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かのまつ編。

賑やかさの中にあるものを。


・内緒の謀
※末沢針弥
本部に戻ると、藤野がラウンジで迎えてくれた。
「鹿屋さん、どうでした?」
「成功ですよ、ありがとうございます。」
二人にしか通じない話をされても困るんだけどなぁ……。
困ったような僕の反応をみて、笑いだした藤野はラウンジのテーブルを指した。
「あそこで、全部話しましょう。今回の事件について」
「まーた、なんかしてやがったのか?」
藤野の言葉に草薙が連れた。
彼は藤野の行動をよく思っていないから警戒している。
「草薙も聞くかい?僕がただの嫌な騙し屋じゃないよって話。」
「ああ、聞いてやるよ」
草薙も混ざって、今回のネタばらしをすることになった。

「まず、遺跡発掘をしている集団から情報を得たのがはじまりですね。最近、遺跡を荒らすやつがいると言う話。あの集団は考古学を研究するものからすれば有名な集団なので、僕にも鹿屋さんにも、そしてうっかり氷河の耳にも入ってしまったようですね。」
当の僕の耳には全く入らなかったんだけどな……。
僕の情報が鹿屋さんか神谷さん経由だからかなぁ。
「情報から推測して僕らはすぐに末沢さんの事だと察したので、鹿屋さんは先手をとるために僕にある依頼を持ってきました。」
「あの遺跡発掘をしている集団を情報でコントロールさせたんです。確実に末沢一人のところに誘き出させるように。」
「そういう話かよ。その話は確かにこいつに依頼するのは正しいが、人としてはどうかと思うぜ?」
草薙が、鹿屋さんを睨む。
あまり好きじゃないやり方なんだろう。
「遺跡発掘集団は僕が、末沢さんは鹿屋さんがコントロールすることで、うまい舞台を作り上げたんですよ。」
「にしては、私欲がみえみえだけど?」
「あ、高崎さん」
「はい、皆さんどうぞ」
テーブルに僕ら人数分のお茶を用意して、高崎さんも座る。
「話は聞いていたんで、大丈夫です。面白そうなので混ぜてください」
「じゃ、続けましょう。確かに俺はかっこつけたくて末沢を一人にさせました。末沢が連れていく異端の連中でも倒せるような相手ですからね。守る役目を奪われては、末沢が気を変えてしまうと思ったんです。」
僕がついてきてもらうのは、鍵となる人物だけだ。
それが魔物だったり、魔族だったり、神血だったりするだけで。
そういや、三人とも本部内でも強い部類に入る人達だ。
「秋夜も神谷さんも氷河も、確かに強いけどさ、そんなに気にすることか?相手は大群だったんだろ?割って入れたんじゃね?」
草薙が聞くと、鹿屋さんは至って真面目に話始めた。
「彼らの本当に強いところは、憎まれ過ぎて絡まれやすく、集団戦に慣れてしまっていることです。一対一で劣ることもなければ、数で押しても対処してしまう。そんな隙の少ない人たちなら、末沢を守るぐらい容易いでしょう?」
「本当に奪われたくなかったんだ……」
高崎さんが、呆れ笑いで僕を見る。
「愛されてますね、末沢」
「みたいですね」
藤野がわざとらしく咳をする。
「そして、もうひとつ大事なのは末沢さんが警戒しないでいてくれることです。なので、この情報を絶対入れないようにしたんです。」
「まさか氷河が知っていたとは思わなくてね。咄嗟に手荒な真似をしてしまった」
咄嗟と言うが思い返せば、冷静な対応だったと思う。
「気絶させてから、俺の部屋で軽くしめて事情を話したら快諾してくれたから、助かりましたけど。」
「別にしめなくてよかったと思うんだけど」
「最近、末沢と仲良さそうなのでつい。」
私怨だ。
鹿屋さんって嫉妬深いのかも。
「あ、こら!須藤さん!」
噂をすれば氷河本人の声がした。
追いかけられていたのか須藤さんが、先に僕らの所に寄ってくる。
「なになに、賑わってんじゃん、どうしたの?」
「遺跡事件のネタばらしですよ」
「「ああー……」」
事情を知る二人は、頷いていた。
「なー、信じてよかったでしょー?」
須藤さんが、僕に微笑む。
「そうだね、そんなに疑ってもなかったけど」
僕は隠し事を気にしてただけだし。
「怪我もなかったみたいで、安心しましたよ。」
須藤さんの首根っこを捕まえながら、氷河も微笑んだ。
「あ、そうだ。もしかして神谷さんがくれた地図も鹿屋さんの作戦?」
「ええ、そうです。神谷さんから受けとれば信じるかと思ったんですよ」
「信じましたね……」
思い返すと、神谷さんは何だか言いにくそうだった。
嘘を考えてたと思うと、笑えてしまう。
「ってことは、ほとんどの人が僕を騙してたんですね」
「そうなりますねー」
藤野が楽しそうに笑う。
それに腹が立ったので、テーブルを叩く。
「ひどいよ!みんなして!」
「信じられるのは、俺だけって分かったでしょう?」
「そう、かも……」
鹿屋さんが、満足そうに笑った。

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長いわ!
なんだかあっさりじゃなくなってしまいました。

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