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かのまつ編。


・内緒の謀
※末沢針弥
神谷さんに言われた遺跡に来た。
確かに落ちているものは魔族が好きそうな本ばっかりだけど、神谷さんが来れなさそうな結界はない。
なんの面白味もない遺跡だ。
たいした罠もなく一番奥についてしまった。
「なに……かな」
奥には一枚の絵が描かれていただけだった。
何を表しているのかは分からない。
けれど、その下に彫られた文字は読める。
「ア、リス……地に、すむ……神?」
アリスってあれかな。
不思議の国のなんたらってアリス。
それとも誰かの呼び名かな。
地にすむ神ってのもよく分からない。
調べるのは、僕じゃなくて榛原さんとかの役目だし。
諦めて帰ろうと思い、出口に向かおうとすると男がいた。
「誰?」
僕が聞くと、その人は銃を僕に向けた。
「お前が遺跡あらしか」
「遺跡あらし?」
男の背後から人がたくさん現れる。
遺跡あらしって、どういう意味だろう。
「とぼけるな。お前が多くの遺跡を荒らす末沢ってやつだろ?」
「……うん、名前はあってる」
「ようやくみつけた。お前のせいで遺跡が荒らされ文化的な遺産が奪われていく!その罪を知れ!」
全員が僕に武器を向ける。
僕も小銃を構える。
構えるけれど、腕が震えている。
撃たなければ、僕が死んでしまう。
なのに、彼らを撃つことにためらっている。
「おいおい、震えてるのかよ!人を殺す覚悟もないやつが、銃なんか持ってんなよ!」
こういうとき、他の人はどうするんだろう。
神谷さんなら、斧を彼らに投げるのだろう。
杜矢さんだって、ナイフを刺すことに迷いはない。
秋夜だって、まだ子供だけどこういう場には慣れてるし、いつもひどい目にあう氷河だって銃口向けられただけで撃ってる。
鹿屋さんだって、簡単に人を殺せてしまう。
そんなのに比べて、僕は……出来ない。
「おかしいな……僕だって、本部にいるのに……」
どうして彼らと同じことが出来ないんだろう。
耐えきれず銃をおろしてしまう。
「どうしよ……人なんて、殺せないよ……っ!」
震えが止まらずに膝をつく。
「ははははははは!バカなやつだよ、楽になりな!」
男が高笑いをした途端、肉の切れる音がした。
僕がよく聞いた音。
「末沢は、人を殺す必要ないんですよ」
「かのや、さん……」
鹿屋さんが、男の背後から胸を一突きに刺していた。
その後に回りの男たちも、ばたばたと倒れていく。
首が飛んでいる人もいた。
「針弥」
返り血がついている鹿屋さんが呼ぶ。
でも、僕は彼に近づけなかった。
「…………」
最近、隠し事してたよね?
と、改めて聞きたい。
「針弥、探しましたよ」
「ほんとうに?」
「嘘です、本当は知っていました。彼らのこともね」
と、胸をさして殺した男の頭を踏む。
「最近、妙な連中が末沢をつけていましてね、排除しようと思って藤野に頼んだんですよ。彼らを騙してほしいとね」
僕がつけられていた?
何も言えず首をかしげると、鹿屋さんがくすりと笑う。
「理由なら彼らが話したでしょう。針弥が遺跡で遊んでいるから、目障りだった。それだけです。」
「……そう、だったんだ」
僕が狙われるだなんて。
今まで考えたこともなかったから、ショックだった。
でも、それならある疑問が浮かぶ。
「ねぇ、だったらなんで神谷さんとか……えっと、誰にも頼るなって言ったの?」
「そりゃ、針弥を助けるのは俺の役目だからですよ。あんな雑魚、針弥がつれていく連中なら簡単に倒してしまいます。」
鹿屋さんが、僕を抱き締める。
「針弥を守るのは、俺だけでいいんです。」
そう言った鹿屋さんの声色は低かった。

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あと一話!


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