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氷河苛め祭。

カースオリオン編。

・カースオリオンの魔術師
※大浦丙
亜須磨が魔術師と対等に戦っている。
あの大剣が魔術師の呪いをことごとく打ち破る。
「エリュシオンの大剣……なんだっけ」
「魔力的にはな。けど、なんで亜須磨があんな霊剣を……」
氷河に聞いてみても、よくわからない答え。
俺には魔術的なものはわからないから、聞いても意味がなかったかもしれない。
「大丈夫?」
「今は、落ち着いてる……」
氷河には傷ひとつないものの、呪いの力が強まっている今、俺が氷河を守らなきゃ。
魔術師と亜須磨は、亜須磨が押している。
魔術師は何故だか距離をとろうとし続ける。
だが、亜須磨の踏み込んだ攻撃をかわしきれず、魔術師のフードが風で外される。
「氷河!見ないで!」
「ッ!?」
魔術師の顔は、あらゆるものが失われていた。
おぞましくグロテスクなものだった。
咄嗟に氷河を抱き締める。
一瞬でも見てしまった氷河の身体が震えていた。
「ひのえ……っ」
「まだ、苦手なんだもんな……。」
氷河はあの日の記憶が拭えていない。
両親、恋人、友人を一度に失った日を。
その血溜まりに沈んだ死体が。
氷河は多くのものを鮮明に見すぎていた。
息が荒いのに、氷河は話す。
「はぁっ……あいつは、呪いの代償に、自分の体を捧げていた……。だから、ああなんだよ……」
「呪術のリスク……。氷河の一番苦手な魔術師かもね」
あの日以来、傷を見るのが苦手になってしまった氷河には。
多少の傷なら慣れたけど、大怪我というものが苦手なんだ。
最初は魔力を乱して、過剰に魔力を使っていた。
今は、落ち着いたけどやっぱり苦手だ、と俺に話してくれた。
一層、抱き締める力が強くなる。
「丙……?」
「俺は、氷河を壊せないから。癒してあげないと。」
亜須磨が、魔術師を切り捨てる。
コートも脱げ、更におぞましい身体が見えた。
「どうなって……!?」
亜須磨が動揺する。
そこをついた魔術師が、黒い炎を走らせる。
「ぐ、ぅっ……!」
それを食らった亜須磨が、膝をつく。
声に反応して顔をあげてしまった氷河の表情が真っ青になる。
「ーーッ!」
声にならない悲鳴をあげる。
芳示と重ねて見えてしまったのか、芳示と亜須磨の名を叫ぶように呼ぶ。
「芳示……、亜須磨!」
治したいのか治癒術が発動しかける。
「氷河!ダメ!」
「く……っ!」
なんとか発動は止められたけど、このままじゃ氷河が壊れてしまう。
氷河から俺に抱きついてくる。
「ひのえ……っ、あいつが、吸血鬼が……!」
あの日の記憶がフラッシュバックしている。
俺に抱きついて、俺や恭二や芳示の名前を滅茶苦茶に叫ぶ。
「ひょう、が……」
「氷河さん……?」
亜須磨も氷河の異常に気付いた。
剣を握り直し、立ち上がる。
「どうやら早期決着が必要なようだな!」
「ふふふふ……」
魔術師が笑う。
「審判の時は来た。呪いよ、やつを殺せ!」
「天体魔術が!?」
俺と亜須磨が上を見上げる。
明るい星の光が、魔方陣を照らす。
魔方陣が過剰な光を発し、呪術が発動してしまう。
「うっ……ぐ、ああああっ!」
氷河が叫ぶ。
胸を押さえて、苦しそうに踞る。
壊れたまま氷河が死んじゃう。
魔方陣を……消さなきゃ。
でも、やり方がわかんない。
……いや、簡単な方法があるじゃないか。
術者を殺せば……いいんだよね。
針と糸を手に、魔術師に突っ込む。


「ひのえ、だって……おれと、同じなくせに……」


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なんかいい話じゃね?



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