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夏らしい話がいい。


・天然初夏サイダー
※榎本恭二
炭酸の入った缶のタブを引いて、ぷしゅっと音をたてて開ける。
すぐに口をつけて、飲み始める。
喉がなるのを凝視してしまう。
ある程度飲んだところで、ぷはーと吐息が漏れる。
そして瀬戸氷河は、ようやく一言話す。
「やっぱ、夏はサイダーだなぁ」
それ、天然水サイダーだけど。
なんも甘くないやつだけど。
氷河は、あまりの暑さからか、軽装だった。
そういうの目に悪いんだけどなぁ。
「あっついんだよ、外がさ」
「そうだねー。俺もさすがに外出れないし」
吸血鬼である俺は、太陽の光に弱い。
夏場のような猛暑は、半吸血鬼の俺でも耐えられない。
だから、氷河にいろいろ買い物を頼んだんだけどね。
帰ってきた氷河は、汗だらだらで服が濡れてて、天然水サイダーを片手に項垂れていた。
なんつーか、そういう氷河もありだと思ったね。
「はぁ……すぐにシャワー浴びよ」
「もー、氷河は神経質なんだから」
「汗まみれで一緒にいられるか。俺なりに綺麗でいたいんだよ」
「氷河……惚れちゃうよ」
「とっくに狂ってんだろうが」
会話をぶち切って、氷河はシャワーを浴びにいってしまった。
こっそり氷河の天然水サイダーを手に取る。
まだ半分ぐらい入ってそうだ。
飲んじゃおうか。
間接キスだし。わくわくしちゃうな。
「えーいっ、飲んじゃえ」
ごくりと飲み干す。
甘味のない爽快感が広がる。
俺はやっぱり甘いやつがいい。
すぐに戻ってきた氷河は、髪がまだ濡れてた。
それに触れるよりも早く氷河が天然水サイダーを見て、怒った。
「あー!俺のサイダー飲みやがったな!」
「だーって、飲みたかったんだもん!」
「ふざけんな、俺のだったのに!」

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あつい、しぬ




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