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きゅうりできゅー編。

どうにでも使えるので、短編に。


・きゅうりできゅー
※瀬戸氷河
街の市場を歩いていたとき、なにかが頭に落ちてきた。
それほど痛みはなく、そのなにかはぽてんと地面に落ちた。
「きゅー」
緑色の小動物がないた。
「ど、どうしろと……?」
それを手のひらに乗せる。
両手に収まるサイズの小さな生き物だ。
くちばしで頭に皿が乗っている。
妖怪辞典で見たような河童だ。
小さい河童。
「きゅー」
小河童がもう一度なく。
河童の好物と言えば胡瓜だろうな。
分かりやすく言えばきゅうり。
市場の八百屋で試しに一本買ってみて、大きさ的に合うように半分に折ってから河童に渡してみた。
「きゅー!」
いつの間に肩に座っていた河童は、きゅうりを奪い取り食べ始めた。
「……喜んでる、よな」
あっという間に食べ終えたのか、きゅー!と再びなく。
「まだ、足りないとか……?」
でも、河童の小さな手は八百屋のきゅうりに伸ばされている。
「きゅー、きゅー!」
河童が催促する。
もっと食わせろ、と。
「はぁ……食い意地はってんな」
仕方ないので、きゅうりを三本ほど買い足す。
そのうちの一本を河童に渡すと、また嬉しそうに食べ始めた。
その河童を肩にのせたまま、ふらふらと歩いていたら、きゅうりの一本漬けを売っている屋台を見つけた。
まだ河童はきゅうりを食っている。
「すみません、それ一本ください」
一本漬けを買っていた。
歩きながら一口かじる。
夏祭りに屋台で食った味がした。
芳示曰く、水分が逆に取られるほど辛いやつだ。
俺は好みの味なのだがなぁ。
河童と一緒に黙々ときゅうりをかじる。
二本で満足したのか河童は俺のきゅうりを奪うことはなかった。
気づけば河童は寝ていた。
途中、落ちそうになっていたので支えてやった。
俺はこの河童をどうすればいいのだろう?
妖怪なのだから山に帰るべきだと思うのだが、この河童の目的がわからないから、どう対応すればいいのか。
「なぁ」
人通り離れた所で河童に声をかけてみた。
「お前、山に帰りたいか?」
聞くと、河童は首を横に降った。
帰りたくないようだ。
「そっか……じゃ、本部来るか?」
今度は首をかしげる河童。
聞き方が悪かったな。
「いや、連れてくしかねぇんだよ。いいか、少しだけ面倒見てやるから。なんかやることやったら帰れよ?」
「きゅー」
河童がないた。
さっきからきゅーしかなかないな、こいつ。
「きゅー」
「……きゅうり、か?」
半分に折ってから差し出す。
河童は上機嫌にきゅー!とないたあと、また食べ始めた。

こいつが山を出た理由はきゅうりが食べたかっただけなんじゃあ……

-------------------
きゅうりできゅー。
この河童はまだミニサイズですが、いつか抱えるサイズまでには成長します。
チワワぐらいとかには。

殺伐代表とほんわか話。




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