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氷河苛め祭。

カースオリオン編。

・カースオリオンの魔術師
※瀬戸氷河
吸血鬼が、誰かを切り捨てる。
それは俺の知り合いだったのかそうでなかったのか、分からない。
そしてその血塗れた刃を俺に向ける。
後ろに下がろうにも、背後はもう壁だ。
吸血鬼が笑う。
「死にたく、ねぇ……」
言葉になった本音。
怯えきった俺を楽しむかのように吸血鬼は、剣を掠めさせる。
「っ……やだ、やめろよ……。」
生殺与奪の権利が向こうにある。
踊らされるだけの俺。
「氷河!」
誰か--いや、丙だ。
丙が、呼んでいる……?

「丙ッ!」
ああ、そうだ。
丙が魔術師に突っ込んでいったんだ。
あいつは、人を殺すのが苦手なくせに。
天体を利用した魔方陣が発動し、俺はなにもできなくなった。
神血への恨みか、呪術の魔力が強い。
痛みに踞って呻いて叫んで泣いて。
そうやって惨めな姿で死ぬんだろうか。
屈辱としては最高だ。
「丙さん!?」
亜須磨が驚いて声を出す。
丙が糸を器用に操り、魔術師の首を取ろうとする。
「貴様程度!」
魔術師が黒い影の剣で、丙の身体を貫く。
「ひのえ……っ」
丙の口元から血が溢れる。
「丙!」
俺が叫んだのと同時に、剣が抜かれ、丙が倒れる。
「……ひのえ、まで」
「こ、の……!」
亜須磨がエリュシオンの大剣で、魔術師を斬る。
光の魔力に耐えきれず、血へどを吐く魔術師。
「っ、ふふふ……、私が死のうと奴の呪いは解けない……。魔方陣があるかぎり、確実にやつを殺す……!」
魔術師がふらつきながらも、高笑いをする。
「は、っ……魔方陣は、どうすれば……!」
亜須磨が息を切らしながらも、闇雲に蝋燭の灯台を倒していく。
だが、呪術の痛みは治まらない。
「……ひのえ、は?」
「え?」
「なぁ、丙は……まだ生きてるか?」
「……氷河さん」
俺を呼ぶ声が震える。
表情は見えないが、きっと怒ってるだろう。
「最後に丙だけでも……、生きてて、欲しいから……!」
「俺は、二人とも助けます。丙さんだって助けるし。氷河さんだって、救いたいです」
「おれなんか、いいんだよ……。どうせもたない……からさ……」
「氷河さん!」
亜須磨が叫ぶ。
びくりと驚いてしまい、次の言葉が出なくなる。
「氷河さんが、死ぬなんて、ありえないですよ……」
「でも、事実だろ」
「まだ決まった訳じゃない」
「そういうけどな……。でも、おれは……」
げんかい、なんだよ。
そう告げようとした途端。
「俺は、そういうのを、覆したいんだよ!」
亜須磨が大剣を掲げる。
そして、魔方陣--地面に突き刺す。
「エリュシオン……魔方陣を、壊せぇぇっ!」
魔方陣から出る光が、過剰になっていく。
魔方陣に魔力が流れ込みすぎてるのか。
そうやって、溢れさせて壊すつもりなのか。
「う……っ」
強い光に視界を奪われる。
今まで渦巻いていた痛みがない。
まさか、本当に壊しやがったのか……。
魔方陣に魔力が感じられない。
目を開けると、亜須磨が目の前にいた。
「亜須磨!?」
「氷河さん……」
ふらりと亜須磨が倒れ込む。
俺は、それを受け止めて支える。
治癒術を亜須磨にかける。
治癒術を使っても、痛みがない。
呪いが、解けていた。
「死ななかった、でしょう?」
「ああ……、やっぱ、すげぇな。亜須磨」
「氷河さんのが……すごいと思いますけどね……」
「わりぃ、亜須磨」
亜須磨を横にしてから、すぐに俺は走った。
丙を治すためだ。
「丙!」
治癒術をかけるとすぐに丙が目を覚ます。
「あ、あれ……?」
「呪いはなくなった。亜須磨が、助けてくれた」
それを聞くと、丙は微笑んだ。
「そっか。よかった。」

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後一話、かな。
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