アクションとかじゃなくってさ。

・ストレンジブラッド
※瀬戸氷河
戦うのには、何か理由ってのがあるものだ。
理由もなしに人を傷つけてられるのは、狂ったやつだけだ。
俺はそんな風にはなりたくなくて、未だに迷い続けながらも戦っている。
「氷河は手を出すのが早いんだよ。敵味方なしに。ツッコミまで蹴りで済ませるんだもん。それはバリエーション増やすことへの怠慢じゃない？」
「お前は何をいってるんだ」
一緒にいた人物、弓ヶ浜雨境は全然違う話をしていた。
「ん、そういう話じゃないの？」
「もっとシリアスな話してただろうが！」
「シリアスで戦う話なら、絶華にでも頼みなよ。俺じゃないでしょ、どう考えても。」
「……島原さんにでも聞けばよかった」
「でっしょー。俺じゃないって、それ。」
雨境はけらけら笑いながら、食パンを食べていた。
朝からこんな話をしてるんじゃない。
任務終わりに話をしてるんだ。
「はぁ……雨境も強いけどな……」
「んー、俺はね、妖怪だからね、うん。氷河は聖職者じゃん」
「違う。俺は人殺し」
「でも、治癒術使うじゃん」
「それだけで判断すんなッ！」
「ひぇっ」
雨境に回し蹴りをする。
簡単にかわされてしまったが。
「……俺だって、戦えるんだよ。」
食パンを飲み込む雨境。
「そんなのわかってる」
「だから……っ、聖職者だとか言うな……！俺は、あいつらと違って血にまみれてんだから……。」
「何処が違うのさ。どっちも神血でしょーに」
「違うだろ……人を助ける聖職者と、人を殺して生き延びてる俺じゃさ……」
自嘲気味に呟く。
だが、雨境はそれを笑う。
「同じだよ。俺にはそう見えるね」
「違う！」
声を荒げてしまった。
びっくりした雨境が、不安そうに俺を見る。
「違う、から……俺を守ってくれるな……。俺だって戦える……殺せる……守ってもらうほど、弱いつもりはねぇんだよ……！」
自分の身ぐらいは守れる。
拳を強く握る。
「……つまり、氷河は戦いたいんだね？」
「あ？」
雨境がにやにやと笑う。
「だって、守られて大人しくしてらんないんでしょ？」
「大人しく、なんて俺には無理だな」
「だよね。俺だって氷河に傷なんて見たくないんだけどさ。そうやって好戦的な氷河も氷河なんだよね」
「あ、ああ……」
「だったら、思い切り暴れればいいじゃん。氷河が困ったときにヒーローのように助けてやろうじゃないか！」
決まったとばかりにどや顔をする雨境。
バカだこいつ。
「それいらねぇ」
「んだとぉ！？」
「そんなのいなくたって、俺一人で片付けちまうよ！」
「あー！ムッかつくなぁ！俺が今ここで氷河をズタズタにしてやろうか！？」
爪を出して、猫又に変身する雨境。
喧嘩を売られているようだ。
「それじゃ、ヒーローの意味ねぇだろ」
「ヒーローとかどうでもいい！氷河泣かす！助けてください、雨境さまって言わせてやる！」
俺は銃をホルダーにしまい、あえて徒手空拳の構えをとる。
「やってみろよ、たかが猫の癖に！」
「言ったなー！？」
飛びかかる雨境。
その背後に札が舞うのが見えた。
「なにしてんだこら」
「ふぎゃあああああああ！？」
札を貼られた雨境に天罰のような雷が落ちた。
猫又状態が解け、気絶し倒れる雨境。
「ったく……いつまでも帰ってこないと思ったら、喧嘩してたのかよ」
「ひ、柊さん……いや、この、それは……」
狼狽える俺には目もくれず、柊さんは一言だけ言った。
「お前も悪いんだからな、反省しろ」
「すいませんでした！」

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シリアスギャグ。

守られてばっかりが嫌な氷河。
ようはヒロイン扱いされたくなくて、不良っぽくありたい。
自分の思うままに戦いたいんだ。