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略奪雨境。

・略奪清純
※瀬戸氷河
深夜、一人でくつろいでいるとノックの音がした。
「ひょーがー、あそぼーよー」
俺がどうぞというよりも早く雨境が気だるそうに入ってきた。
「雨境……おまえ、なにしてんだよ」
「何って暇なんだよ。遊ぼうよー、氷河ー」
「忙しい」
雨境はそうやっていろんな人をからかって遊ぶんだから。
軽くあしらおうと言葉を考えていると、雨境がふと聞いてきた。
「ねぇ氷河、略奪愛って知ってる?」
「略奪……っ!?」
突然何を聞くんだと思い、聞き返そうとした瞬間、雨境が接近して俺にキスをする。
口内を弄ぶ激しいようで優しいキス。
「ん……っぅ……」
雨境の突然の行動に驚き圧倒される。
キスが長く息継ぎもさせてもらえない。
すると、気づけば俺は自室のベッドに押し倒されていた。
そこでようやく唇が離れる。
「っ……はぁ……う、きょう……なに、してんだよ……」
裾で口許を拭おうとすると、その腕を捕まれた。
「ダメ」
そのまま両腕をひとまとめにされ、押さえつけられた。
「氷河、俺ね氷河が欲しい」
「はぁ!?」
雨境の悪い笑みが見える。
「--こういう悪戯はやめろよ、雨境。」
「悪戯じゃないって、真剣なの」
押し倒し、顔を近づける雨境。
「氷河は恭二ばっかりでずるいよ。たまには俺を見てくれてもいいんじゃないの?」
「だって、俺は恭二のもので……」
「それ、恭二が勝手に言ってるだけでしょ。氷河はどうなの?」
「お、おれだって……恭二が、好き……だ。」
「ああっ、ムカつく。その恥じらう氷河可愛いけどムカつく。俺だって氷河にそんなこと言ってもらいたいよ」
可愛いってなんだよ。
と、つっこみたくなったが黙る。
雨境が本当に真剣なのが伝わってしまう。
「ねぇ氷河。今日ぐらいは俺と遊ぼ?恭二よりはいい夢見させてあげるから。」
雨境が俺の服を脱がし始める。
腕の拘束はとっくになくなっていたが、抵抗できなかった。
「俺さ、キスうまいから」
また雨境からキスされる。
「っ、は、ぁっ……ん……ぅ……」
声を出すまいと思っていても、漏れ出てしまう。
激しいようで甘いキス。
先程のと違い俺に息を吐かせるキス。
雨境のキスがかなり俺好みだった。
「ねぇねぇ、もっといい声だしてよ」
猫又の姿となった雨境が、俺の体に触れる。
「妖怪だって、人間が好きなんだよ。もっと氷河の喘ぎ声聞きたい」
「そう簡単に俺がなくと思うのかよ?」
「さっきのキスで溺れるんだから、身体はもう俺を求めてるんじゃない?」
「もとめてなんか、っ」
雨境が迫る。
「求めてなくたっていいよ。略奪愛ってのは、奪うことだから。」
相手の意思なんか関係ない。

------------------
キスとか情事の喘ぎと殴られたときの喘ぎは違うんですよ。

甘い喘ぎ方と空気を求めるような喘ぎ方。
どっちも私は好きです。

情事に溺れる氷河も殴られてる氷河も好きだし。

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