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茅野ちゃんのはなし。


・全てを救う聖女
※瀬戸氷河
荒れ果てたひとつの小さな村。
数少ない村民は、茅野にすがるように祈りを込める。
修道服を着た茅野は、祈るように手を合わせる。
「全てを救う。それが私の選んだ道だから」
俺は立ち尽くすだけだ。
茅野の治癒術に対する魔力は凄まじい。
俺にだって分かる格の違い。
「氷河さん、手を、魔力を貸して」
「ああ……全部、やるよ。」
茅野の祈る手に重ねる。
そして、治癒術の魔力を込める。
茅野の背中にうっすらと翼が見える。
まるで天使のような白い翼。
茅野の足元から緑が、草花が甦る。
「おおお……聖女様じゃ……!」
村人が茅野を崇め始める。
小さな村に緑が甦る。
再生術。治癒術に上位があるとするならば、そうなるだろう。
茅野の背から翼が消え、ふわりと力なく倒れる茅野。
それを支え、抱き止める。
「大丈夫か?」
「ええ……さすがに疲れるのよ。あれほどの救いは。」
村長らしき人物が、茅野に礼を言う。
「ありがとうございます……なんとお礼をいったらいいのか……」
茅野は、力なく笑いかける。
「救われない者に愛の手を差し伸べるのは、当然ですから」
村長は何度も頭を下げたあと、村を建て直すと張り切っていってしまった。
「もう、立てますから」
「……いや、ちょっと待て」
茅野を癒すように治癒術をかけてから、離す。
「ありがとうございます、氷河さん」
「気にすんな。俺はこのぐらいのことしか出来ないから」
全てを救える茅野とは、違うから。
俺は護衛のために彼女についているだけだし。
「なぁ」
「何です?」
「さっき自分の背に翼があったのに、気付いたか?」
「最近、大きな治癒術を使おうとすると出てくるのよ。神の加護だと思っているわ」
それも神血の力だと言うなら、俺にもその翼が現れる可能性があると言うことだ。
ますますこの力が怖くなる。
「氷河さん」
「茅野……!?」
俯いていると、茅野が俺を抱き締める。
「大丈夫。私たちの力は世界を救うための力だから、怖がることはないわ」
茅野を抱き締める。
表情を見せないように。
「そういうこと言えるのは、茅野だけだろ……」
「……そうね、貴方は強いだけだもの。慈愛が足りないわ。」
「はっ、俺に慈愛なんて……あるわけないだろ」
「人を救いたい、助けたいって気持ちは慈愛よ。」
「俺は、救うどころか傷つけてばかりだ」
いつも俺の血に染められた手で茅野に触れていいものかと不安になる。
だが、いつも茅野は優しくそれを受け入れる。
「氷河さんには、氷河さんしか救えない人がいるわよ。」
「……そうだといいな」

-------------------
神血ノマカプ。

天使みたいな茅野ちゃん。

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