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いい兄さんならいた。


・ハッピーファミリー
※弓ヶ浜東火
「雄飛兄さん、いいですかね?」
「東火?」
私は雄飛兄さんを呼び出す。
弟たちの企みに利用されているだけ。
雨境の部屋に雄飛兄さんを入れる。
途端に、クラッカーの音が鳴り響く。
「いえーい!兄貴の日ー!」
「いえーい!」
雨境と文弥がクラッカーを鳴らす。
雄飛兄さんは、驚いたまま動かない。
「雄飛兄さん?」
文弥が声をかけると、雄飛兄さんが二人に抱きつく。
「なんだよ、もう……嬉しいじゃんか!」
「サプライズ成功、だな!」
「でも、どうして急にこんなことを?」
私が聞くと、雨境が答える。
「今日はいい兄さんの日なんだってさ!だから、思い付きでサプライズ!」
「いい家族の日ともいい夫婦の日とも被ってるけどねぇ」
「夫婦なんてこの本部にいるわけないじゃん。いるのはバカップルとバカだけだよ」
「ははは、全くその通り」
私も納得してしまう。
最大のバカップルは、どこで何をしているのやら。
「そういえば、家族らしいのも俺たちだけなんだよな」
雄飛兄さんが呟く。
「……そういえば、ここにいる人のほとんどは、魔物に襲われて親をなくしたんでしたね」
「あ、そうだったねぇ」
彼らは親を失ってから、何をしていたのだろうか。
どういう思いで、今を生きているのだろうか。
割り切ってしまっているのだろうが、寂しいのではないだろうか。
「雄飛兄さん、席はずしますね」
雄飛兄さんが、私のしたいことを察したのか、引きとめないでくれた。
「東火、いっそ連れてきなよ。いろいろとね」
「……後悔しませんね?」
「大丈夫だって」

というわけで。
「連れてきましたよ、兄さん」
どっと部屋に入れる。
榎本達に如月達に杜矢達。
「ちょっと俺の部屋そんなに広くないよ!」
雨境が止めるも、私が押し込む。
「一体何なんですか?」
杜矢が取り仕切るように聞く。
「今日はいい家族の日なんだからって、雄飛兄さんが。」
「家族……」
文弥の言葉に全員が反応する。
やはり割りきれてはいない。
度重なる任務で忘れているだけだ。
「家族って、もうここが大家族じゃんな」
相模君が、如月君の肩を掴んで答える。
「賑やかでうるさいだけだろ……」
「それがいいんだろ?」
天城君は鬱陶しそうだが、不亘君が宥める。
「大家族かー、ま、いじりがいのある弟いるしな」
「……なんで俺を見んだよ」
雨境が、からかうように瀬戸君を見る。
すぐに雨境は、彼の後ろから抱きつく。
「だって、いちいち面白いんだもーん!」
「ああー!雨境、俺の氷河だって!」
対抗してか前から抱きつく榎本君。
「どっちも離れろっ!」
怒鳴る瀬戸君。
私は、ああ絡まれたくないね。
鬱陶しくて叶わない。
「……そーだな!大家族か!よっしゃ!」
「僕は嫌ですけどね、こんな大家族……」
如月君と杜矢君で、意見が割れる。
「上月ー!だいじょぶやって」
「何がですか、もう」
「ええやん、こういうの」
「……悪くはないですけどね。煩いから嫌です」
「今日ぐらいは甘えていいからさ」
雄飛兄さんが、微笑む。
なんだかんだずっと私たちを守っていたのは、雄飛兄さんだ。
「逆ですよ。甘えていいのは兄さん」

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賑やか家族。

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