忍者ブログ
一次創作ファンタジー小説中心サイト。 このサイトにある全ての小説の無断転載は禁止しています。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

普通で普通な話。


茅野攻め。

・ノーマルデートコース 十字架編
※瀬戸氷河
茅野に教会まで来るように呼ばれた。
教会に入ると、待っていた茅野が一室に案内する。
貴族の家にありそうな格調高いソファーとテーブルがある。
「ここは、本来貴族様を接待する部屋なんだけどね……ここしかなかったから」
「茅野?」
恥ずかしそうにそわそわしていた茅野だが、意を決して向き直る。
「氷河さん、手を出して、目を瞑って」
「こう、か?」
目を瞑ると、茅野が掌に何かを乗せる。
金属のようなひやりとした手触りだ。
「いいわよ」
茅野の言葉で目を開けると、掌には十字架のネックレスが渡されていた。
茅野が首にかけているものと同じだろうか。
「十字架……?」
「教会に伝わるものです。きっと氷河さんを守ってくれますわ。」
「俺、神を裏切ってるんだけどな」
俺は愛銃に目を向ける。
神を裏切るために手にしたものだから。
「つけてみてくれませんか?」
「あ、ああ……」
ネックレスはつけやすいものだったので、一人でも容易くかけられた。
俺の首に十字架がかけられてるってのは、ちょっと違和感があるよな……。
「似合ってますよ、氷河さん。」
茅野は素直にそう言った。
俺まで気恥ずかしくなってしまう。
「そういうアクセサリーだって流行っているじゃないですか。氷河さんには銀が似合うと思ったのです。」
「茅野だって、似合ってんだろ」
そう言うと、茅野は顔を真っ赤にする。
「……っ、私は修道女なんですから、当然ですよ!」
「いや、十字架は茅野のが似合ってるよ。人を救う聖女なんだからさ」
俺には真似できないものだ。
同じ神血でもここまで違う。
茅野のあり方は俺には羨ましくて、届かないものだ。
「ずるいですよ、氷河さんは……!」
茅野が俺に抱きつき、呟く。
「茅野--っ!?」
思わず俺も抱き締めてしまう。
……好き、だけども。
俺が彼女に触れていいのか、戸惑ってしまう。
「私、氷河さんが、好き……。」
「な、なにいって……!?」
「私がこんなことを言っても、どうせ吸血鬼を選ぶのでしょうけどね。」
「…………」
「でも、氷河さんの手に触れるだけでも、氷河さんに撫でられるだけでも、氷河さんに呼ばれるだけでも、私は、どうにかなってしまいそうなのよ……っ」
「……俺は、茅野を傷つけてしまう事が一番怖いんだよ。俺の立場は敵を呼び寄せてしまうから。それに、茅野を守りきれる確証はない、から」
情けなくて抱き締めている手が震える。
誤魔化すように、強く抱き締める。
「それ、おかしいのは氷河さんなのに……。貴方が全て傷を負うことはないのよ。」
「いや、俺の問題だからな。巻き込みたくねぇんだよ」
「そんなの……っ、ずるいわ……!」
嗚咽が漏れ始める茅野。
顔を見上げられれば、涙が浮かんでいる。
俺は、大事な人まで泣かせてしまうんだな。
それなのに、安心させることも励ますことも出来ない。
謝ることしか俺は出来ない。
「……悪い」
「そう思うのでしたら……今は、ここにいてください……」
「……分かってる」
茅野の頭を軽く撫でる。
茅野はまた泣き出した。
-------------------
ノットノーマルコース!

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
プロフィール
HN:
天草八津芽
性別:
女性
自己紹介:
BLでファンタジー小説が多いです。
ひっそりひそひそ書いてます。
ツイッター
メインアカウント(妄想ばかり)


オリキャラ紹介bot
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
ブログ内検索
P R

Copyright © [ 妄想の隠れ家 ] All rights reserved.
Special Template : 忍者ブログ de テンプレート
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]