプレ。つか、そんなに狼狽えるレイゼー初めて見たぜ」
レイゼーがすぐに俺を抱えあげる。
銃弾は通らず、ハンドガンを弾かれる。
「姫君！貰い受ける！」
「なっ、離せ！レイゼー！」
すぐに窓から飛び出した。

目を覚ますと、赤い部屋のベッドの上。
「姫君、その服なかなかいい生地じゃないか。姫君とも相成って肌触りがいい。」
「触んな！」
「格闘大会に合わせているのか、この丈は。短すぎないかな」
「んなのどうだっていいだろ！」
レイゼーが興味深そうに俺に触れる。
俺は抵抗するが、レイゼーが押さえつけているので敵わない。
「ふふふ……姫君。この姿の君に勝てたら、何をしてもいいのかな？」
「才臥や雨境が変な妄想してたみてぇだけど……残念だな。俺を好きにできるやつはいねぇよ。」
「ふふ、それはどうかな。」
レイゼーが挑発する。
それに乗るような形で嘲笑う。
「やってみるか？試したいことがあるし、付き合うぜ？」
「ほう……やってみるといい」
レイゼーが離れて、部屋にたつ。
俺もベッドから降り、格闘スタイルの構えをとる。
「はぁっ！」
ヒールで腹に食い込むように蹴りを入れる。
「くっ……！」
思った以上の威力なのか、レイゼーが腹を九の字に曲げる。
そこを狙い、銃の柄で顎を打ち上げる。
すぐに一発撃ち込んでから、流れるように回し蹴りに繋げていく。
「食らえ！」
最後に蹴り落とす。
レイゼーは仰向けに地に伏せる。
そのレイゼーの腹を踏みにじるようにヒールで踏む。
「こういうのを、ご褒美って言うんだろ？」
「……どこで、そんなことを覚えてきたのかな、姫君」
レイゼーは、まだ余裕そうだ。
それがまた腹立たしいが、用はすんだので足を戻す。
「芳示に才臥から。……動きにくいからかまだ蹴りの威力が甘いな。早いとこ慣れねぇと」
「くくく、姫君……。楽しみにしているよ。格闘大会のコスプレ部門をね」
レイゼーが消えてしまった。
この格好も悪くないと確信した。

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踏まれだいだろう！？
って話。